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宵山さんぽ


7月の京都といえば祇園祭。
京都に住んでいたとき、宵山は何度も遊びに行ったのにメインと言われている山鉾の巡行には一度も行ったことがありません。

住んでいたアパートからそろっと四条烏丸界隈へ出て、ふらふらっと宵山の空気を吸ってまた帰ってくる。そんなふうに過ごしていた学生時代が懐かしくて、あの時と同じように宵山さんぽをして来ました。


宵山前哨戦 : 日中山鉾さんぽ

宵山の本番はもちろん夜ですが、豪華絢爛な懸装品を鑑賞したり授与品を頂くなら昼間からの山鉾めぐりがおすすめ。
特に最近は粽が大人気で、長刀鉾や蟷螂山など人気の山鉾はあっという間に売り切れたり長蛇の列だったりするみたいです。
並ぶ際は水分補給と紫外線対策をお忘れなく。

7月の四条通はコンチキチンが流れ提灯が掲げられて、祇園祭一色です。
八坂神社のご神紋の、左三つ巴と五瓜に唐花。
大通りに突然現れる山鉾。
オフィスビルのてっぺんよりもずっと高く、スッと伸びる鉾先に目を奪われます。
路地へ一本入ると道いっぱいに露店と鉾が並んでいます
スーツのサラリーマン、浴衣の若いカップル、手押し車のおばあちゃんまで、老若男女が足を止めて見入っていました。
八幡山
黒主山。
謡曲「志賀」(大伴黒主の霊が春を喜び、神楽の舞を舞い和歌の徳を讃える能)にちなんで、桜が山鉾に飾られています。
祇園祭の期間中はそれぞれの山鉾の保存会で「会所飾り」(山鉾の装飾品や文化財)が公開され、長きにわたって収集、保存されてきた歴史的な美術品をじっくりと鑑賞することができます。
鯉山では、16世紀のベルギーで製作されたタペストリーを鑑賞。
5枚1組で日本に伝来していて1枚は焼失しましたが、残りは祇園祭の白楽天山や霰天神山、大津や石川に現存しているそうです。
鯉山で一番の見応えは、由来にもなった鯉。
日光東照宮の「眠り猫」で有名な伝説的彫刻師、左甚五郎の作で、そのまま大きな滝を勇ましく登っていきそうな躍動感ある姿です。
大船鉾の龍頭。
2016年に新調、2020年に金箔が貼られピカピカ輝いています。元の龍頭も四条の藤井大丸の店頭で鑑賞することができます◎
山伏山。
その昔、八坂の塔が傾いてしまった時に法力で直した山伏を御神体としています。
懸装品の豪華絢爛さがピカイチな北観音山。

カフェでちょっとひと休み

歩き疲れたらカフェでちょっとおやつ休憩。
四条烏丸界隈にホテルをとって、好きなタイミングでシャワーを浴びたり昼寝ができるようにするのもいいですね。

仏光寺にある「cafe marble」。
野菜たっぷり、ベーコンとチーズ、玉ねぎの旨みが濃厚なキッシュが最高です◎
暑い時期にぴったりなのが「大極殿本舗」の琥珀流し。
月替わりのシロップは7月はペパーミントで、暑さがすっきり洗い流されるような爽やかさでした。
宵山の四条烏丸界隈はどこも大混雑、ということでお弁当をテイクアウト。
「日本茶と手毬寿司 宗伝」さんのお弁当は見た目にも楽しい華やかさ。ネタと薬味やソースの相性もちゃんと考えられていて、一つずつ大事に美味しく頂きました。
お弁当2日目は大丸のデパ地下で、「さいき家」さんの鱧寿司をゲット。
定番のタレも美味しかったけど、手前の梅風味がさっぱりして好きでした。
藤井大丸では祇園祭コーナーが設けられていて、山鉾のミニチュア(ものすごく惹かれたけど、一つ買うと全部集めたくなるから我慢した…!)やうちわ、手拭いなど様々なグッズが並んでいました。

