見出し画像

コンタクトレス時代におけるサービス業のあり方とは。


暑くなる前の、いちばん爽やかで良い季節。
県域内を中心に旅をする人が、少しずつ戻ってきているはなしを聞くたびに嬉しくなります。私もはばかれることなく、思いっきり旅がしたい。

アフターコロナ(withコロナ)において、旅の計画を立てる時に、旅先や宿を選ぶ基準、欲しい情報など、これまでと、どんなことが変化しただろうか、していくだろうか、というようなことを考えていました。そして、その先にある、サービス業のこれからの姿についても。
 最後はおまけ。私が「最初に旅行をするなら、どこに行きたいか?」と聞かれて、パッと頭に浮かんだ4つの宿をご紹介します。いずれも都内から車で行ける宿です。


▶旅をしていいんだよ、という「よすが」が欲しい。

 今はこれにつきます。ねぇ、おでかけしていいの?旅行も、できるなら日帰りではなく、お泊りしたいな…、あぁ、旅がしたい。はばかれることなく…、きっとみんな同じように感じていると思います。
 前みたいに自由に旅がしたい。やっぱりそういう旅する人のための「よすが」が、いまは必要ですね。
 そして実は、迎え入れる地域の人たちにとっても「いらっしゃいませ」「どうぞお越しくださいました」「おかえりなさい」と、心から言えるための、よすがも必要。
 もう少し先になりますが、間もなくローンチ予定である、一連の「GO TOキャンペーン」(政府による、旅、食、イベントなどの国内需要喚起策です)が、そういった気持ちのひとつのよりどころになれば、いいなと思っています。


▶宿を選ぶ時の新しい要素に「衛生管理」が加わった。

 多分、旅行者が今いちばん気にしている要素だと思います。従来の旅行先を選ぶ要素である、価格、癒し、料理がおいしい、楽しいなどのほかに、「衛生面での対応状況」が新しく加わることに。
私が「最初に旅行をするなら、どこに行きたいか?」と言われて、パッと頭に浮かんだ宿。早速ホームページなどで調べたら、感染症対策もしっかり。 大事なのは、「私たちの地域や宿では、このような対応をしています」ということを、情報として可視化し、様々な角度(自社、旅行会社、DMO、行政など)から、お客様に発信し伝えることなのだと思います。
 もちろん、インバウンドのお客様を迎えるところであれば、多言語での対応も必要に。


▶︎旅人が気にするポイントってどんなことだろう?

 新型コロナウイルス感染によって、私たちの暮らし方、働き方は一変。
価値観にも変化が生まれています。先にもお話ししたように、端的にあげられるのは、やはり「衛生面」。どこへいくにも、何をするにも気を遣うように。普段の生活でも、色々な変化がありますから、旅についても、当然、お客様が求めるニーズは変化していると思います。人によっても様々だとは思いますが、例えば、どんなことを旅人は求めるだろうか?気にするだろうか?想定されるものを列記してみました。

【旅人が気にするポイント】

☑︎観光施設や宿での、感染予防対策などの対応状況について、情報が可視化されているか(ホームページや館内案内など)。

☑︎観光施設や宿では、ゆとりをもったオペレーションがなされているか(詰め込みすぎていないか、客同士やスタッフとの接触への配慮、空間設計・導線管理)。

☑︎客・従業員双方の感染を防ぐため、コンタクトレスな接客対応、オペレーションとなっているか。※施設の大小、規模に関係なく
・スタッフのマスクやフェイスシールド対応。
・喚起対策、館内の消毒対策。
・ソーシャルディスタンスの確保(客ー客、客ー従業員)。
・チケットレスによる入場券の発行、時間制、事前予約制
・チェックインやチェックアウト時に、他客との接触、混雑がない。もしくは、無人チェックイン・チェックアウト。
・スマホによる非接触型キーや対応ドア。
・キャッシュレス対応。
・館内の混雑状況が、スマホでリアルタイムに把握できる。またはオペレーションで意図的に分散させている(観光施設での観覧、宿での食事、入浴、チェックイン・アウトなど)。
・旅館の場合、希望がない場合は、布団敷きの入室はなるべく避ける。
・食事は、個室対応もしくはルームサービス。ビュッフェ形式は、テイクアウト形式や個別包装形式への切り替え。
・タブレットによるメニューオーダー。
・貸切露天風呂は、予約制。

