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「好きな本を紹介するプレゼン」の講義資料#7

発表会が終わると,ちょうど半期の講義の最終週になります。最後の一回では

  • 全員からの講評をまとめた短冊の束

  • 振り返りに一言コメントを入れた物

  • 紹介された本のリスト

を返却し,優秀賞(=ランキングの集計結果)を発表します。もうすぎてしまったことなのであまりくどくどと反省をすることはしません。みなそれぞれに短冊の束を見ながら振り返れば十分かな,と思います。紹介された本のリストというのはこんな感じです。

全作品紹介 ここに挙げた本は実際にある年に紹介された物

正直,学生がこのリストを欲しているかどうかはわかりません。が,プログラム代わりの評価表を回収して裁断してしまっているので,学生側にまとめて残る物としてあったほうがよいという判断で作りました。というのは建前で,どちらかというと私の資料として,学生の名前と顔を一致させるために作ったリストを分けてあげる,という感じでした。また,読書というのは趣味が出るものなので,だんだん守備範囲が固定されてしまいます。ネットの書評を見るだけで手に取るまでいかなかった本を,ここで紹介されたことをきっかけに読んだというのは結構楽しい体験でした。水野敬也,山田悠介,百田尚樹あたりが私にとっての新ジャンルでした。

ここからは,作品リストを作る際のLaTeXの技術の話になります。LaTeXを使われない方は読み飛ばしてください。

今回の作品リストを作る作業の肝は評価表を作ったときの労力をそっくりそのまま使う,ということです。具体的には評価表を作った時に定義したコマンドを定義しなおしてしまうのです。すると,評価表のソースをコピペするだけで一覧表ができます。評価表は一人分がtableでしたが,一覧表は全体で一つのtableなので,コマンドの中身はtable内の1行分に相当し,外側にtablular環境を置きます。

コマンドを定義する部分のソースコード

% 評価表を定義したときのコマンド
%\newcommand{\ratingsheet}[3]{%
%\vspace*{0.5cm}
%\noindent
%\renewcommand{\arraystretch}{2.1}
%\begin{tabular*}{15.5cm}{@{\extracolsep{\fill}}l|l|l}
%\hline
%\multicolumn{1}{l|}{No.#1:\textbf{#2}} &\multicolumn{2}{l}{題名:#3}  \\
%\hline
%\hline
%スライドがよく分かる&\hspace*{1cm}&(一言)              \\
%\cline{1-2}
%声が良く聞こえる& \\
%\cline{1-2}
%紹介された本を読んでみたいと思う& &\multicolumn{1}{r}{\fbox{\parbox[0.8cm]{1.8cm}{Rank:  }}} \\
%\hline
%\end{tabular*}
%\vspace{0.5cm}
%\hrule

% 一覧リストを作るときのコマンド
\newcommand{\ratingsheet}[5]{
#1 & #2 & #3 (著:#4) & #5 \\
}
%

表を作っている部分のコード

\section*{文献リスト(前半分)}
\renewcommand{\arraystretch}{1.4}
\begin{tabular}{r|l|l|l}
\hline
No.& 発表者& 題名(著者)& 出版社\\
\hline
\ratingsheet{\red{1}}{学生の名前}{イナズマイレブン\\&&\hfill}{レベルファイブ/やぶのてんや}{小学館}
\ratingsheet{\red{2}}{学生の名前}{僕らのご飯は明日で待ってる}{瀬尾まいこ}{幻冬舎文庫}
\ratingsheet{\blue{3}}{学生の名前}{灼熱カバディ}{武蔵野創}{小学館}
\ratingsheet{\blue{4}}{学生の名前}{エルマーのぼうけん\\&&\hfill}{ルース・スタイルス・ガネット/渡辺茂男}{福音館書店}
% 以下略
\hline
\end{tabular}

自作コマンドratingsheetの中身はほとんど書き換えずに済むのですが,本のタイトルと著者名が1行に収まり切らないときは,第3引数(本のタイトル)の後ろに "\\&&\hfill" というおまじないを入れておくと,著者名を行を変えて枠内で右寄せすることができます。TeXの\hfillというコマンドは,伸び縮みする水平方向(holizontal)の空白を入れるコマンドで,体裁を整える時に大変便利に使えます。TeX ソースも置いておきます。

このような工夫をすると,実作業数分で一覧表を作ることができます。

これで初年次半期分の講義資料の紹介はおしまいです。
次回からは残り半期でやったことのうち,大学固有の都合によらないところをかいつまんで紹介できればと思います。


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