インタビュー 7つの母のストーリー⑥

明日のつくりかた~インタビュー企画~


6人目の方は「ともママ」さんです。

ともママは二人のお子さんのお母さん。そして、子どもたちと自由な表現を楽しむ「 kidsアートはるの木道南」や習字教室も主催されています。色彩書家として字のアートを表現することも。「kidsアートはるの木道南」では教える側、教えられる側という関係ではなく、一緒に創る仲間でありたい。失敗や試行錯誤を重ねていって新しいものが生み出されていく瞬間を味わってほしいそう。また子育てや夫婦関係で悩んだり抱え込んだ時期を経ながら学んできたことや乳がんも経験された癌サバイバーとしての想いもTwitterで発信されています。

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Q1、あなたの「お母さん」はどんな人でしたか?

A、やさしいけれど、厳しさもある強い人かな…

 ともママのご両親は、お父さんが仕事一筋で家庭内のことはお母さんに全部任せているようなところがあったそうです。だからお母さんは家族に起こることは自分1人で受けとめて、乗り越えてきたんじゃないかと。

「今、歳を重ねてきた母とお酒を一緒に呑むとき、あの頃の思いをたくさん話すんです。あの時お父さんにこう思ってたや、子育てで大変だったこと、苦労したこと。もう話題は尽きない(笑)」

ともママは姉妹の一番上でお母さんにとっても初めてのことばかりの育児。陣痛が始まり生まれるまでも時間がかかって大変だったこと、やっと生まれてくれたら呼吸をしてなくて、産後すぐに会えなかったこと。退院後もしばらく病院通いが続いて心配だった話。冬の寒い北海道でストーブの周りを何周もしながらの寝かしつけ。赤ちゃんの時の苦労だけでもたくさんあったみたい。幼い頃は、引っ込み思案のところがあったり、勉強も周りの子が1や2の量でできるとしたら自分は10も20も必要な子だったから、お母さんが隣で一緒に勉強をみてくれていたそうです。

家族のためにとにかく一生懸命だったのかもしれません。小児科にともママを連れて行った時に看護師さんにお母さん熱があるんじゃないと言われ、そこで初めて自分の体調が悪いことに気づくくらいだったというエピソードも。

そういう話を聞く中で、あぁ母は自分で頑張らなきゃと必死で家のことや子育てをしてきて「強くなってきたというより、強くならざるえなかった部分もあるんじゃないか」と思うそうです。

Q2、ありがとうを言いたい人は?

A、全てのひと、ものかな。でも日常の中ではもちろんいろいろあるんですよ。イライラもするし、怒ることもあるし、心のざわざわはあります。
でも、お風呂に浸かった時だとか、ソファーに座った時、朝起きてまだ寝ている子どもたちや夫の姿を見た時に、ふっと「ありがとう」って気持ちがわいてくるんです。

Q3、ごめんなさいを言いたい人は?

A、う~んいないかな。 ごめんなさいよりありがとうを言いたいかな。
日常ですみませんて言うことはよくあるけれど(笑)
......
あっ、しいて言うと 過去の自分に
「(定期的に)検診に行かなくてごめんね」かな。

「命はあたりまえじゃない」乳がんの治療する時は薬が点滴から自分の中に入っていく時にも私の体と仲良くしてね…と心で念じていたそうです。

生活の中でついかき消されてしまっているけれど、あたりまえはいつあたりまえじゃなくなるかわからない、今はあたりまえと感じていることも大切にできているだろうか、と私もともママの話を聞きながら自分を振り返りました。

Q4、今までを振り返って一番に思い出すことは?

A、娘たちを授かったときのこと

娘たちと出逢うために長い長い治療を受けながら、ずっと子どもを授かることを待ち望んで、やっと妊娠したときの幸せな気持ち。やっと会えると思いながらの妊婦生活。そこから出産してみていざ育児が始まってからの現実の大変さ、もう毎日白目むいてました(笑)って今は笑って話せるけど、、、ね。笑

Q5、自分が大事にしていることは?

A、笑顔かな。誰かの笑顔を見ることも好きだし、自分ができるだけ笑顔でありたい気持ちも。

「毎日の中でイライラすることはあるけれど、その時間がもったいないなって」という言葉を何度か言っていたともママ。それは命は限りあるもので誰もが自分にどのくらいの時間を与えられているのかわからないことを癌の闘病で切に感じたからではないかと思います。

「家族ともできるだけ笑っていたいから家族にも自分の気持ちを伝えたんです」

例えば
「ママは本当は怒りたくないんだ。みんなとできるだけ笑って過ごしたいんだけど、大変になるといっぱいいっぱいになって怒ってしまうんだ。片付けも苦手だし、家のことを全部自分一人ではできない。だからみんなで一緒にしてくれないかな」こんな感じに伝えてみたりしたそう。

子育てのことなど勉強会に参加するようになって、I(アイ)・メッセージの大切さを知ったそうです。

アイ・メッセージとは「私は~思うんだ」など、自分が思っていることや感じていることを伝える形のこと。「(あなたは)なんで~しちゃうの?」というような一見相手を責めてしまったり、決めつけてしまう印象になる表現ではなく、「私は○○と思うから、~してほしい」といった自分の希望や考えにとどめておく。そうすると「あなたはどう思う?」「どうしたい?」といった話につながりやすく、相手が前向きなこたえをしやすくする効果もあります。

