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世界のシミ

世界に一つ、間違いのシミがあった。
それは酷く小さくて、何処にあるのかも分からないものだった。
だからだろう。
だから、神様もそのシミがある事に気が付かずにそのまま通り過ぎてしまったのだ。
見つけていたら、きっと今頃はキレイに取り除かれていただろうに。

そのシミは自分が染みである事に気づいてなかった。
それどころか、周りの色と自分の色があまりに違うので、手始めに自分の横にある色を自分と同じシミにした。
「こんにちは、あなたの色は良いけど、きっとこっちの方が似合うよ」
「あなたの色、ちょっと時代遅れだと思う。この色の方が素敵だよ」
そんな具合でシミは、色達に自分の身体の色を勧めたもんだから、気が付くともう周りはシミだらけだった。
もう、そこに色というものはなく、ただ1色の1つの大きなシミだった。

神様は、やっとその時に気が付いたのだ。
シミが出来ていたことに。

後悔しても、もう遅かった。
一生懸命になって神様が作った色達はもう跡形もなくシミとなっていた。

仕方がない。

神様は、そのTシャツを捨てた。

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