☑︎観光客など域外からの人的交流に対して、行政やDMOが方針を示したり、水際対策がなされたりしているか。
例)沖縄県石垣市では、万が一、旅行者から感染者が出た場合の対応を想定して、一週間以上の滞在者のみ受け入れの方針。


 書きながら、改めて地域や各施設でお客様をお迎えすることの大変さを実感しました。当然、すべてを網羅することは難しいと思いますし、ここではそれを求めるという意図もありません。10人お客様がいれば、それぞれに価値観も異なります。なので、こういう点が旅人側の心理として、あるんだなぁというふうに、お迎えする側の方には、読んでいただければと思います。
 また、同時に旅行される方には、お迎え側の地域や宿では、皆さんが安心して、そしてこれまで通り旅を楽しんで貰えるように、このように一生懸命に準備をしているということも、ぜひ知っていただきたいなと思いました。 


▶最後に。

 ふと、旅人が気にするポイントを書きながら気づいた、今後のサービス業のこと。
 それは、これからコンタクトレスになっていく、デジタル化も進み非接触が当たり前になっていった時に、そもそも人と人とのコミュニケーションが、利益や価値提供の源泉であった業種は、今後どうあるべきなんだろうということ。

 例えば、それはどんな業種か?
サービス業には、「無形性(カタチのないものを扱う)」「同時性(生産と消費が同時に起こる)」「個別性(顧客ニーズに合わせてサービス提供)」「非再現性(同じサービスも似て非なるもの、同じものはない)」という特徴があります。
 それらに該当する業種は、ホテル・旅館をはじめ、飲食業、販売業、福祉・介護業…などなど、あげれば切りがありません。

 これまで、それら現場では、コミュニケーションを通じて提供してきた価値や築いてきた関係性や信頼があります。それが今後、お客様とのコンタクトポイントが、少なくなる中で、どのように変換していくのか、どのようにサービスを再構築していくのかといったことが、とても気になっています。

 一方で、残されたリアルなコミュニケーションの機会は、さらなる価値になるだろうな、という確信と、各サービス提供者の創意工夫とたゆまぬ努力によって、個性や独自性がより際立っていく、多様なサービスが生まれるという期待も。
 また、コモデティ化や価格競争という現状がありますが、その価値を適正な価格に反映できるようになるのでは、とも感じています。とくに、観光は薄利多売の傾向がありますので、その状況を打破していくきっかけになるのでは、と考えています。


 

▶︎おまけ:今、私が行きたい4つの宿

 過去に、私が泊ったことがある宿です。
ひとまず、都内から車で行けるところ…、という心理もあり、このラインナップに。
 もちろん、ここ以外にもたくさん行きたい、行ってみたい宿もあります。これからのホテル・旅館はまさには百花繚乱。とても楽しみです…!

■ryugon(新潟県南魚沼市)

東京ドーム一個分に匹敵する広大な敷地の中に、お部屋はわずか28室。ヴィラタイプのお部屋もあり、三密の要素が全く見当たりません。お食事や家具など、雪国文化を五感で堪能できる宿です。


■伊豆北川温泉 望水(静岡県賀茂郡東伊豆町)

貸切で利用できるプライベートガゼボ(露天風呂)が魅力。また、ここのお宿ではもともと夕食も朝食も「お部屋食」。月が美しく見られる宿としても有名。また、早朝の海辺の散歩もおすすめ。


■箱根リトリートföre (神奈川県足柄下郡箱根町仙石原)

自然の中で、開放的に過ごす時間が堪らない。食事は、人数制限などでオペレーションの工夫がされているようです。同じ敷地内にあるワンランク上のヴィラでは、プライベートチェックイン・アウト、ルームサービスの提供も。


■山形座 瀧波(山形県南陽市赤湯)

趣きの異なる19のお部屋には、すべてに露天風呂があり、ゆったりと過ごすことができます。また、レストランも個室があるので安心です。山形の美食、近隣でのアクティビティも充実。