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アジア紀行~ミャンマー・インレー湖③~

インディン(In Dein)の五日市

カヤン族のマーケットを後にして、ボートはインレー湖から続く狭い水路をひたすら奥地に向けて進む。この先には、インディンという村があり、そこには1,000を超える仏塔をもつ寺院遺跡がある。

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水路にはところどころに堰や木橋があり、そのような場所は、船が通れる幅が極端に狭い。ボートを操る者の腕の見せ所である。船頭のモーウィン君は一度も失敗せず、滑るように船を走らせる。

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川辺には、インダー族の人のものと思われる水上家屋があったり、洗濯をする人の姿も見える。川は人々の生活と密接に結びついている。

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到着! 船着き場にはたくさんの船が並んでいる。

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インレー湖周辺の町や村では、五日市と呼ばれる市が立つ。5つのグループがあって、グループごとに各地を巡回する。この日はちょうどインディンで市が開かれる日にあたっていたので、インディン寺院に行く前に、このマーケットを見学することにした。

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食料品が多いが、衣服などのさまざまな生活必需品や装飾品など、見ていて飽きない。

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売られているもの以上に興味をひくのは、ものを売っている人たちや買い物に来る人たちだ。このマーケットでは、あざやかな色の布をターバンのように頭に巻き付けている女性が多かった。これはパオ族の人のようだ。
幼い子どもを連れたお母さんもいる。
マーケットは、どこの国に行ってもおもしろいが、このマーケットは観光客目当てではなく、地元の人々のためのものだという印象が強かった。

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ここでも、売り子はほとんど女性だ。男は何をしているんだ?

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マーケットが始まるのは早朝の7時頃で、昼頃には終わるという。かなり早い時間に村を出て、ここにやって来るのだろう。昼までまだ少し時間があるが、食事をしている人もいる。

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一つ10円くらいのパンケーキみたいなものを焼くおばあさん。
500チャットを渡すと、大きな葉っぱの上に5個置いて包み、ビニール袋に入れて渡してくれた。笑顔がとてもいい。

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花を買っていたおばあさん。
撮影をお願いすると何度もポーズをとってくれたが、カメラの方を向くのを恥ずかしがる様子がかわいい。ありがとう。

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そろそろ昼前になる。もう店じまいしたのか、買い物をすませたのか、村へ帰っていく人の姿があった。みんなすごい荷物だ。女性はたくましい。

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思った以上にマーケットで時間が経過した。すぐに夢中になってしまう。
モーウィン君との約束は、インディンで1時間ということだったが、とても無理みたい。まだ目的のインディン寺院に行ってないのだ。

インディン寺院へ

約束の時間に遅れるのを覚悟して、急ぎ足で歩く。
寺院の入口でカメラ持ち込み料の500チャットを支払い、屋根付きの参道に入る。これがまた長い。
両側に、あまり商売気のない土産物屋がずらりと並んでいる。どこまで続くのかと思うくらいに長い上り坂の参道の両側には、古い仏塔がいくつも見える。

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やっと入口らしきところにたどり着く。息を切らしながら、ここで履物を脱ぐ。
周囲には古い仏塔と新しい仏塔が混在している。その数は1,000基を超えるらしい。修復されたものもあるが、まだあまり手が入っていないように見える。

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崩れかけた煉瓦積みの仏塔がある一方で、金色の輝く仏塔群もある。

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仏塔の間から、かなり下の方に緑の木々が見える。ここまで上ってきたわけだ。またあそこまで戻らなければいけない。

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これは何だろう。人面だが、大きな翼を持っている。

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そもそも、「インディン遺跡」についての知識が乏しすぎると、反省。仏教遺跡であることはわかるが、いったいいつ頃の寺院なのか。遅まきながら、調べてみる。

インレー湖の西に位置するインディン村にひっそりと佇むインディン遺跡。インディン遺跡は、紀元前3世紀頃の古代インドのアショーカ王の時代に仏陀の聖遺物を祀るために創建されたのが始まりと信じられています。その後パガン王朝時代以降に歴代の王や信者によって多くのパゴダが建てられ、最盛期には、2000基を超える仏塔が建てられていたとも言われています。インディン遺跡に現在も残る1000基以上の仏塔は、14~18世紀にかけて建てられたものですが、ほとんどの仏塔は17~18世紀に建立されたものとされています。
インディン遺跡の仏塔の大きさや形は様々で、一部の遺跡の中には仏像や壁画、レリーフが残っています。また、修復されているものもあれば、崩壊してしまったもの、樹木の根や雑草に覆われたものもあります。ミャンマーのパゴダや遺跡群は、歴史あるものでも原型と異なる形に修復されてしまうものが多い中、インディン遺跡群の中には手付かずのまま残っている遺跡が多くあります。というのも、インディン遺跡の一般公開と整備が始まったのが2000年代に入ってからで、ごく最近ということも関係しています。草木に埋もれた仏塔も多く、朽ち果てた姿に悠久の時の流れを感じずにはいられません。また、樹木の根が絡みついた仏塔は、自然の力強さと共に神秘的な雰囲気も醸しています。年々、訪れる観光客も増え、整備も徐々に進んでいるので、手付かずの遺跡が見られるのも時間の問題かもしれません。
                          (資料:Tabitt)

ふむふむ。インディン遺跡の一般公開と整備が始まったのは2000年代に入ってからだったのか。
遺跡の整備というのは、なかなか難しい問題を抱えている。原型に近い形に修復する方法もあれば、科学的に現状を維持して崩壊をとどめる方法もある。さっき通ってきた長い参道にしても、そこが寺院遺跡の一部であることは間違いないが、すでにそこに土産物の店があることで、何らかの破壊が進行しているはずだ。このインディン遺跡がどのような未来を迎えるのか、あらためて気になった。

遺跡とはいうものの、インディン寺院は現役の寺院でもある。本堂には金色に輝く大きな仏坐像が安置されている。

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まだまだ見残したところがたくさんあると思うが、約束の時間が過ぎてしまったので、仏様を拝んだあと、参道の坂道を猛ダッシュで船着き場へと下り降りた。



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