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大学で勉強する時のワザ その8

注:この文章の経緯についてはその0をごらんください。その7の続きです。

今回は書くことについて考えたいと思います。

大学では,「書かせる課題」がたくさん出ます。私が担当する講義ならどんな課題を出すか自分で決める事ができますが,中には大学全体の行事のようなものに対して,出席確認を兼ねてA42枚くらいの感想を書かせるという機会が月1回くらいありまして,,,。正直,ツラかったです。書かせて提出させた手前読まないといけないとは思いますが,「600字以上」とか,別に書きたい思いがあるわけではないのに量だけ要求する文章は,書く方も苦痛だったでしょうが読む方も大概苦痛でした。なんか,こんなことに労力使わせて申し訳ない,という思いが強かったです。

そんなこんなで私が思い至ったことは,「書く」ためには,「誰に」「何を」「どう伝える」か,という目的付けが必要なのではないか,ということです。書くという作業は言語,文字を使って人に情報を伝えること,だから,書く前にその3点を意識すれば格段に迷いなく作業できるのではないかと。

まず,「誰に」が必要な理由は,「前提条件」「書き出し」をきめるためです。伝えるのが目的なのですから,すでに相手が知っていることを長々と述べる必要はありません。逆に全く知らないことをいきなり説明しても相手は困惑するでしょう。手紙とか,メールの文章は,読む相手が決まっているので読書感想文よりは書き出しやすいのではないかと思います。そうではないものも,読み手を想定して書くと何を書いて何を書かないかが区別しやすくなるかと思います。日記や講義ノートは未来の自分あて。課題レポートは担当教員と自分に。研究論文は現在と未来の研究者に向けて。相手が知っていることから書き始めて知らないことを伝える。誰かよくわからない読者を想定して文章を書くのは,私はまだできないです。

「何を」は,「こちらが伝えたいこと」か「読み手に要求されたこと」のどちらかになると思います。noteに記事を寄せている皆さんは伝えたい事があるから書くのだと思います。課題レポートを書く学生は,要求された事を書いていると思います。だから,課題レポートを課すなら「要求」の部分をきっちり提示しないとダメですよね。学生が持っているもので答えられるような質問を出さないのに,分量だけ与えて「なんか書け」というのは,文章嫌いを作るためにやっているのではないかとさえ思えます。伝えたい事があれば,それを読み手に伝えるためにどう書けばいいかを自ずと工夫するのではないかと思うのです。

で,伝える時に技術として身につけるべき事が「どう伝えるか」の部分だと思います。結論から言うと,「形式にちゃんと法って書く」が良いと思います。論文の「表題」「著者名」「概論」「序論」「本論」「結論」「参考文献」という形式は,面白くはないのかもしれないけど,「お約束」の展開なので読む側が準備できると言う点で効率が良いのです。論文じゃなくても,先に結論を書いてあとから理由を述べると言う「パラグラフライティング」の精神が情報伝達には向いていると思います。「パラグラフライティング」については,私は倉島 保美さんと言う方が書かれた「論理が伝わる 世界標準の「書く技術」 (ブルーバックス)」という本で知りました。また,英語の論文についてはHilary Glasman-dealさんが書かれた「Science Research Writing For Non-native Speakers Of English」という本がとても参考になりました。どちらもDr.をとっただいぶ後になって読んだ本です。それまでは,書くことについて自己流というか,あまり深く考えていませんでした。今の学生さんは,書くことについてもっと体系的に学ぶ機会があったらいいなと思います。

あとは,文法や語句の間違いがないようにすることが非常に重要です。文法や語句に間違いがあると,そこに書かれている内容も怪しいのじゃないか,という印象を読み手に与えてしまうからです。(ChatGPTは日本語の用法が完全なので内容がデタラメでも本当っぽく見えてしまうという,逆の現象が起きていますね。)漢字の間違いや英文の綴りなどをチェックするためにスペルチェックやAIを使うのは良いことだと思います。

次回は,今回の内容とも関連しますが,プレゼンテーションについて書きたいと思います。

#大学
#初年次教育
#書く技術

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