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透明なゆりかご

昔からのドラマ好きで、時間とレコーダーの容量の許す限り録りまくったり、リアルタイムで楽しんだりしてきた。

ジャンルもこだわらずサスペンスからラブストーリーまで何でも観る。それぞれ面白いには理由があって、良い脚本だったり演出だったり。一方で若い人狙いの人気のラブコメはもういいかなとも思っている(トシのせいか)。

いつからかNHKのドラマがしっくりくるようになった。丁寧な作り、深いテーマ、変な煽りも無く、当然CMがないので集中して観られる。

その中でも「透明なゆりかご」は今でも心に重さを持って残り続けている。小さな産婦人科病院で看護師見習いをするアオイの成長を通して見つめる命の物語。

毎回号泣してしまう。病院が舞台だから生き死にが関わってくるので当然と言えば当然だが、単に泣かせようとする分かりやすいドラマではない。背景には社会問題だったり、女性の生きづらさ(アオイ自身のいきづらさ)があって胸に迫る。

6話で格安でしかも同意書なしでも中絶手術する老医師に「(そんな事をすれば)また中絶を繰り返す人が増えるのでは?」と問うアオイ。「また堕ろせばいいなんて思える人はいない」と言う老医師。

何人もの辛い事情を抱えた少女(あるいは成人女性)を見てきた彼は彼女らのために田舎の片隅でひっそり中絶手術を続けている。

老医師夫婦を演じるイッセー尾形、角替和枝の温かさ。中絶手術をする少女役のモトーラ世理奈の透明感。そして今や朝ドラヒロインの清原果耶の真摯な演技に胸を打たれる。

「気軽に観る」というわけにはいかないが、毎回考えさせられ感動する。単に消費するのではなく「大切に観たい」そんなドラマだ。










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