漫画『ヒカルの碁』感想 最大の分岐点
一応読んだことはあったんですが、最近読み返しています。例によって囲碁はわかりませんが面白い!
以下、がっつりネタバレするので読んでない方は読みましょう!
ヒカルがステップアップするに従って周りの仲間が変わっていくのが勝負の世界の厳しさや囲碁という競技の特殊さ(子供でもプロになれる)を表していて、物悲しい感じがします。
初期:囲碁部の仲間(筒井、三谷、あかり)
中期:院生の仲間(伊角、和谷)
後期:プロのライバル(アキラ)
なかでも最大の分岐点は5巻でヒカルが三谷を追い抜くところだと思います。
三谷は一般人としてはかなり強いと描かれているので、それを一気に追い越したヒカルはもう一般人とは言えなくなりました。
普通のスポーツなら年齢によるフィジカルの限界という枷があるので、プロを目指すにせよ同じ部活で頑張っていく感じになると思いますが、この漫画ではとてもシビアな別れを迎えることになりました。
□たらればの話
結局プロに行くにせよ、中1の冬の大会に出て海王中に勝ってから院生やプロ試験、という流れもあり得たかもしれません。
その場合はヒカルの伸びが少し原作より遅くて、三谷とあまり差がない、という感じでないと不自然です。そして大会で覚醒する、みたいな流れになるでしょう。
ただこのルートだとまず大会が盛り上がりにくい。海王中の岸本は引退して出てこないと思うので、名前のついた人物が出てこない。大会も3回目になるので、真新しさがない。
あと大会で覚醒したとしても次の夏のプロ試験には間に合わない。さすがに無理がある。院生編が短すぎます。
色々考慮した結果、岸本とはプライベートで対戦して、冬の大会には出ずに前倒しで院生編が始まることになったのでしょう。
□前のめりな進行
この漫画は全体的にストーリーの引き伸ばしがなく、前のめりに進行していくのが印象的です。いきあたりばったりが少なく、始めからかなり練られていたように感じます。
バトル漫画のように戦いが視覚的に表現しづらいので、バトルで引き伸ばすのが難しいという側面もあったのではないかと思います。
□続編に期待
キャラクターはとても魅力的なので、もう少しだらだらした進行の続編が出ないかなあと期待しています。
例えば、ヒカルの対局をねっとり描いて、対局以外の生活もねっとり描く感じです。週刊少年ジャンプだと難しいと思いますが、他の掲載誌でなら『おおきく振りかぶって』ばりに一手一手ねっとり描いてもいいと思うのです。
佐為が台湾の少年に取り憑いてまた出てくるとかでも面白そう。どうぞよろしくお願いします。