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デビュー失敗

4月が来た。また、歳を重ねてしまった。

常に現実逃避しているので普段は自分のトシなど思い出しもしないが、正式な書類などに年齢を書かなければならない時は現実を突き付けられ絶望的な気持ちになる。気持ちと実年齢のギャップは永遠に埋まらない。

そもそも、このトシまで生きているつもりはなかった。

世の中に絶望してるとか人生を悲観してるとかではなく、単純にノストラダムスの大予言を信じていたおばかさんだっただけだ(そんな人は当時沢山いたはずだ)。

もちろん真剣に信じていた訳ではないけど、1999年以降はおまけの人生のような気もしているのだ。「おぉ、まだ(人生)続いてる」みたいな。

続いていたお陰で離婚もしたし、夏フェスにも行けた、飛行機にも乗れた、猫も迎えられた(もし予言が当たってたら元夫の妻として人生終わってたのか、それはやだなあ)。

猫好きのわたしとすれば「猫を飼う」は人生の最大目標だったと言っても過言ではない。

住宅事情だったり経済事情だったりを乗り越えて昨年夏、ついに保護猫リリィを迎いいれた。

洋猫のミックスで長毛、甘い鳴き声で家族を魅了する推定年齢3~4歳のお嬢さま。彼女が部屋の前でひと鳴きすれば自分の用事そっちのけで、ドアを開けてしまう長男。例えドアを開けた途端いなくなるピンポンダッシュを繰り返されたとしても。

クールで何事も斜めに見ているような長女も、笑顔でリリィの遊び相手をしてくれる。わたしでも娘のあんな笑顔は引き出せない、スゲーなリリィ。

わたしには密かな野望があった。

常々色々な猫ちゃん動画を見てきて羨ましかったけれど、ついに自分もアップできるのでは?なにより可愛い我が子を世間に自慢したい欲がうずうずしてきたのだ。

家に慣れない間は言う事は聞かないし、おもちゃにも興味を示さないしリアクションがイマイチだったが、今ならもふもふのお腹も見せてくれるし、じゃらしに対する食いつきも良い。よし、今だ!


しかし、動画デビューとはならなかった。ここでも現実突き付けらるのだ。

動画のお家はなぜだか白い壁に、素敵なインテリア、おしゃれなラグが敷かれていたりするが、ウチの居間は純和風。和風の家でも素敵なお家は素敵なのだが、我が家は統一感のない家具にモノが雑然と置かれ、そもそも整理整頓が行き届いていない。

でもまあ、それはなんとでもなる。ちゃちゃっと片付けて空間くらい作れば良いのだが、普段とんでもない部屋着(年季の入ったヨレヨレスエットなど)を着用している娘には「絶対私が入ってるヤツは上げないで」と釘を刺されている。

そしてなにより耐え難かったのがリリィをあやすための自分の声!「どぉちたのぉ~?」だの「おやちゅたべりゅ?」だの気色悪い事この上なし。

全て編集して処理すれば良いのだが、そこまでして動画をアップする技術も情熱もない。知り合いにバレるのも面倒そうだ(ここにきてネガティブなわたしがムクムクしだす)。

ノープランで突っ走っては挫折する、いつものパターンだった。

でも全てクリアできたらいつの日か可愛い我が子(猫)を全世界に見せたい!その野望はまだふつふつと心で燃えているのだ。

ただの猫バカ!








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