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333・・・

今日から二月如月に入る。
2022年になって32日目。今年の残りは333日。きれいに3が重なった。

333・・・で思い出したものがある。
昔読んだルナールの『博物誌』に、確か333・・・があったはずだ。
急いで本を探しに行く。
書架の文庫本の中に、ひっそり目立たない背表紙を発見する。

 『博物誌』 ルナール  新潮文庫    

『博物誌』という題名ではあるが、自然科学の書ではない。
対象への鋭い観察と愛情を言葉で綴った文学である。
70編ほどの項目の一つに「蟻」があった。

一匹一匹が、3という数字に似ている。
それも、いること、いること!
どれくらいかというと、333333333333……ああ、きりがない。

訳者は岸田国士。昭和26年1月のあとがきがある。
ボナールの挿絵もおもしろい。

蟻・挿絵

「3」の数をかぞえると12ある。そして「・・・・・・」と永遠に続く。
まるで無限数列のようだ。

おもしろくなって、ほかにも「333」はないものかと考えた。
あった! ありましたよ。
ベトナムビール「333」。バーバーバー!
ベトナムの国民的ビールだ。

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ベトナムでは、ビールを注文すると、きまって「333」が出される。
キリンですか? アサヒですか? なんて聞かれない。
夜になってもなまぬるい空気と食べ物の辛さに、「333」はよく似合う。

「333」ではないけれど、子どものころのぼくたちにとって、「3」という数字は特別なものだった。なぜなら、「3」は巨人軍の長嶋茂雄選手の背番号だったからだ。

銭湯に行くと、入口に下駄箱があって、木の札がついていた。サンダルを入れる場所は、決まって3番。
しかし3番が空いている確率は低かった。そんなときは、王貞治の1番か、広岡達朗の2番でがまんした。川上哲治の16番も狙い目だった。

昔はそんなのんきな「3」もあったが、現在の「3」は深刻だ。

ミャンマー抵抗

ミャンマー国軍のクーデターから、早くも1年になる。昨日の新聞の大一面に、この写真が載っていた。
ミャンマー国民は「3本指」を立て、独裁政権への抵抗を示し続けてきた。当初はこれほど長引くとは思わなかった。大勢の国民が立ち上がり、体を張って抵抗し、国際世論の後押しもあって、どこかで解決の糸口が見つかるのではないかと楽観していた。
しかし今や、おおっぴらに「3本指」を立てることは、自らの命を危険にさらす状況になってしまった。

地球の至る所で不穏な火種がくすぶっている。それに気候変動やコロナが追い打ちをかけている。

「333・・・」が幸福の無限数列であることを願わないではいられない。



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