いざ、宵山へ

19時を過ぎればだんだん陽も傾いてきて、いよいよ宵山の始まりです。
闇の中にぼうっと提灯の灯りが連なった山鉾は昼間とは全く違った雰囲気で四条通にたたずんでいて、とても幻想的でした。
前祭はたまに雨に降られたりもしたけど、ビニール傘越しに見る灯もまた良し。
圧巻の月、の一文字に吸い込まれそうになる月鉾。
山鉾のいくつかは搭乗券や授与品を購入することで登ることができます。
お囃子のお兄さんたちはゆったり座っているように見えるし、建物の2階くらいの高さしかないのですが、実際に登ってみると結構高い!じんわり怖い!
昼間通り過ぎた南観音山にも灯りが入っていました。
コンチキチン、の音色に釣られて北観音山へやって来ました。
笛と太鼓、金物で奏でられる祇園囃子は不思議と耳に馴染んで離れがたくて、最後の一音まで聞き入ってしまいました。
立ち並ぶ提灯と遠くに見える山鉾が、不思議な世界への入り口にも思えます。
2022年、196年ぶりに復活した鷹山。
昼間は本物の鷹と鷹匠さんがいらしていて、観客は大盛り上がりでした。
「雷除け火除けの御守りを、受けてお帰りなされましょう」と子供たちの呼び声に惹かれた霰天神山。
宿泊したホテル「IMU HOTEL KYOTO」の目の前に建っていた岩戸山。
歩き疲れたらすぐホテルに帰って休める、このスタイルが気に入りました。
岩戸山にも登ってみました。
かなり急な階段を登りますが、やっぱり結構高い!!でも山鉾の上から人波や宵山の灯りを見下ろすのはどこか違った風情があって好き。
やっぱり、この宵山の雰囲気がとても好き。

宵山で見つけたかわいいものたち

山鉾にはそれぞれご利益や授与品があり、特に粽は軒先に飾ると厄除け等のご利益があるそうです。
かわいいな、素敵だなと思った授与品をいくつかご紹介します◎

岩戸山の粽。開運のご利益があるそうです。
ちなみに「蘇民将来子孫者也」とは、旅先で一夜の宿を請うたスサノヲノミコトを、蘇民将来という人が粟で作った食事で厚くもてなし、真心を喜んだスサノヲノミコトが疫病流行の際「蘇民将来之子孫也」と記した護符を持つ者は疫病を免れると約束した故事に由来します。
雷除け火除け、霰天神山の粽。
梅の飾りがかわいいです。
「くじ取らず」で有名な長刀鉾の粽は争奪戦でしたが、こちらの手拭いの絵柄に惹かれて買いました。
タペストリーみたいに飾ろうかな。
八幡山の授与品、鳩の土鈴(中央)と鳩笛(左)。
ぽってりしたフォルムとつぶらな瞳がかわいいです。
役行者山の法螺貝おみくじと、放下鉾のふくろうおみくじ。
役行者山は巡行の際に、山伏の方々が法螺貝を吹く習わしなんだとか。
こちらもおみくじ。
鷹山の鷹、犬、粽を模したおみくじ3兄弟です。
鷹かわいい〜〜!!!
黒主山では珍しく、あぶらとり紙が販売されていました。
ちょうど使ってたやつがなくなったので、買っちゃった。笑
橋弁慶山の力縄。
弁慶にあやかって心身ともに健康でありますように、と願いがこめられた縁起物です。
鯉山の茅の輪。
鯉のミニ絵馬もついていて、仕事のご利益がありそう。
からくりが有名な蟷螂山は毎年大人気で近づくこともできませんでしたが、代わりにこちらの立体ポストカードをゲット。
パッと開くと鎌の部分まで精巧に作られた蟷螂山が現れます。
占出山では大極殿謹製の「吉兆あゆ」をゲット。
毎年宵山の時期のみ、この名前で占出山にて販売されています。
ふわふわカステラにもちもちの求肥。うまい!


宵山の持つ、お祭りの熱気と不思議さと華やかさ、どこか違う世界に続いていくようなひっそりした怖さが入り混じった独特な雰囲気が大好きです。

来年はマボロシの金魚鉾と天狗鉾を探しに行こうと思います。

ではまた!

喫茶店に行ってきます〜