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【西野七瀬】 ポケットに冒険をつめこんで を観たら仕事の基本が分かるかも

ぼうけんのはじまりだ!

2023/10/19、乃木坂46の卒業生である西野七瀬さんが主演を務めるドラマ「ポケットに冒険をつめこんで」が放送開始しました。

このドラマは懐かしきゲーム、ポケットモンスターを原案にしています。幼い頃によく遊んでいたゲームが原案ということや僕の大好きな乃木坂46の卒業生が主演を務めるということが相まって、放送前からかなり注目していました。

ちなみに僕は、緑・黄・金・ルビー・エメラルド・ファイアレッドを遊んだ経験があります。これ以降は遊んだ経験がなく、最近のポケットモンスターはからきし分からないのが現状です。

さて、詳しいあらすじは後述しますが、この作品はゲームやアニメのポケットモンスターを実写化したような物語ではなく、小さな広告代理店に勤務する一人の女性を主人公にした物語です。

作中では、主人公や彼女と共に働く人達の活躍が主に描かれています。ドラマの内容を反芻してみると、僕が仕事で大切にしている概念が多々描かれており、共感する機会も多かったことで非常に印象深い作品でした。

今回のnoteでは「ポケットに冒険をつめこんで」の中で描かれていた、僕が共感した仕事の概念をアウトプットします。

どれもこれも仕事をする上で非常に基本的なことです。しかし、僕の周りにいる人でこれからアウトプットする概念を意識的に実行できている人は少ないように思います。

このような記事を書いている僕自身も至らぬ点があるように思います。

この記事を読む方にとって、これらの基本的な概念を日々の仕事で意識的に実行できているかどうか顧みるきっかけになれば嬉しく思います。今回のアウトプットを通して、僕もその回顧を実行していきます。



あらすじ

わかりやすいアウトプットにするためにも、ドラマのあらすじを簡単に記しておきます。

西野七瀬さん演じる赤城まどかは、高校時代にとある雑誌広告に感化されたことで人生が変わり、いつしかクリエイターを夢見るようになりました。

そして大学卒業後、地元の会社から都内の広告代理店ADventureに転職して企画職に就きました。この会社は彼女を含めて総勢6名という小さな規模の会社です。

転職から2ヶ月が経過したころ、ADventureは社運を左右するような危機的な問題に直面します。これまでADventureと取引をしてきた大手広告主が広告の発注先変更を検討し始めたのです。

大手だけあって、発注先を変更されてしまうとADventureは営業利益を得られず赤字になってしまいます。それを回避するためにも、他社よりも優れた広告案を提案して広告主からADventureを発注先に再選定してもらう必要があります。

しかし、会社の危機ではあるものの重責を背負いたくないが故に誰もこの案件を担当しようとしません。転職して2ヶ月の会社を倒産させるわけにはいかず、赤城まどかはこの案件を引き受けることにしました。

広告案を検討している中、彼女はふとしたことがきっかけで20年ぶりにポケットモンスター赤を遊び始めます。

懐かしさに背中を押されながらゲームを遊ぶうちに、赤城まどかはゲームから今回の案件を達成するための手がかりを見出します。そのこうかはばつぐんでした。ADventureは無事に再選定を勝ち取り、彼女は会社を救います。

これを皮切りに、赤城まどかは仕事で直面する課題や困難をポケットモンスター赤の物語やポケモンに準え、それから解決の手がかりや分かりやすい例を見出して活用していきます。

困難な状況であっても、それを楽しむかのように仕事へ取り組む赤城まどかに触発され、彼女と共に仕事をするADventureの社員達は大きく成長したり結束を強めたりしていきます。

ひとつひとつの困難を仲間と共に乗り越え成長していく赤城まどかの姿は、まるでポケットモンスターの主人公が旅の途中で出会った仲間と一緒に世界一のポケモンマスターを目指していく様子を思わせるのでした。


顧客を知る

このドラマで僕がまず注目したのは、赤城まどかが顧客のことをひたむきに知ろうとするその姿勢です。

たいていの仕事は顧客に価値を提供するために行うものです。顧客は一人ひとり違う人間であって、求める価値は顧客によって様々です。的確な価値提供をするためには、なによりも顧客のことを知る必要があるんですね。

