東京リベンジャーズを一日一ループしている話。

あ、ネタバレ含むよ!

巷で噂の東京リベンジャーズ、東リベに手を出してしまいました。いや、映画公開間近とかそういうのに釣られたわけじゃないですよ。当然、私を誰だと思っているんですか、筋金入のイキリオタクですよ。流行りに乗って原作読むとか、実写映画につられるとか、人間国宝級イケメンの吉沢亮が出るとか、そんな俗っぽい理由で手を付けるわけないじゃないですか。あ、御託はいいですか、そうですか。


そんな感じで単行本最新巻まで読みました。何なら一日一ループしてます、1巻から22巻まで。本当は完結してから読みたかった。連載中の漫画はしんどいですよ。圧倒的な強制「待て」状態。新巻を待ち望み、読んで、そしてまたじらされる地獄。・・・だけど読みだしたら止まんなかった。

和久井先生は新宿スワンでもお世話になっていたのでもう案ずる事なく抵抗なく躊躇なく揃えましたよ。新宿スワンは大人の裏社会だけど、東リベはクソガキどものお話なんですが、それゆえに主要人物一人一人の背景を考えるととても胸が締め付けられます。(いやでも実際あんな中学生たちいたら、すれ違っただけで白目むいて倒れそう)

何も出来ねえクソガキの主人公がその想いだけで周り引っ張って突き進む、別にお話自体がすごく凝っているってわけじゃないんだけど、タイプリープものにヤンキーっていう泥臭い題材ぶち込むのはすごい化学反応だなと思った。あと過去(中学生)と現在(20代後半)を行き来するっていうのが、もうすごいギャップが。なんのってまわりの。人間模様の。


ガキだから許されるのが不良、でも、いつまでか

私はもう登場人物に憧れを抱くような世代ではないんだけど、作中の「凶悪の世代」と言われたS62近辺の生まれなので、タイプリープした世代がどこか懐かしく感じた。・・・でも、記憶には暴走族よりカラーギャングのがまわりに多かった気がする。

まあ何人かの登場人物がいっていたけど、あれって中学生だから「ガキの喧嘩」で済まされる問題であって、ヤンチャで済んで、いい思い出だなって思えるんだよね。若さ特有の自尊心、意思、絆。強烈な強い気持ちを純粋さと呼ぶのか、そしてそれがぶつかり合い、奪い合い、削り取られて、そうして分かれていく。その分岐に至る前の脆いミックス状態が過去。対する現代では一方は圧倒的な悪でもう一方はそこら中にいる大人。武道は過去を変えるたびにこの境界線を行ったり来たりする。そのギャップがすごくおもしろかった。

大体、たかが10数年しか生きてないのに他人に命預けたりできるのがすごい。預けた相手が何であれついていくことをやめない。なんだその信念。そんなん私は子供が産まれるまで持ったことなかったぞ。と、同時に彼らの母親ポジションに立ってしまって心配が尽きない。ポンポン若い子死にすぎな!!!!やめていのちだいじに!!!!!

結局エゴで生きている

全員が全員納得して幸せになるなんてそんな新興宗教みたいな世界はない。たくさん失望して、思い知らされて、諦めて、折り合いつけて大人になっていく。別にアングラ世界だけが汚ねえなんて思ってない。大人って基本汚ないと思うのが持論だから。武道はみんなのヒーローだけど、武道のせいで不幸になった人間だって作中外に絶対いると思う。大事なものを大事にしているのに、それが争いの火種になるってこともたくさんあるわけだ。だから、みんな口を揃えて言うんだ「後悔のないように生きろ」って。


後悔のない未来に向かって

さて、私は今ヒナ生存ルート完結まで読んだが、今後の展開と結末について思ったことをつらつら書き留めよう。

1,タイプリープはもうできないのか

まず直人がトリガーの役目を終えたのでタイプリープはもうできないのか・・?それはさみしいが、タイプリープするためには「過去を変えたいと強く思う者」がいないと成立しない。加えて、この漫画からタイプリープ要素を取っ払うと正直ダレると思うので、私はまたタイプリープすると思っている。となると、次のトリガーは誰だ?物語はおそらく終盤だ。

