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新しいリズムに、身を委ねる。

 緊急事態宣言解除を受けて、少しずつ主人と私の出勤日も増えてきた。個人的には「デフォルト・テレワーク、たまに出勤」くらいの感覚でいいのにな、と思っているのだけど。今更、あの満員の通勤電車に、乗れる気がしない。


そんな、5月最後の金曜日。
主人は出勤、息子は入学式以来、最初の登校日。


家には、わたしひとり。

なんだろう、これ。初めて味わう感覚。
こんなふうに流れる時間も、あるんだな。
はじめて知った。

部屋の中を初夏の風が気持ちよく通り過ぎて、
ゲームやテレビの音もしない。
気兼ねなく、お気に入りの音楽をかけて、
鼻歌なんかも、歌っちゃって。
コーヒーを飲んで、一息つく。


…とはいえ。
程なくすれば、息子も帰ってくる。
登校初日の今日は、クラスを半分に分けて、1時間程度の分散登校。下駄箱や教室、トイレの位置を覚えたり、図書室、保健室を見て回ったり。
学校の雰囲気に慣れるのが、今日の彼らの目的。

…学校どうだったかな?
昨日の夜、お布団の中で、息子に聞いたら
「りんごが10こあったら、楽しいが9で、1がちょっと不安」
なんで、りんごなのかは、分からなかったけど。
楽しみなのが、多いからいいね、大丈夫だ。


今日は時間も短いし、お友達ができるのは来週以降かな。帰ってきたら、いろんなはなしを聞くのが楽しみだ。

下校予定時間になっても、なかなか戻ってかない。今日以降、しばらくは、同じ方向の子たちを先生が引率して帰ってくる予定だった。
何度か台所の窓から、入り口をみてみたり。
やっぱり、外に出てみよう、と思った時、
玄関のチャイムが鳴った。覗き窓から見ても、姿が見えない。静かにドアを空けると、にこにこ顔の息子が、そこに立っていた。

「たっだいまーーー、はぁ…!楽しかった!」

ランドセルを玄関にぶん投げて、
早速、熱っぽく興奮気味に話しだした。
落ち着こう、そして、まず手洗いうがいしてさ。


ジンジャーエールを、ごきゅごきゅ飲んでから
また、勢いよく話しだした。
先生のこと、学校中を探検したこと、図書館におもしろそうな本がたくさんあったこと、先生の部屋(職員室)があること、教室から男子トイレが近いこと(大事だね)、女子トイレはちょっと遠くて大変そうだということ、お友達ができたこと、そして、月曜の登校もとても楽しみだということ。

お友達の名前も3人くらい出てきて、
この短時間で、もう顔と名前覚えれるんだ!と思って、感心した。

朝、一緒に出かけた主人が、こっそりと、
学校に行くまでの道、緊張していて一言も喋らなかったんだよ、と優しく笑いながら教えてくれた。

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かくして、息子の初登校は無事に終わった。
学校に行くのが、楽しみだと言ってくれたのが、何よりだ。

人も、会社も、社会も、世界も。
水の流れみたいに、絶えず揺らいで変化してる。

そこから、新しいリズムが生まれる。
それぞれに、そして家族に。
そこで、わたしは心地好くグルーヴする。