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映画「生きて、生きて、生きろ」


ども。
毎度、院長です。
ご無沙汰しておりますが、拙者はぼちぼち過ごしております。
今回は昨日観に行きました、映画のお話です。
表題の「生きて、生きて、生きろ」という映画で、2011年3月11日の東日本大震災と原発事故から13年後の福島では、時間を経てから発症する遅発性PTSDなど、こころの病が多発している、というところの、ドキュメンタリーものです。
若者の自殺率や児童虐待も増加しており、映画の中では、メンタルクリニックの院長、蟻塚亮二医師、NPOこころのケアセンターの米倉一磨さんが、様々なこころの病を抱える方々の話をきき、奔走しております。
ただ福島の事情だけではなく、蟻塚医師が沖縄での診療上経験してきた、第二次世界大戦での沖縄戦後の遅発性PTSDとを織り込み、国策や政治的歴史の共通点を織り込んでいます。
声高の主張や、わかりやすく激しく感情に訴えかけるような構成ではなく、映画全体の起伏はさほどないのですが、さらりとこころに残る映画でした。真面目な品の良さを感じた次第です。たとえて言うと、良質の低温殺菌牛乳のあっさりした味わい、とでも言いますか。
この映画は現在、上映後に監督とゲストとのトークイベントをやっており、昨日は伊藤詩織さんが登場するということで、拙者は嬉々としてはせ参じたのでしたよ。
伊藤詩織さんという方は、皆様ご存じかと思うのですが、ジャーナリストであり、自身の性被害の体験を実名で公表し闘ってきた方です。
自身の体験を踏まえ、トークイベントでは「日本は被害者にどこまでも負担を強いる国だ」「被害者はそれと公表すると、さらに二次被害を被ることになるのに・・」というようなコメントもされておりました。
冒頭画像は、監督と伊藤さんのトークイベントの様子です。

伊藤詩織さん


笑顔もかわいい。


広末涼子に似ている気もした。
拙者、とにかく目が釘付け。
目が釘付け過ぎ。

拙者、映画もさることながら、この伊藤詩織さんを見に、上映しているポレポレ東中野にいったようなところもあり。
とにかくトークイベント中、伊藤さんを携帯で撮りまくっておりました。

ポレポレ東中野という映画館、その昔BOX東中野とか言っていたと思うのですが、マイナーな映画を扱っているところです。
拙者が東中野の近くに住んでいた頃、時々歩いてこの映画館にいっておりました。それから四半世紀近くたちますか、本当に久しぶりに東中野に行きましたが、ずいぶんと駅前が整備されていてびっくりです。
拙者が住んでいたころの東中野ったら、なんだかごちゃっと、もさっとしたアングラな雰囲気があったのです。そういうところで拙者、ふる~い建物の中でやっておる文学講座に出席したりしていたのでした。
昨日訪れた東中野も一本入るとそういうところは残っておりましたが、山手通りに面した駅のロータリー的なところが整備されていて、「ここがあの東中野?」っつう驚きをもってきょろきょろした次第です。

映画の話に戻りますが、テーマとしては重いもので、ハッピーエンドのようなわかりやすい結末があるわけではなく、なんだかある種の途方に暮れる感覚だとかやりきれなさとか無力感とかを覚える部分もあるのだけど、そのあたりをとてもスマートに柔らかくあっさりと構成している、良質な作品だと思うたです。テーマは重く、真面目に取り組んでいるけど、仕上がりは穏やかで控えめ、という感じ。
トークイベントでの嶋田陽磨監督の穏やかな語りが、そのまま映画の雰囲気に重なるようでありました。
そしてまた、映画に出てこられていた、避難先での息子の自死を機にアルコール依存になっておられた男性の、生きていることへの罪悪感からの少しずつの解放の兆し、夫を震災で亡くした女性が生きていてもよいこと、夫が好きだった食べ物を食べてもよいこと、生きる事、味わうことを取り戻していく姿がスクリーンに映し出されるところには、拙者涙・涙でありました。
これは、一人でも多くの方に見ていただきたい映画です。