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アジア紀行~カンボジア・アンコール遺跡の旅②~

シェムリアップの地図

宿泊が決まった FREEDOM HOTEL で、Siem Reapシェムリアップの地図をもらう。シェムリアップの人口は2024年現在で約30万人、しかし私が行った2000年当時は、おそらく10万人ほどだったと思われる。観光化されるにともなって、人口が流入したのだろうか。

FREEDOM HOTEL は国道6号線沿いにあった。国道とは言っても、舗装道路はすぐに赤土でおおわれてしまう。

ホテルの前の道を西へ向かい、シェムリアップ川を渡って、ロータリーを北に行くとアンコール遺跡にたどり着く。しかし徒歩で行くには遠すぎる。
フロントの女性にアンコール遺跡までのアクセスの手段を尋ねると、タクシーで1日20ドル、バイクで1日8ドルだと教えてくれた。


バイタクのキーさん

ちょうど昼時。シェムリアップの町まで歩いてみようと思って外に出る。すぐに通りがかりのバイクが近寄ってくる。

「アンコールに行くのか? 1日6ドルでいいよ。」

早速バイクタクシーにつかまった。こちらが見つけるのではなく、向こうが見つけてくれる。1日6ドルなら、ホテルのフロントで聞いたより安い。今日はもう昼だから、半日なら3ドルだ。とりあえずアンコール遺跡までこのバイクに乗せてもらって行ってみることにする。

運転手は名前を「キー」と言った。MR.キー。キーは「Key」なのか「Kee」なのかわからない。しかし、アンコールの入口の「鍵」を手に入れたような気になる。
早速バイクの後部席にまたがって、アンコールワットに向かう。途中に検問所がある。ここで「one week pass」を購入する。1週間有効のチケットが60ドルだった。持参した写真といっしょにパウチされる。昔の写真を見ると、ちょっと気恥ずかしい。
検問所の係員が、パンチで穴を開ける。1穴が1日分の使用を表す。

ホテルを出て30分ほどで、大きな環濠に囲まれたアンコールワット前に到着する。しかし見学の前に、バイクのキーさんが、ランチがどうのこうのと、何度も言うので、手前にあった食堂に入ることになった。まだお腹がすいていないが、寺院の中に入ってしまうと食べる場所などない。無難なところで、ヌードルスープを頼む。何でも外国人用にドルで値段が表示されている。ヌードルスープは2ドルだった。

キーさんは普段はなにをしているのかと尋ねると、なんと高校で英語を教えているという。英語の先生らしくない〈英語〉だが。まさか嘘はつくまい。カンボジアの学校の新年度は10月スタートなので、今は長期休暇らしい。しかし、バイタクのバイトなんかしていいのだろうか。


待望のアンコールワット

午後1時。いよいよ待望のアンコールワットに第一歩を踏み入れるときが来た。キーさんとは、ひとまずここでお別れだ。案内してくれるのかと思ったが、彼の仕事はあくまでトランスポートのみ。夕方5時半に、もう一度ここに迎えに来るという。見学時間は4時間半。初日としては十分だろう。それにしても、暑い!

西参道から環濠を渡って西門に向かう。環濠の幅は200mほどもあり、参道入口から見ると、建物は遥か向こうである。石の橋は片側が修復中で、ブルーシートをかぶせてある所もある。この西参道の修復には、日本のODAの支援を受けて、1996年から日本の上智大学が関わっている。工事は2期に渡り、昨2023年にやっと完成したそうだ。

800年の歴史を感じながら、石畳を歩く。橋の途中には壕に突き出たテラスがあり、シンハ(獅子)とナーガ(蛇神)が護っている。

途中で出会ったカンボジアの子供たちが写真に入ってくれた。

環濠を渡りきって、やっと西門に到着。ぐるりと周壁が巡らされている。太陽が容赦なく首筋を焼く。

西門の上部は塔になっている。

西塔門のすぐ右側の入口に、高さ4mのヴィシュヌ神像が安置されている。数人のお婆さんが、神像を守るようにそのそばに座っている。ガードマンのお兄さんが線香を供えるように促し、お布施を出せという。ドル札しか持ち合わせがないし、強制されるのが癪なので、手を合わせて立ち去った。

西塔門の内側に入る。壁面に、美しいデバターのレリーフがある。デバターは「女神」と訳されることもあるが、本当はカンボジアの女官や踊り子を指す。アンコール遺跡ではたくさんのデバターに出会うことができる。

さて、門の中に入ったものの、アンコールワットの五基の堂塔がそびえる本殿は、まだ数百メートルも先だ。

さきほどのガードマンのお兄さんがモデルになってくれる。

中央祠堂までの参道を歩く。日陰がまったくないので、暑さがたまらない。参道の途中、左右に経蔵がある。左側の経蔵は修復中だった。当然ながら、日本の木造建築の経蔵とはまったく異なる。案内を見なければ、なんの建物かわからない。

オレンジ色の袈裟を身につけたお坊さんも時々見かける。

参道の左右に聖池があるはずなんだが、気づかなかった。やっと正面入口付近に到着。須弥山を模した中央祠堂は何重にも囲まれている。図を見ても、自分のいる位置がうまくつかめない。十字型テラスの辺りにいるようだ。

『アンコール・ワットへの道』(JTBキャンブックス)挿図


振り返ると・・・

シンハのお尻の上に穴があいているのは、尻尾がついていたのかな?

なかなか内部に入れない。いつまでも周囲を歩いてみたい気がするが、この暑さがそれを妨げる。そろそろ第一回廊に向かうことにしよう。

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