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呼ばれるように行く、ということ。

春になって気分も外向きに。お散歩したい気分が高まってきました。
行き先を決めない気まま散歩が好きです。
たまに、「今日ここに呼ばれたな。」と思うようなちょっとした奇跡に遭遇する時があります。まさにセレンディピティ。

もう随分昔の話になりますが、まだ私が父を嫌っていた、というか長い反抗期をこじらせていた頃(今はそうではなくなったきっかけのお話はこちら)

その頃私は徒歩1時間、つまり歩く距離ではない距離をお散歩気分で楽しむ通勤をしていました。当時父が体調を崩し入院していましたが、私は「見舞いなんて行かないからね!」と母に宣言済み。意地を張っていたとかではなく本当に行かないつもりでした。

ある日の仕事帰りふと思い立ち、「今日はいつもの道ではなくて、適当に思った所で曲がって好きな道で帰ろう!」と、適当行き当たりばったり帰宅を思いつきました。

下に下りるエレベーターの中で、当時ちょっとハマって身に着けていたパワーストーンでできたブレスレットの留め具が外れている事に気づき一瞬ドキっとしました。叔父さんが癌で闘病中だったこともあり、何かあったのかな!?とヒヤリとしたものを感じましたが、何かあれば母から着信があるはず。そう思い直して予定通り出発。

方向さえ間違わなければ帰宅できるだろうと、思うままに進む道のりはなかなか楽しかったです。なんてったって徒歩1時間の道のりです。適当にするにもし甲斐があります。

途中から無心で歩き続けてだんだん頭がすっきりしてくる感覚も好きです。1時間というのはちょうど良い時間で、仕事の後のクールダウンにもなっていました。

それからだいぶ歩き続けてふと立ち止まり顔を上げると、そこには病院がありました。
母から名前だけ聞いていた父が入院している病院です。
本当に行くつもりがなかったので場所すら調べていなかったのですが、その日思いついた適当帰り道の中でたまたま辿り着いたのです。

「これは、さすがに見舞い位は行けってことだよね…?」

神様からのお告げな気がしてならなくて素直にそのまま中に入ってみることにしました。
先程のブレスレットが外れていた時から今日のこの展開が決まっていた気すらしました。
仕事の後の夜の時間に面会なんてできるのかすらわからなかったけれど、案外オープンな感じで突然行ってもあっさり面会できました。

何を話したかも覚えていませんが、父が小銭をくれて何か飲み物を買った記憶があります。そして帰り際「がんばれよ!」と言いました。「何を?」と一瞬思ったまだこじらせ期の余韻を感じさせる私の反応 笑
そして父から「がんばれ」なんて言われたのは初めてでした。なんと言うか、叱咤激励!みたいなのは一切しない人でしたので、不思議に感じました。
後から母から聞いたことですが、当時父は「次の桜はもう見れないかもしれない。」と思っていたそうです。安心して下さい。あれから10年以上経ちますが今も元気です 笑

あの時は、場所に呼ばれたのだと思います。
そういう事ってたまにあるなと。

ふと思い立って素直に行動に移した時に起こりやすい気がします。

それで、というわけではありませんが行き先を決めないお散歩が好きで、「何か嬉しい偶然があるかもしれない!!」といつも小さく期待しながら出発します。

もちろん人生そううまくは行きません。
そんなに毎回毎回奇跡は起こりませんが、「何かあるかも!!」と思いながら歩くだけでもその時間はみずみずしいものになります。

もし時間にゆとりがある日には、適当行き当たりばったり帰宅、おすすめです。

さぁ今日も、セレンディピティに小さく期待して、外に出よう。



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