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カーテン越しの恋
私はカーテンが好きです。
それは私の小さな身体を大きく見せてくれるから。
それは私の尖った耳を引っ込めてくれるから。
そして、私のしっぽを隠してくれるから。
特に、月夜の綺麗なカーテンの窓際が好きです。私の姿をよりニンゲンに近付け、それを見てカッコイイと甘えた彼女の言葉が、私の尖った耳をくすぐるからです。
~ある黒猫の告白~
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赤毛のお下げ、鼻の上で点々と太陽の跡を残すそばかす達。
そんな自分の顔が好きになれない。
人の手によって造られたのに、その中でも醜い容姿。
どうしてわざわざ造ったのに、可愛くしてくれないの。自分が劣等感でいっぱいだから、私に八つ当たりしたいわけ?
どうせなら、あの子みたいにして欲しかったな。それなら、彼のもっと傍で言葉を囁けるはずなのに、さ。
彼はカーテン越しにしか姿を見せてくれないし、逢えるのはお月様が高く昇りつめた頃だけ。
なのに、私の動かないはずの心臓を捉えて離さない。
たぶん、どんな姿だろうとも好きになってしまうと思う。
カーテンより外側に出たら、ランプの魔法はなくなって、私は人間の女の子から単なる無機物という存在になってしまうけれど。今よりずっと、貴方の事が好きだと言えると思う。
貴方がこの先ずっと、カーテンの向こう側で待っていてくれさえすれば、それでいい。
「「ああ、でも、この布の厚みがもどかしい」」
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