何度過去を変えても変わらない人物がいる。我らがマイキーなわけだ。マイキーの現在だけは一貫して変わらず、境界線の向こう側だ。大人になってからの向こう側。ある意味塀の向こう側だ。マイキーは向こう側の世界に染まるように見えないし、しかも12年という月日が流れなくとも東卍解散から2年足らずで「あいつはもう俺らの知ってるマイキーじゃねえ」状態になる。どうした、マイキー、お前はDV男から離れられない女か。何度助けても、未来を教えても、「うん、わかってる」って笑顔で言って、コロッと戻るじゃねーか!!しかも今回の世界線ではお前がすべてだといった、東卍メンバーも血の繋がりすら関係なく兄弟になれそうだったイザナもいねえんだぞ。何がお前をそこに呼ぶんだ。これまでは誰かに付け込まれてホイホイなんでもありの巨悪集団の頭張ってたけど、どうやら、マイキーは本心はともかく自らの意思で巨悪集団の頭をやっているようだ。

なので新トリガーは「マイキーの過去を変えたい」と強く思う者だと思うのが、打倒なのだが、困った。だって、マイキーのまわりにいてマイキーを取り戻したいと思ってるであろう連中は軒並みこっち側にいる。しかもマイキーに対して諦めという大人の判断を下している。それにも違和感を覚える。あのドラケンですら、マイキーと関わるなという始末だ。一虎か・・?一虎なのか、あいつはマイキーを諦めていない。しかし一虎と強い思いがしっくりこない。どうしても負の感情大爆発のメンヘラなイメージが払拭できない。千冬はマイキーというより、武道についていくスタイルだし。なんなの、これもう武道が右手と左手で握手してタイプリープするしかないの?もしくはマイキー自身が武道に救いを求めるの?

2,タイプリープできるのは武道だけでない説

どうしたって気になる事がある。

それは希埼の死に際の一言と、作中で協調されていたのにいまだ伏線が回収されているように見えない12年前の直人のセリフだ。

希埼はトラックに轢かれる前にこう言った。「オマエ・・・まだオレがタイムリーパーだと思ってんのか?」「オレは」

そしてその前にもこんなこと言っていた。「やっぱりお前はタイムリープしてんのか!」(大体こんな感じのニュアンスだったはず)

希埼は神童と言われてたくらい頭よかったから、いくら考えてもことごとく計画がうまくいかない事にたいして、仮説として武道がタイプリープしていると考えなくもないけど。そんなSF的発想まで加味して計画を練る人間無敵すぎるだろ。しかも最後のオレはーってなに?!オレは、なんなの!!何言おうとしたの!?トラック空気読んでよ!と膝から崩れながら思った読者はたくさんいたはず。大人で警察官で、しかも武道のタイプリープを目にして、そういった事象があり得ると体験した直人が「希埼もタイプリープしているのでは」と思いつくのとは全く違い、思考が超越している。となると、だれかからそういった情報を得ていた、と考えたほうがまだ納得がいく。信じがたいが、そう考えたら合点がいく、と。では、それは誰だ。

ここで先ほど言った。小学生直人が発した「時間の無駄は嫌いだ」とあえて強調されていたセリフ。しかも希埼と似たようなセリフ。あれ、二人ってこの時代繋がってるの?お姉ちゃんが塾の知り合いだから顔見知りかも知らんけど、お姉ちゃんが知ってる希埼は根暗ガリ勉のプライドエベレストな視野針の孔マンだよ。そんなイキった事を口に出して言うようになってからは、少なくともすれ違っても素通りするレベルじゃない?

