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大阪市の神社と狛犬 ⑱生野区 ④生野神社~お伊勢参りのお礼の狛犬~


大阪市生野区の地図と神社


大阪市には、現在24の行政区があります。生野区は大阪市の東南部に位置し、北は東成区、西は天王寺区、南は阿倍野区・東住吉区・平野区、東は東大阪市と接しています。区名の「生野」は、「生野長者」の伝説にちなんで付けられています。
今回は生野神社に参拝します。JR環状線寺田町駅よりほぼ東へ徒歩20分ほどの住宅街にあります。桃谷駅から歩くと、もう少し時間がかかりそうです。隣接して、舎利尊勝寺があります。


生野神社

■所在地 〒544-0022 大阪市生野区舎利寺1-2-27
■主祭神 素盞嗚尊
■由緒  詳しいことは分からないが、かつては牛頭天王宮と呼ばれ、舎利尊勝寺の鎮守社として創建されたという。明治5年(1872)に村社となり、明治42年(1909)に素盞嗚尊神社と改称した。さらに戦後の昭和22年(1947)に現在の生野神社となった。神社の鳥居は宝永7年(1710)の刻銘があり、区内では最も古い貴重なものである。

宝永7年の鳥居 狛犬と拝殿


狛犬

■奉献年 天保四癸巳年九月吉日(1833) 世話人 伊勢講中
■作者  不明
■材質  花崗岩
■設置  拝殿前

拝殿前の浪速狛犬
拝殿前の浪速狛犬(阿形)
拝殿前の浪速狛犬(吽形)
拝殿前の浪速狛犬
拝殿前の浪速狛犬

舎利尊勝寺の隣、住宅街の交差点の一角に生野神社がある。境内はひっそりとしていて、ほかに参拝する人とも出会わない。社務所も無人のようである。「宝永七庚寅年十二月十二日」の刻銘のある石鳥居と拝殿の間に、花崗岩製の浪速狛犬が安置されている。
この石鳥居は、以前の写真を見ると境内入口に建っていたようだ。時期はわからないが、移設したのだろう。

「神社探訪・狛犬見聞録」生野神社より


台座に紀年銘などがあるが、甚だ読みづらい。

 「天保四癸巳年九月吉日」
 「世話人 伊勢講中」


台座銘

天保4年ということは、1833年の奉献である。この頃はお伊勢参りが盛んで、各地で「伊勢講」という信仰集団を結成して旅費を積み立て、くじに当たった者が順番に代表として伊勢神宮に参拝したという。そのお礼として狛犬を奉納したのであろう。
狛犬は像高70cmあまりで、この頃に盛んに造られた浪速狛犬の特徴をよく表している。吽形は「ムッ」と引き締めるような口元で、頭上には角がある。



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