見出し画像

大学で勉強する時のワザ その11

注:この文章の経緯についてはその0をごらんください。その10の続きです。

前々回前回に引き続き,「プレゼンの作り方」について取り上げていきます。今までの話で大事なことをまとめると

  • 「プレゼンを作る」のは「プレゼンのためのスライドを作る」こととイコールではない。スライドを作る前にプレゼンのストーリーを作るようにしよう。

  • プレゼンは「知っている人(発表者)から知らない人(聴衆)へ」情報を受け渡す作業。伝えたい,と言う気持ちが一番大切。

  • 人のプレゼンを見て自分のプレゼンを改良する時は「良いプレゼンを真似する」より,「ダメなプレゼンのダメなところを繰り返さない」方針で。

となります。特に,最後のは,前回あまり強調しませんでしたが結構大切だと思います。なぜなら,他人のやっていることの「いいと思う」ところを自分に取り入れていくと,自分のカラーがなくなってしまうからです。一つ一つは美味しくて,好きかもしれないけれど,お寿司のプレートにステーキとパフェを盛るのはちょっと品がないですよね。プレゼンは時間が限られているものですから,余計なものを減らしていく,聴衆としてイラッとした部分を消していく,そういう姿勢の方が最終的に自分らしく,かつ,聴きやすいプレゼンになると思うのです。

さて,今日はスライド作成時に私が気をつけていることを紹介します。
それは,かっこいいより読めるスライドを作る,ということ。

  • 字を大きく,太くする 日本語ならゴシック体,英文ならサンセリフ体にします。普通の文章で使われる明朝体,おしゃれな筆記体みたいな文字,スライドだと読みにくいです。PowerPointでは,箱の中にたくさん文章を入れるとだんだん字が小さくなってきます。小さくなってしまったら,それは「スライドに書く文字数を超えてる」ということです。キーワードだけにして,後は口で喋るようにします。特に,見出しにする字は太い文字を使い,遠くの人でもここだけは読めるようにします。

  • 色の数と選びかた 写真は別として,背景,文字色,強調色が1,2色で3から4色くらいがオススメです。私は背景白,文字色黒,強調色が赤と青,といういたってシンプルな構成でやります。緑や黄色はスライドにすると光って見えにくいことがあります。ユニバーサルデザインを気にするならオレンジと青という組み合わせも良いです。背景をダークモードにするのは構いませんが,それでも読めるのが大前提です。プロジェクターが良くないと,ダークモードのスライドはただ暗いだけで見にくいものになってしまいます。プロジェクターが事前に試せる時のみにするのが良いと思います。

  • 写真,イラスト,グラフ これらは,スライドの中でも口で説明しにくいことを表現する非常に大事なパーツです。ちょこっと見せる,ではなく時間をかけて見るべきポイントを説明していきましょう。論文のグラフをそのままスライドに貼ると軸が読めないことが多いので,横軸と縦軸を太い字で重ね書きするとよいです。軸以外も,強調したいところがわかるように,線を太くしたりマーカーを大きくしたりします。複数の図を並べる場合には,大きさを揃えて,配置も揃えます。この一手間をすると仕事が丁寧に見えます。

  • 作ったスライドの読みやすさチェック スライドを作ったら印刷して確認します。必ずプリントしたものを見ましょう。ディスプレイ上では見つからなかった誤字脱字が印刷したのを見るとわかる,という例は本当に多いです。印刷する時はそのままのサイズではなく,「1枚に6ページ」の設定で縮刷するのがオススメです(PowerPointを使う場合)。別に資源節約のためではありません。このくらい小さくしても文字が読めるか,をチェックするのです。この縮小版を見て「字が小さいな」と思ったら,きっと本番の発表を聞いている人も「字ちっさ!」って思っています。私は自分の発表用スライドはLaTeXを使って作り,できたスライドのpdfを1枚に9ページの設定で印刷してチェックします。老眼でもちゃんと読めます。

もう一つ,大事にしていることは効率よく資料を作るということです。PowerPoint は操作に慣れてくると様々なことができるが故に,スライドを作っている最中に細かいことが気になってしまい,微調整に明け暮れているうちに時間だけが過ぎてしまう,というのがよく陥りがちなワナです。これにハマると肝心なスライドの内容がおろそかになりがちなので注意が必要です。これを避ける方法は,一つ目が今までお話ししてきた,PCに向かう前にストーリーを十分練っておくということ,もう一つが体裁(レイアウト)と本文の内容を分ける,ということです。PowerPointでこれを行うには「スライドマスター」を使え,と私は指導していたのですが,なんせ10年前なので今はどうするのが良いのか知りません。今は今なりに進化した方法があるはずなので,是非調べて使いこなして欲しいです。私は,といえば,先ほど紹介したようにLaTeXを使います。これはスライドの内容と体裁を完全に分けることができるので,いつも同じクオリティの(マンネリの,ともいうけど)スライドを量産できます。過去作をコピーするのも自在にできます。全員に必要なツールとは言いませんが,理系の皆さんは使えるようになるといいですよ。。。

長くなりました。過去に試行錯誤を繰り返してきた部分なのでちょっと暑苦しくなりましたが,誰かの参考になれば嬉しいです。


#大学
#初年次教育
#プレゼンの作り方
#スライドの作り方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?