終わった恋へ
こんばんは、私の恋しかった人。
3年間も思い続けて、馬鹿みたいに追いかけて、
終わってしまったんだな、この恋は。
2ヶ月程前の冷え込んだ夜、仕事帰りにみんなで小さなクリスマスマーケットでお酒を飲んで、帰り道でもしこたま飲んで、
私はあなたに聞いたよね?
「結婚しないの?」
本当は聞きたくもない愚かな質問を。
あなたは答えた。
「今はまだ」
その日に知った。
彼女とその子供たちと一緒に住んでいること。
今までのこと全部合点がいった。
籍を入れていないだけで既婚者と同じじゃないか。
そんな人に恋をしていたなんて。
あなたは見せてくれたね、その時ちょうど来たという彼女からのメッセージ。
『結婚してくれる?』
私は自分に重ねて言ったんだ、結婚しなよ、と。
あなたはなんで私にそんなこと言われないといけないの、と不機嫌になったけど、
私がそのとき喉まで出かかってた言葉を言ってしまわないように必死だったなんて、絶対に気づいてないことでしょう。
「結婚しないんなら私と付き合って」
そう言ってしまえたら楽になれてたんだろうか。
毎日のように顔を合わせるのに?
言わなくて正解だったと今でも思う。
それでもいつか、伝われば良いと
心のどこかでは思ってしまうのです。
その日の帰り道、真夜中の寒空の下でときどき立ち止まっては大声で泣いたこと、
きっと私は一生忘れない。
大きくて大切で切ない恋でした。
辛いこともたくさんあって、恋をさせてくれてありがとうなんて
絶対言えない。
好きになんてならなければよかった。
それでも私は3年間全力で恋をしていた。
美しくないわけがないじゃないか。
美しいのは、あなたでも終わってしまったこの恋でもない。
たとえ届くことのなかった思いだったとしても、
一人の人をこんなに一途に好きでいられた私は美しい。
それに対してこの終わった恋は燃え残った灰のようなもので
今はまだ消えかかった火が燻って、風が吹いたらもう一度燃え上がりそうな気もしてしまうけれど、
もうほとんど灰なのだから再び燃え上がることはできない。
そのうち完全に燃え尽きたら今度は風に乗って跡形もなく散り散りに舞って消えるんだ。
この火が完全に消えるまで
まだほんの少しは心に残っているかもしれないが
それまでの付き合いだ。
私の大切だった終わった恋よ。
それまでよろしく。
じきにさよならを言おう。
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