イライラした時なんかは自分がそうなるのはなぜなんだろうと思いつくままに紙に書き出したりしていました。自分のイライラだけに焦点をあてるのではなく、できるだけいろんな角度から、俯瞰するように努めるように。そして少しずつ紐解いていく中でどうしていったらいいかと考えていく。必要なことは家族に「自分はこうされると悲しいんだ」とか「困るんだ」「どうしたらいいと思う?」ということを話すようになったそうです。

ともママは元々人に頼れないところがあって、一人でいろいろ抱え込んじゃったり、自分でなんとかしようとしてしまったことも多かったそう。でも少しずつ学んでいく中で、その学んだことも家族にこんなことやったんだと話を聞いてもらったり、相談もするようになってから家庭内もだんだんと変わってきたとか。

「(家庭内が変化していくまでは)とても時間もかかるし、自分と向き合う過程は楽じゃなくて苦しい時間でもあったりする。かったるかったりもするんだけど(笑)」

Q6、お子さんへメッセージ

A、「産まれてきてくれてありがとう」です。
それから「自分の思う道を進んでほしい」かな。

  日常生活の中で表現はそのたび少し違っててもこの二つのメッセージをお子さんたちには頻繁に伝えていってるそうです。

「自分がやりたいと思った時にやりたいことをやってほしい。周りにこう思われちゃうかなと気になることがあったり、大変な時もあるかもしれない。悩む時もあるだろうけど、周りの人たちにも頼りながら一歩一歩進んでいってね」

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Q7、最後に自由に一言

A、家族も人と人とのかかわりだから、ぶつかりあうし、「チッ」とか「こんきちしょう」って思うこともある(笑)もし自分が苦しかったらどうして自分は苦しいんだろうって(自分の内面を)みつめてみてほしい。紐解いていきながらどうしたらいいかなって。あとは子どもの命をさずかった時などの、はじまりの時の気持ちを思い出してみると見えてくるものもあると思う。一番大事なものはなんだろうとか。家族と向き合うことは少しずつ氷がとけていく感覚なほど時間がかかることもあると思うんです。
お母さんみんなが癒されて、お母さんの中に余裕が生まれたら、周りのみんなも笑顔になれる。(一人ももれなく)みんなが満たされたらいいのに。そのためになんか愛のシャワーみたいなものが空から降ってこないかなぁって思うんです(笑)



あとがき

7つの質問のあとに自由にお話をさせてもらいました。

「子どもたちはまずは自分が安心だと思う場所を探しているように思います」ここは安全、安心な場所だって。母性を求める赤ちゃんの時のような。母性って、女性である人とか、母でなければならない、とかではなく『愛』そのもの。それが普段ツイートなどで発信している『丸っこ受けとめる』だと思っていて」

状況や環境に順応していく子どもたちは、時にエキサイトしてくる時があるそう。大人がなんでこんな言葉、言い回しを。と驚くような表現をする時、そういう言葉を言ってはいけないと最初から強制、説明するのではなくて、「なんでその言葉を使おうと思ったの?」「そっか学校で言われたりするのか、みんなが使ってたら、自分もそれに合わせないといけないと思う時もあるよね。言われたらどんな気持ちかな?言った時はどんな気持ち?」こんな風に子どもたちの気持ちを聞いてみると、子どもたちは学校でのことなんかをたくさん話してくれるんです。自分の子どもにも思春期の女の子の関係って大変なこともあるから「そういうのちょ~~~めんどくさいよね~~」と一緒に話したりしながら気持ちをほぐしたり。

ともママの「ママはこう思うけれど、あなたはどう思う?」という言葉。子どもが感じたことも自分の気持ちも同じくらい大切にする関わり方に感じました。

そして、家事など家のことも誰もやってくれない、手伝ってくれないとイライラは増していってしまうこともあるけれど、家事は自分がやらなければいけない、母親とはこういうものみたいに自分でも思い込んでしまっていること、全部を抱え込んでしまっていることもあるのかもしれません。そう言えば自分も、家族にこんなことに困っているんだけれど、一緒にやってほしい。助けてほしい。とはっきりしっかりと伝えたことがないなぁと思いました。

子育ては思い通りにならないことばかり。早く早くと時間に焦ることや、イライラすることはほとんどのお母さんが日常の中で感じていると思います。そんなイライラとのつきあい方は自分の感情の理由やどういう時にそう思うかなど、内面と向き合うことも一つ。前述した紙に全部書きだす方法もおすすめのやり方。

あとは、自分の許容範囲を輪っかとしたら輪っかを広げていく作業も大事だそうです。輪っかを外れてイライラしてしまうことが多いのは自分の中の~べきが多い場合も。自分が育ってきた段階で大きな影響を受けるトラウマもイライラの根っこにあることがあるそうで、今も学びを続けているんだとか。

そしていつか自分もたどってきた子育ての経験と今も続けている学びをどこかの誰かのために役立てられたら、そんな想いでTwitterもその中の1つとして発信されています。




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バックナンバーは↓

7つの母のストーリー①
7つの母のストーリー①あとがき
7つの母のストーリー②
7つの母のストーリー②あとがき
7つの母のストーリー③
7つの母のストーリー③あとがき
7つの母のストーリー④
7つの母のストーリー④あとがき
7つの母のストーリー⑤
7つの母のストーリー⑤あとがき

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