アジア紀行~ベトナム・サパ⑧~
サパ最終日。前回の続きです。
残り数時間のサパ
サパの町に戻るために、急な坂道をのぼる。汗がしたたり落ちる。後ろからやって来た日傘をさした黒モン族のおばさんに追い抜かれる。毎日この山道を上り下りしているのだろう。
村を案内してくれた黒モン族のチーちゃんを思い出す。もう二度と会うことはないだろう。ほんの短い滞在だったが、サパは私の旅の記憶に深く刻み込まれた。
振り返ると、谷底に黒モン族の村が見える。
そして見上げると、サパの町が近づいている。
サパの町に着き、市場の前までやって来た。
まだ昼ご飯を食べてないが、空腹感はない。それより、何かお土産になるものはないかと思って、市場の中に足を踏み入れる。狭い通路を挟んで、いろんなものが売られている。
小さな孫たちに、民族衣装のようなものを買う。あまり実用的ではなさそうだが・・・。
店にいたおばあさんは、とても味わいのある雰囲気の、かわいい人だった。黒モン族の人は写真を撮られることを好まないが、買い物をしたからか、快く撮らせてくれた。
お値段はわずか7万ドン。日本円にして350円にもならない。最初は13万ドンと言われたが、おまけしてくれた。値切るのが申し訳ないほどの値段だ。
このあと、ホテルに戻る途中に入ったレストランで食べたチーズケーキとジュースが74,000ドンだった。こちらのほうが高い。
ラオカイ駅へ
午後3時、ホテル帰着。チェックアウト・タイムは5時の予定だ。シャワーを浴びて着替え、荷物を整理する。心残りはあるが、「来ては去る」のが旅というものだ。
4時半にフロントから電話が入る。チェックアウトの手続きをして、ラオカイ駅までのミニバスの料金5万ドンを支払う。来たときと同じ値段だ。
5時を少し過ぎた頃、ミニバスがホテル前に到着する。座席はほぼ埋まっている。前の2列はすべて地元の人たちで、その後ろの3列は旅行者と思われる人たちが座っている。何とか座席を確保する。
ラオカイ駅までは40kmほどだから、1時間ほどだ。1500mの高地から一気に走り下る。あまりに揺れるので、前の席のベトナム人の女性が車に酔って気持ち悪そうだ。
右手に川が流れ、その向こうに山が連なる。斜面には棚田が広がる。あんなに開墾してしまったら、大雨が降ると大丈夫なんだろうか。川は急流、ところどころで渦巻いて白く泡立っている。清流ではなく、茶色く濁った水だ。昨日の雨のせいか、水量が多いようだ。
6時5分に駅に到着。ジャスト1時間だ。
サパのあの独特の雰囲気が、早くも懐かしくなる。
ミニバスのドライバーに、ハノイまでの乗車券の予約票を渡す。
すでに882,000ドン(42米ドル)をホテルで支払ってあるが、大丈夫なのか不安。
15分ぐらいレストランで待たされたあと、無事にハノイまでのチケットを手渡されてホッとする。
列車は、19:30発の「SP8 7号車の21」。行きと同じく4人用のコンパートメントだが、私以外の3人は家族で、夫婦と高校生くらいの青年だった。
来たときと違って、水とコーラorビール、そしてクラッカーが付いていた。シーツも清潔そうだ。
同室の3人はとても静かで、私も早くに眠りについた。明日の早朝は、ハノイだ。
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