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カーテン越しの恋

私はカーテンが好きです。 それは私の小さな身体を大きく見せてくれるから。 それは私の尖った耳を引っ込めてくれるから。 そして、私のしっぽを隠してくれるから。 特に、月夜の綺麗なカーテンの窓際が好きです。私の姿をよりニンゲンに近付け、それを見てカッコイイと甘えた彼女の言葉が、私の尖った耳をくすぐるからです。 ~ある黒猫の告白~ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 赤毛のお下げ、鼻の上で点々と

    • 世界のシミ

      世界に一つ、間違いのシミがあった。 それは酷く小さくて、何処にあるのかも分からないものだった。 だからだろう。 だから、神様もそのシミがある事に気が付かずにそのまま通り過ぎてしまったのだ。 見つけていたら、きっと今頃はキレイに取り除かれていただろうに。 そのシミは自分が染みである事に気づいてなかった。 それどころか、周りの色と自分の色があまりに違うので、手始めに自分の横にある色を自分と同じシミにした。 「こんにちは、あなたの色は良いけど、きっとこっちの方が似合うよ」 「あな

      • 小説家と編集者

         私はある先生の編集者をしていた。 でも、ある時死んでしまったらしい。 目の前の作家先生にそう言われた。 「またご冗談を。それより原稿の具合はどうですか、先生?」 「いや、全然。君が居ないと進まなくて」 「いつまで引きずるんですか、そのネタ。原稿を書きたくないからって、そんな子供騙し通用しませんよ? 一緒に見てあげますから。今回はどんな話を書くつもりなんですか」 「いやあ、いつもの怪談だよ。か・い・だ・ん。それらしいのは浮かんできたのだけど。そこから続かなくて。悪いけど、君、

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