【おすすめ本】流浪の月(るろうのつき)
著者:凪良ゆう(なぎら ゆう)
発行所:株式会社東京創元社
さまざまな愛のカタチが描かれた『流浪の月』
表紙には美味しそうなストロベリーアイスクリームの写真
表紙を開いたカバーのところには
~あなたと共にいることを、世界中のだれもが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたいーーー。~
という文章
甘く、そして壮絶な恋愛小説が始まるのだろうかと期待が高まる
weblio辞書より引用
<流浪>とは・・・あてもなくさまようこと。所定めず、さすらい歩くこと。
【流浪の月】2022年全国ロードショー
2020年本屋大賞を受賞したこの作品が映画化!!
韓国の「パラサイト半地下の家族」のホン・ギョン・ピ監督が撮影
広瀬すず、松坂桃李、横浜流星が出演
小説にはないエピソードも追加されているそうだ
監督のコメント一部抜粋
恋愛、友情、家族愛…名前のつけられない関係がここには存在します。魂と魂の未来永劫揺るがない結びつき。そんなものはこの世界に存在しないのかもしれません。
=魂と魂の結びつき=
私たちは生きていく中で、出会いと別れを繰り返している。
出会ったすべての人とずっと関係を持っていくわけでもなく、そのときその瞬間なにかが合致して、同じ時を過ごす。
その関係性もさまざまである。一時期深く結びついていたように感じても、あることをきっかけに、存在すら感じないような関係になったりもする。
その反面、なぜか別れてもまた出会い、深いところでの結びつきを感じる人というのもいる。
小説とはまた一味違った映画「流浪の月」の公開が楽しみだ。
↓↓↓ここからは、ネタバレ↓↓↓
以下の文章は、あらすじと感想が入り混じっています。
これから「流浪の月」を読みたいと思っている方、映画を楽しみにしている方は読み進めるかどうか、ご自身でご判断くださいね。
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ストーリーは、少女の話からはじまる
ファミリーレストランで一組の男女と少女がテーブルをかこむ一幕
近くでは、まわりの目を気にも留めず、高校生のグループが過去の誘拐事件の動画に見入っている。
彼女のはなし
お父さんとお母さん、そして更紗(彼女)のとても愛に包まれた家族の物語
一見とても自由な人々で、自分たちの世界観の中で暮らしている。
それは、世の中の常識とはちょっと「ずれている」と感じられるような家族のスタイルであったとしても、彼女たちにとっては愛で結ばれたとても幸せな家族のカタチだと私は感じた。
しかし、ある日突然
彼女はひとりになり、親戚の家に預けられることになる。
お父さんの死、お母さんの失踪、9歳という年齢で大きな人生の荒波に巻き込まれていく。
親戚の家では、大切に扱われない。少女の心のよりどころがそこにはなかった。そして、ある青年と出会い、一緒に住み始める。
これは、一般的な社会的目線で見ると「幼児誘拐」となる。
でも、彼女が望んで青年の家に行った。
この青年は「ロリコン」といわれていて、そんな彼の家に行ったら何をされるか大人の私たちには想像がつく。読み進めるうちに、ハラハラドキドキする。本を閉じたいような気持にもなる。
しかし、真実はちがった。
ニュースは大きくなり、結局彼女は保護され、青年は捕まった。
彼女にとっては、地獄の生活へ逆戻りということになる。
とても、切ない。本当のことを言いたいけれど、「言えない事情」「言いたくない事情」があり、真実を打ち明けることができない。小さな少女が抱えるには、大きすぎる問題だ。
人は、真実をみようとしない、知ろうとしない。想定外のことを受け入れようとしない。世の中って、こういうことで物事が運ばれることってよくあるのだろうと気づかされた。
私たちは、何を見て生きているのか。何をしたくて、何を知りたくて・・・と、考えさせられる。
彼女は、自分自身を守るため行動を起こす
親戚の家に戻り、また地獄を味わうことになりそうな時
彼女は自分自身を守るのは自分にしかできないとある行動を起こす。
人を傷つけることにはなったけれど、彼女は彼女を守った。すごい勇気だと思った。
