こまみ

どうしたら飯のこと以外を考えられるか

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    飲み屋のおつまみに関して、店を超えて存在する「型」を見つけて収集・調査する記事です。

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    一店ごとのご紹介の記事です。

最近の記事

備忘録2023 #1 文明の利器

みなさまご無沙汰しております。 かなり間を空けてしまいましたが、私はいつも通り、酒を飲んだり飯を食べたり映画を観たり酒を飲んだりサウナに行ったり飯を食べたり慢性蕁麻疹が悪化したり酒を飲んだり引っ越したり飯を食べたりしておりました。 noteとか書きたいなあという気持ちもあったのですが、なんとなく億劫でグダグダしていました。しかし今年の7月あたりにiPadを購入しましたところ、文明開化の音が鳴りまして。 というのも、私はこういうデジタル環境に絵をアップロードするとき、今までは

    • 備忘録2021 #3 誕生日の孤食

      誕生日は毎年、最高にうまい店を選んでひとり贅沢に食事することにしている。 その習慣がついたのは就職で東京に出てきてからだ。 最初に勤めていた会社にはバースデー休暇なるものがあり、誕生日は皆強制的に休まさせられた。しかし、なんでもない平日にいきなり休みを取っても他の人は働いているわけで、丸一日一緒に遊んでくれる人などいない。そのため、週末は混んでいてゆっくりできない店や平日に行くにはやや遠いなという店を選んで行き、誕生日をお昼やお酒を存分に楽しむ日とすることにしたのだった。 都

      • 備忘録2021 #2 ダイエット

        1 丸1ヶ月ダイエットしてた。 理由は、全身に原因不明の異汗性湿疹が出たから。もともと夏が近づくと指や膝に汗疱という水ぶくれができやすい体質ではあるのだが、今年は手足ばかりか全身に湿疹が広がり、皮膚科に通っても全く改善しない日々が続いた。辛抱たまらず、最後の頼みの綱である行きつけの万能整体師の元へ行くと「肝臓と腎臓と肺が機能してない」と言われた。それもう死んでる? つまり飲食量もストレスの量もパンパンで、そっちにエネルギーを費やしているから、排泄・分泌系がイカれた模様…。かく

        • ネパール気になる

          インドとネパールって、日本と東京みたいな関係性と思ってたほど無知な私ですが、総じて "インドカレー" って言われてるものに対して、自分の中でなんとなく「すごい好きなの」と「普通なの」があることに気付いたのは数年前。 よくよく思い出してみると、その辺りから「リッチなナンは本場で食わない?」「インネパは日本ウケマニュアルで作らされてるマガイモノらしい」というような話題を、ネット上でよく見かけるようになっていたような気がする。 しかし、あくまでも私の根底には「ナニ人が作ろうが、創作

        備忘録2023 #1 文明の利器

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        記事

          収集#3 誰にでもできてできないつまみ

          最近、他人に料理をふるまう機会が何度かあった。 「ふるまう」ということを考えるようになってから、作る料理の方向性が変わった。 といっても、なにか手の込んだ料理を作るのでも、よい食材や調味料を仕入れるのでもない。 どんなに適当に作ってもどんな質の食材を使っても、必ず同じ味になる「誰にでも作れる料理」を考えるようになったのだ。 ≪誰にでも作れる料理≫ - 10分くらいで作れる - 塩・醤油・砂糖・酢・白だし・めんつゆなどのよくある調味料で作れる - 分量は適当 - なんかうま

          収集#3 誰にでもできてできないつまみ

          備忘録2021 #1 飯メンヘラとZINE発売

          どうもこまみです。ご無沙汰しておりました。 もともと飯に愛(執着)を押し付けないために始めた当noteですが、 昨年いよいよ飯以外の楽しみがこの世から消え去り、飯への依存および飯に対するメンヘラ行為が暴走、 遂には飯に酷く当たり散らすようになり、愛想を尽かした飯たちは私の元を去り、 何故か飲み屋は私を避けるように早仕舞いする始末…。 とまあ、そんなこんなで心身がボロボロになり、ようやくこのままでいけないと思うに至りまして、 これまでの飯とのおだやかな日々と育んだ愛情につい

          備忘録2021 #1 飯メンヘラとZINE発売

          収集#2 独創的割酒

          「一番好きなお酒はなんですか?」と聞かれるといつも困る。 よく飲む酒が一番好きな酒かといえば、違う気がする。それは「飲み続けられる酒」であり「邪魔をしない酒」なのだ(もちろん嫌いなわけではないが)。 では、味が好きな酒ならどうだろう? しかし、大好きなビールにも好きなものと嫌いなものがあってビール党とは言えないし、ほぼ手を出さないミルク系のカクテルの中にもめちゃくちゃおいしいと思うものがあったりする。 「夏の猛暑に耐え切れなくなって、いきおいコンビニの前で買って飲むとき、もっ

          収集#2 独創的割酒

          備忘録2020 #9 知ること

          「無知であることは恥ずかしい」「まずは知ろうという気持ちを持とう」などの言葉を、最近見聴きする機会が増えた。 その度に、知ることってそんなによいことかしらと思っている。 知ることでその事象は定義され、一般化されてゆく。 私は私の出来事を一般化なんかできないし、してほしくないし、知ろうと知るまいと変わらない気持ちの方がよっぽど真実だと思う。 さらにわかりにくいたとえで話したい。 飲み屋で手作りではなく、業務用スーパーの冷凍食品を調理して出していて「あそこのは冷凍の使ってるよ