希埼はさ、武道に嫉妬してストーカーするような奴だし、手に入らないなら殺すくらいヒナに執着してたわけだから、当然直人の存在も知っていたでしょうよ。利用価値があるかどうか見極めるために接触を試みた可能性もあるでしょうよ。そうなると、希埼がガングロになってから直人と繋がっていた可能性あると思うのよね。となると、直人が希埼にタイプリープの事を話した?でも、直人も知らないはずだよね。あれ、本当に知らないのかな。もしかしたら武道がタイプリープしたときに相手の記憶も過去に飛ばせる?いや、でもそしたら当時の直人も何かしら動いていたはず。動いていたのは希埼との関係の方向で?と思考が迷走するわけです。

もう一つはいつかの世界線で希埼が武道を銃殺しようとして、それを直人がかばって撃たれた時。当時のイザナが「直人は俺がやるって言ったのに(というようなニュアンス)」と発した事。

うん、ここでもイザナが直人を知っているのに違和感。そりゃ直人は警察ですから。イザナが自分を嗅ぎまわっている直人の事を認識していてもおかしくはないけれども、直々に直人が手を下す必要があるかって話。なにか個人的にあったって考えたほうが筋が通る。イザナと希埼と直人は少なくとも12年前以降からどこかでつながりがあって、三者とも利用しようとしていたのではないか。あれ、直人ちょっとおかしくね?

3,直人が怪しいとしてその目的は

では、直人が怪しいとして、目的はなんだったのか。トリガーの役割を終えている時点で間違いなく最優先事項はヒナ生存の未来だったと思う。加えて別の目的があったとしたら。それはなんだろう。

直人がトリガーを終えた、ヒナが生存していた現代とヒナが死んでいる現代に共通する事はなんだろう。うん、マイキーが向こう側の世界にいることだ。つまり直人はヒナが生きていて、なおかつマイキーを自分の周り(主に武道)と決別させる事をミッションコンプリートとしていたのだろうか。

しかしマイキーは自分の意思でそうなった、直人がそうさせた。なんのために?そもそも直人はお姉ちゃんを生かす事に命かけすぎじゃねーか?いや、姉弟だからね、そりゃ生きててほしいし、阻止できるならすると思うよ。でも今まで直人とヒナの絆を象徴するようなエピソードがない。少なくとも12年前の直人は「嫌いだよ、姉貴の事好きなやつなんでいないでしょ」って言っちゃうくらい普通なんだよね。強く過去を変えたい=強く姉に生きていてほしいと思うほどの絆が描かれていない。普通というのが適切かはわからないけれど、例えばヒナの両親がヒナ生存を切に願うのは痛いほどわかる。でも東リベには基本大人は出てこない。その代わりを直人が表現しているのか、ならなおさら現代の直人から何かしらヒナを思い慕う言葉があってもいいと思うが。なんか、ヒナの死に直人が関わっているのではない。ヒナは希埼が殺したのだけれど。そもそも最初の世界線でなぜヒナと直人は一緒にいた?大人になってから仲良く行動を共にする間柄には見えなかったけれど。直人が何かしらの野望をもって行動しヒナを予想外に死なせてしまった。だからヒナを生き返らせたい。そこには家族愛ではなく大きな罪の意識があった。・・・でも和久井先生らしくないんだよなあ。

4,結末はどうなる

和久井先生の作品はデザートイーグルと新宿スワンくらいしか読んだことがないが、わりと登場人物と物語の進行に共通するものが多いとおもう。

人を惹きつける主人公、そこに集う仲間、主人公が憧れているキーパーソン(だいたい悪い方向に進んでいく)、そのキーパーソンとの対立。

この式に当てはめると、キーパーソンがマイキーにあたるわけだ。

そして主人公のまっすぐさは折れない。つまり武道が死ぬような結末には10000%ならない。であれば、対立するマイキーが改心するか死亡という形で終わる可能性が高いのではないだろうか。武道はどの世界線の現代マイキーでも見捨てたりしないと思うから、改心するルートのほうが可能性高そうだけれど、マイキーを命の幕引きという形で救済し、なるべくしてなった死として惜しみながら解放するという可能性も捨てきれない。私はマイキーは武道をかばって死ぬんじゃないかと思っている。抱えている闇が深すぎて、いくらパンチしても改心できなそう。やだよう。


こんな感じで自分でも驚くくらい駄文を垂れ流してしまった。

ここから最終巻まで私はキリキリとまだ見ぬ結末に怯え、同時にはやくスッキリさせたいというジレンマと戦いながら生きていくのです。沼で待ってる。

もし次に東リベについて書くなら、最推しの千冬について熱く語ろうと思う。

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