ここでいう顧客のこととは、顧客の性格・思想・意図・価値観・想いなどの言語化はできても数値化はできない要素を指しています。

物語の中で赤城まどかは、顧客のことを知るために愚直な情報収集に取り組みます。1話、5話でそれが顕著に描かれていました。

1話で例示してみましょう。

あらすじにあるように、ADventureは今後も取引を継続するために他社よりも優れた広告案を提案する必要に迫られます。案件の担当者である赤城まどかは企画の製作に挑みます。

初めのうち彼女は広告主の商品やその機能に注目し、それらを訴求するための企画を立案します。

僕の見解ですが、このように広告主が商品の売りと謳っている要素に輪をかける同義語反復的な企画は、誰でも発想できるありきたりな内容になりがちです。およそ競合他社と差別化できるような品質にはならないでしょう。

しかも、広告主が思いつくような企画ならばわざわざ代理店に広告を発注する意義がありません。広告主自らが媒体に商品広告の掲載を依頼すれば事足るのです。

広告代理店が価値を提供して売上を得るためには、その企画に強い独自性が必要です。広告業界がクリエイターの活躍する場になっているのは、彼らが独自性の追求に勤しむ職人だからですね。

赤城まどかはポケットモンスターで強敵に挑んだり、行きつけの喫茶店の店主まさこから助言を受けたりすることで、単純に商品やその機能を訴求するような企画では、こうかはいまひとつのようであることに気づきます。

ポケットモンスターにおいて、いわタイプのポケモンに有効なのはみずタイプかくさタイプの攻撃。

このような戦略を立案するためには、何よりもまず敵を知ることが重要ですよね。そうでなければ、こうかはばつぐんの攻撃は出来ません。

赤城まどかはこの気づきを仕事に活用し、広告主の社長を知ることに注力します。彼のインタビューが掲載されている媒体を収集して根こそぎ目を通し、彼が初代経営者の想いを原点に据えて大事にしていることを見出しました。

そして、赤城まどかは商品やその機能ではなく、初代経営者が商品に込めた想いを訴求できる独自性の高い企画を立案します。この発表が広告主の心を射止め、見事に再選定を勝ち取ることが出来ました。

このように顧客のことを知ったからこそ、赤城まどかその顧客に合った企画を立案できたんですね。

確かに、この成功例は1話30分尺という短編のドラマで描かれている描写です。実際の仕事では必ずしもそう簡単に物事は進みません。

顧客を知ることには根気強く取り組む必要がありますし、そのような工程を経てようやく完成した企画であっても採用を勝ち取れるとは限らないのが現実です。

しかし、的確で効果的な価値提供をするために顧客を知ることは欠かせないのもまた現実です。顧客を知ってこそ最高の仕事が成立することを再認識しましょう。これが仕事の基本です。

ただし、基本とはいえ、それは口で言うほど簡単ではありません。

僕自身にも心当たりがありますが、人間は自分が想像する以上に他者への関心をもっていないものです。それを自覚した上で他者へ能動的に関心をもち、その情報を知識として溜め込むことはかなり難しいです。

これに対する有効な方法も作中で描かれています。赤城まどかは仕事で接する顧客の言動に対して「なぜ?」という疑問をもち、それを起点として顧客を知っていきました。

疑問とは好奇心、好奇心とは興味、興味とは関心、すなわち疑問とは関心です。

顧客の言動を単純に受け入れるだけでは足りません。論理的思考を働かせて顧客の言動に「なぜ?」という疑問を逐一懐き、その答えを求め考えるという行動を繰り返すうちに自然と顧客のことを知っていけるでしょう。


仲間を知る

次に注目すべき赤城まどかの行動は、顧客だけでなく仲間のことも知ろうとするその姿勢です。赤城まどかの仲間とは主にADventureの社員達です。

世の中に自分1人で全てが完結する仕事は少なく、たいていの仕事は誰かと一緒に行うものです。その誰かとは多くの人にとって自社社員や長年に渡って一緒に仕事をし続けている盟友、およそ仲間と呼べる存在でしょう。