そして、日ごろのニュースでも感じることだが、「ひとりのエゴ」や「ゆがんだ愛情」が、どれだけ人を傷つけ、人生を狂わせるのかという怒りがこみあげてくる。
彼女は児童養護施設にあずけられる
彼女は親戚の家から離れることはできた。しかし、養護施設は様々な事情を抱えた子供たちが集まっている。彼女にとって、そこでの暮らしも精神的に休まるものではなかった。
みんながみんな自分の居場所を求めている。「ここにいていい」と受け入れて欲しいと望んでいる。特に施設にいる子供たちは、敏感に感じ取って人間関係を作りながら、なんとかそこでの暮らしをしているのだろうと思いを馳せた。
大人へと成長した彼女の恋愛
高校の卒業を控え施設を出ると当時に、彼氏「亮」との同居を始める。一見、いい関係に思えていたけれど、やはり闇がある。ちょっとしたことをきっかけに、その人の内側にある闇が顔を出す。
ちょっとした行動に不信感を抱き、それに対してどう行動するか。相手と冷静に話すことができれば、変に絡まることを防ぐことができる。。。でも、自分自身が未成熟であったり、自己肯定感が低かったりすると難しいかもしれないとも思う・・・
健全な関係性としては、やはり当事者同士で冷静に話し合うということが、ベストなのだと思う。しかし、人はそんなに強くないし、信じたいし・・・お互いを勘繰るように探るようになったりする。
そして、見た事実をどう受け止めるかは、やはりその人本人の思考や経験から創り上げられる。
お互いに育んだ愛が、ゆがんだ愛情へと変化していく。
彼との再会
「亮」の愛情が変化していったのは、彼女の行動に対して不信感を抱いてからだ。
彼女は幼いころに居候した「幼児誘拐」の犯人として扱われた「彼」のことをずっと気にかけてきた。そして、彼との再会を果たす。そこに、恋愛感情があるわけではなく、ただ「幸せであってほしい」そう願っているだけだ。
けれど、そう思っていることと、好きという恋愛感情との違いが判らない人もいる。そういう彼にとっては、理解しがたいものだったのだろう。
亮は豹変していってしまい。二人の関係は崩れていった。
亮も生い立ちに、問題というかトラウマを抱えていた。やはり、思いが現実を引き寄せるということを考えさせられる。何が起きているかというよりも、その物事をどうとらえるかということなのだと分かっていても、当事者は視野が狭くなってしまう。その人の経験から、その人独自の物事に対する見解をしてしまう。
自分を信じる
彼との再会、新たな展開が繰り広げられ、取り巻く周りの人によってさまざまなことが交差する。
ただ、そこにあるのは彼女の純粋な彼に対する「人間愛」と「感謝」だと感じた。
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まとめ
この記事がとても長くなってしまったので、割愛
最終的に感じたことは、どんな出来事もみんなそれぞれの眼鏡を通してみている。その時点で、真実ではないものを捉えていたりする。そして、真実を見ようとしない、知ろうとしない。
世の中で起きている出来事、目にする事実、それ自体起きていることには変わりないけれど、必ずしもそのこと『=』真実なのではないということ。
視野を広げて、思い込みをなくして、頭や心を柔らかくして世の中を観ていこう!そして、自分自身を信じる強さがこれからの世の中を生きていくのに大切だということを感じさせてくれる作品だった。
また、あるがままの自分を受け入れることができずに苦しむ「彼」
未成熟な自分を受け入れられずに、存在をゆがめていく。
人は見た目だけでは、判断できない。「見た目で判断しようとする」意識から、苦しめられている人がどれだけいるか。
自分自身でさえ、さらに自分を苦しめるようなことをしてしまう。
本で取り上げられている内容はとても大きな問題だが、「こういうことって日常でしているな」と気づかされた。
認められるために、受け入れられるために、なんだか違うけれど「私はこうです!」というようなこと。
これを読んで下さった方の中にも、そんな経験ありませんか?
「流浪の月」を読んで・・・を、このあたりでおわりにしておこう
また、追記するかもしれません( ´∀` )
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