          備忘録2020 #9 知ること

          収集#1 プロセスチーズおつまみ

          チーズっておいしいですよね。 そんなたくさん食べるものではないけれど、お酒のお供にちょっと何かつまみたい時、ちょうど良いのが「チーズの盛合せ」。 ただ、少しだけ割高だなと感じることや、思いもかけない濃厚な味のチーズが出てきてしまい、飲んでいるお酒に合わないなと思うことがあります(そういうチーズも愛していますが)。 ▲おいしいけどこれじゃない日がある。 「今日はお洒落なチーズじゃなくて、もっと控えめで、むしろ主張のほとんどないような、ただそっと傍にいてくれるようなチーズが

          収集#1 プロセスチーズおつまみ

          備忘録2020 #8 場所の話

          前回飲食詰将棋説を提唱したわけだが、自分にとって外食は「場所」が重要であるということに同時に気付いた。 気持ちよく飲食することがゴールなら、単に居心地よくゆっくりでき、素晴らしい接客の店に行けばいいのかもしれない。 もちろんそんな店も好きだけれども、様々な場所に在るいろんな制約や作法の中で、アレコレ考えながら飲む(つまり詰将棋)のが、私は思いの外好きなのである。 「制約」といっても、それは必ずしも我々を縛りつける嫌なものではない。むしろ、これからの飲み方に対する視座を広げ

          備忘録2020 #8 場所の話

          備忘録2020 #7 詰将棋と食事

          暇過ぎて最近詰将棋を始めた。 そして気付いたのだ、私の飲食と詰将棋には強い関係があることに。 待ってくれ、順を追って話をさせてほしい。 まず、将棋じゃなくて詰将棋を始めたのは、これまで私は将棋を一度も指したことも見たこともなく、一手目を指そうにもどうしたらいいのか全くわからなかったからだ。 とりあえずやみくもに歩を進めても、先を読まれては勝てなそうだ。だから勝ち方を知るには、まず終盤の詰め方を知り、その一つ前、さらに一つ前と戻していけば最終的に勝ち方がわかるのでは? と思

          備忘録2020 #7 詰将棋と食事

          備忘録2020 #6 好きなパンへ走る 他

          1 ○月×日 飲み屋を梯子した帰り道、突如私は帰る方向の電車を急いで降りて、反対方向の電車に飛び乗っていた。 大好きな沼袋の飲み屋で大好きなベルクのパンが出る、という投稿を見たからだ。 好きな人のもとへ向かうテンションを大きく超えて、夜の街を駆け抜ける。 ベルクのパンは全粒粉のようなザクザクとした素材のおいしさが強い訳でも、バターの香りを贅沢に感じる訳でもない。ひたすら日常の味がして、美味しい野菜や肉に寄り添う感じのパンなのだ。 沼袋のお店はやきとん屋で、もつカレーが有名。

          備忘録2020 #6 好きなパンへ走る 他

          備忘録2020 #5 ちょうどよいおさまり 他

          1 ○月×日 南阿佐ヶ谷つきのやにてホルモン炒めを。 やっぱりこの皿の大きさが完璧なんだよな。大きすぎず、小さすぎず、おひとりさまでもふたりでも良い。ちょうど良く満足して終われる。帰り道の夜風も気持ちよかった。 2 ○月×日 ベルクでソラチ1984が出た。 今年のソラチはベルクが一番最初の販売店ということで、店頭POPには“宇宙最速”の文字が。飲んでみるとジュワーーっと身体の隅々まで染みていく感じで、喉がカラカラの時にグレープフルーツを噛み締めたみたいな清涼感。 一緒に食べ

          備忘録2020 #5 ちょうどよいおさまり 他

          池ノ上桜海老のビリヤニ

          ちょっと前の話だが、ここ数ヶ月の間かなりバタバタとしていた。転職が決まりいろんなことが目まぐるしくなったのだ。 忙しくなればなるほど酒は増えるわけで、なんだか飲まねばなるまいという謎の焦燥感に駆られ、とりあえずどこでも入ってみるような生活をしてたら心も金も減った。 酒に逃げたくて酒を飲みたいわけじゃないんだよぉ! ということで少し落ち着いて自炊を頑張ってたら少し持ち直した。 そしてその後は堅実な生活を始めましたとさ…となるはずもなく、元気になったからちゃんと大好きなお店で贅

          池ノ上桜海老のビリヤニ

          備忘録2020 #4 生きることの自粛

          なんか最近言葉が過剰になっていますね。 頭の中ではとても複雑にグラデーションを持って考えられていることが、言葉にした途端あたかもその濃淡がないかのように見えてしまう。そしてその解釈はすべて他者に任される。 私もここ暫く、何を考えているかを言葉にすると全部嘘になってしまうような気持ちになっている。 「生きていくための自粛」が、「生きていくことの自粛」に感じている。生きようと言われているのに、生きるなと聞こえる。 でもやっぱりこの書き言葉は嘘みたいだし、何故か最近体調が信じら

          備忘録2020 #4 生きることの自粛

          千駄木カレーうどん

          麺を食べるのが早い。 特にうどんと蕎麦だ。たとえば蕎麦屋で私の前に三人が食事中、二人が配膳待ちだったとする。この五人を前に私が食べ終わるのは、全体で二番目くらい。ごぼう抜きなのである。麺食いリレーがあったら二走を任される速さだ(話ついてきてますか)。 昔は早食いがむしろ自慢であったが、数年前のとある事件からそれを思い直すことになった。今日はその話をしたい。 遡ること十年前。 当時付き合っていた男性と私は、地元評判の讃岐うどん屋に頻繁に通っていた。 札幌ではちょうど讃岐うどん

          千駄木カレーうどん