恥
「はい、私はサティに行ってきました。」
サティだってー。そんなのいつでも行けるよね。
小学生の頃、夏休みにどこに行ってきたか発表する場面でのこと。
みんな、避暑地にいってきたとか、ディズニーにいってきたとか、
金持ちの子なんか海外にいってきたって。
立派な発表が続いたあとの私の夏休みの発表は、
車で15分の大型商業施設にいったという、
みんなから見ればみすぼらしいもの。
母子家庭でほとんどを祖父母とともに過ごしていた中、
たまの休みに商業施設に連れていってもらったことは、
私の中では立派な外出イベントだったのに。
父親がいないというだけで、私の家はこんなにも他と違うのか。
小学生ながらに絶望を味わった。
ヒソヒソ話をする声、聞こえてますけど。
「自分の子どもには絶対そんな思いはさせない」と注意を払ってきた。
そして家族ででかけることは、過去の自分のなぐさめにもなる。
しかし、そんな楽しいお出かけ行事も、感染拡大によって制限しなければいけないことが多くなった。
昔の私がいま、ここにいたら、
「感染がひろがっているので出かけられませんでした」
って言えちゃうのにな。
過去の私のように、貧困で悩む家庭はいま日本にどれだけいるのか。
今悩んでいても、
おとなになったら貧困体験が役に立つときが必ずくるから。
子どもたちの明るい未来がひらかれますように。
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