地球外少年少女 ※ネタバレ注意

Netflixで6話イッキ観。

大好きな電脳コイルの磯光雄の最新脚本監督作品。

面白かった!

忘れかけていた少年時代の冒険への憧れを想起させる展開に、ボロボロ泣きながら観た。

場面によって目まぐるしく変わる重力の中で躍動する少年少女を、よくあんな自然に描けるもんだ。

ハッキングバトルをまるで実際の銃撃戦のように観せる演出力は流石。

そして近未来的なギミックや設定の数々。

どんどん知能リミッターが外されるドローン。頭の良さが数値化されてるのもワクワクさせられる。

ただ、観ている間は怒涛の展開に感動の嵐である一方、観終わった後の余韻はイマイチ。後から思い返すような名作にはなれなかったという感じ。

なんでだろう?

なんかね…トウヤとコノハの愛がクライマックスに来るわりに、二人の絆の強さや生い立ちがあんまり描かれてないんだよな~。

タイヨウとかミイナ&ハカセの存在は少年達の冒険活劇感を出すために必須なんだけど…最後にキーマンとなるトウヤとコノハの二人が、やっぱりもっとクローズアップされるべきだったんだと思う。

あと、ナサの反逆の場面もそうだけど、全体的にシリアスさが希薄。それによって、ナサの死やトウヤ&コノハの命懸けの行動も、ちょっと腑に落ちないまま物語が進んでしまう。

ミイナやハカセ、主任など、コメディ要員が多すぎたのか。

トウヤ、コノハ、ナサも含め、「なんでそんなにそれにこだわっているのか」が描ききれていないからかもしれない。

登場人物への感情移入もかなり難しい。

登場人物がみんな未来人で未来のテクノロジーや文化で育っているという時点で難しいのに、トウヤ&コノハにいたっては、その中でも「月生まれ」でインプラントが入っているという異質の存在。彼らの心情を推し測るのは余計に難しい。。

例えばジブリ作品で言うと、ラピュタのパズーやシータに感情移入しにくいって人はあんまりいないだろう。ラピュタでは二人の出会いから仲良くなるまでが丁寧に描かれているし、何より彼らは俺達とそれほど変わらない価値観や生活を持っている(と思わせる)描写が随所にある。

俺達と同時代か、それより前の時代を生きた人を主役に据えるだけで感情移入の難易度はかなり下がるだろう。一方で、未来の異文化を生きる人達に感情移入させるのは、多分、ものすごく丁寧に時間を割いて描かないと難しいかもしれない。

そんな高難度の中でボロボロ泣かせる演出をしたのは素晴らしい…と思う一方で、これだけの演出力や表現力を持ちながら、心に残るような傑作にできていないのは、ものすごくもったいなさを感じる。

そう、何よりも…もっと尺が欲しいんだ!

24話くらい使ってちゃんと登場人物みんなのバックグラウンドを丁寧に描くか、もしくは同じ尺でも、もっとトウヤ&コノハに焦点を絞れば、とんでもない名作になった可能性もあると思う。

ただ、色んな大人の事情でこの尺でまとめなければならなかったんだろうな。。

そういう制約の中では、十分な傑作だと思う。

色々文句が出てしまうのは、それだけ期待を膨らませる素晴らしい作品だったって事なんだ。

ありがとう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?