ふりかえり手法「バタフライエフェクト」の紹介

こちらは 株式会社カオナビ Advent Calendar 2023 23日目の記事になります。

こんにちは、カオナビでスクラムマスターしている小松です!
最近自作したふりかえり手法「バタフライエフェクト」をご紹介したいと思います。

どんなふりかえり手法なのか

レトロスペクティブの5つのステージ(チェックイン・データ収集・アイデア発散・アクション決定・クロージング)で言うと、データ収集〜アイデア発散あたりを担うアクティビティになります。

進行は非常に簡単で、まずは以下のストーリーとゲームルールをファシリテーターが説明します。

突然ですが、皆さんにはこれからタイムマシンに乗ってスプリント開始時点まで時を遡ってもらいます。
そこにはまさにこれからスプリントを開始しようとしている私たちがいます。
そこで、自分達が過ごしたスプリントよりも更により良いスプリントになるように過去の私たちにアドバイスをしてください。

  1. タイムマシンの都合上、一度しかアドバイスする機会はありません

  2. 付箋に書ける程度の情報量しか伝えることはできません

  3. 深刻にならない、楽しんで!

ストーリーとゲームルールを説明した後は、「各個人が考えたアドバイス」を付箋に書き出していきます。
ここはまだまだ収束する段階ではないので思いつくだけ書き出してもらうと良いかと思います。

次に、書き出された付箋を一覧化して参加者でじっくりと眺め、対話しつつグルーピングをします。こうしてアイデアの傾向を模索することで、チームの総意としてのアドバイスを言語化していきます。
「このアドバイスを過去の自分たちが受け取っていたら、何かしらのカイゼンアクションを実行してより良い結果に繋がりそう!」という手応えが得られるものが出来上がったら、アドバイスメッセージとしてFixします。

最後に、ファシリテーターから以下のような内容を伝え、任意の進め方で具体的なカイゼンアクションに落とし込んでいきます。

素敵なアイデアをありがとうございました!
さて、もちろんタイムマシンなんてものは存在しません。つまり、前スプリントでの課題は未だ解決されないままです。
なので、過去の自分達に送ろうとしたアドバイスは私たちの次のスプリントへのカイゼンのアイデアとして活用しましょう。
アドバイスメッセージを元に、具体的なカイゼンアクションを決めていきましょう。

この手法の特徴

「タイムマシンに乗って過去の自分達にアドバイスをする」というメタ的な側面がこのアクティビティの肝で、以下のような効果が得られかなぁと考えています。

  • 現在の自分達に対する意見出しではないので遠慮が生まれ辛い

  • アドバイスがゴールなので「〜すればよかった…」だけで終わらない

  • バタフライエフェクトを起こす一手の特定のためには、自然とシステム思考が求められること

どんなときに向いているか

シンプルなのであまり使うシーンを選ばなさそうですが、時間軸が広がるとそれだけ因果関係も増えるのであまりにも長い期間を対象にしたふりかえりは不向きかもしれません。
個人的には前スプリントをスコープとした場合が最も力を発揮しそうかなーと思っています。

工夫が必要だと思う点

まだ2回ほどしか試してないのですが、今のところ気づいた要工夫なポイントになります。

  • 場を温めておくこと(メタ的な思考ゲームなので大事!)

  • データの収集としてタイムラインを取り入れると相性が良き

  • 個人ワークの段階では雑なアドバイスでOK、研ぎ澄まそうとしない

さいごに

以上、自作ふりかえり手法「バタフライエフェクト」の紹介でした!
ちなみになぜこの名前にしたかというと、ちょっとしたアドバイスや問いかけで結末が大きく変わって大きな変化と成果を生み出すみたいな想いを込めた感じになります。
スクラムマスターとしての振る舞いとしても通ずるものがあると思っていて、これがチームが自分達で行えるようになったならば素敵なだなぁというビジョンも実は込めたりしています。

もしこの記事を読んで試された方がいればぜひご感想お聞かせください!

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