的確な価値提供をするためには、仲間のことを知った上で自分達がどのような価値を提供できるのか理解している必要があります。

ここでいう仲間のこととは、やはり仲間の性格・思想・意図・価値観・想いなどの要素を指しています。

物語の中で赤城まどかは、仲間のことを知るために奔走します。2話、6話でそれが顕著に描かれていました。

6話で例示してみましょう。

ADventureの営業職に笠松将さん演じる桧山景明という人物がいます。彼は赤城まどかが企画立案の協力を仰いだり案件への参加を誘ったりしても「オレは営業だから」という口癖で拒否し、営業以外の業務には冷徹なほど消極的な態度を示します。

ADventureのように社員数が少ない会社であれば、人手が少ないため職域に縛られずに様々な業務を担おうとする態度が歓迎されやすいでしょう。

そのため、桧山景明が仲間へ示し続ける職域に拘った消極的な態度は決して良い印象を受けるものではありませんでした。

ある日、赤城まどかは映像作品の大会に挑戦します。それに桧山景明を強引に参加させますが、企画立案の段階から彼はやはり消極的な態度を示します。

赤城まどかはそれに疑問をもちます。そして、ポケモンバトルで勝った暁にはそのような態度を示し続ける理由を明かすように交渉します。

彼女は見事にポケモンバトルに勝利し、彼が過去の会社で希望通り企画職に配属されなかった因縁こそがその理由であることを知りました。そしてそれを解消できるような言葉を投げかけます。

桧山景明はその言葉によって過去の因縁を断ち切り、ついに仲間との協力に積極的な態度を示すようになりました。

このような心の中に秘める悩みを解消した時、人は抑圧されていた反動で飛躍的に変わり成長するものです。彼は突如として意欲を燃やして企画を打ち出しました。

その企画によって、ADventureは大会で準優勝を獲得します。その後、桧山景明は社長に企画職も兼務したい気持ちを打ち明けます。

社長は「こんな小さい会社なんだし、大歓迎だよ!」という言葉で全面的に了承するのでした。

このように、仲間と内面まで知り合って結束することは仕事において強力な推進力を生み出します。腹を割って話すということが如何に重要なのかよく分かりますね。結束しなければ同じ組織に所属している意義がありません。

また、これはドラマだけではなく僕自身の経験からも言えることですが、会社で仕事ができる人とは自社を知っている人、つまり自社で働く社員のことを知っている人です。

そのような人は社内に広い人脈を築き上げています。たとえ予想外の問題が起きたとしても多くの社員の協力を仰げる地位を確立しており、それを活用することでいち早く問題を解決できます。

仲間を知ってこそ自分達の能力や提供する価値が最大化することを再認識しましょう。これが仕事の基本です。

では、仲間を知るためにはどうすれば良いのでしょうか。

こればかりは、仲間と十分なコミュニケーションを重ねていく他ありません。

幸いにも「仲間だから」という正当な理由があります。これを根拠にすれば、仲間とお互いを知り合うための行動はたいてい納得できるものです。そしてそれは顧客を知ることよりも易しいはずです。

赤城まどかはADventureの社員一人ひとりと一緒に過ごす時間を増やすことでこれを実行していました。

「みんなでやろう」と声をかけたり、休日の外出を一緒に楽しんだり、退勤後に会食やポケモンバトルをしたり、とにかく物理的に面と向かって話す時間を増やしていたのです。

彼女が実行したこの手段は実に原始的かつ効果的です。今も昔も、そして恐らく未来においても人間のコミュニケーションで最も情報の伝達効率が良い手法は対面による対話なんですね。

奇しくも、彼女は仲間とのコミュニケーションに最善の手法を採り続けていたのです。ADventureは社員が数人しかいない会社であり、それを実行しやすい環境だったということも相まっていたでしょう。

だからこそ短い期間でお互いを知り合い、結束を固めることで会社の能力や実績を底上げ出来たのだと思います。

なお、対面による対話はあくまで最善の手法というだけであり、それでなければいけないというわけではありません。仲間を知ることが出来るのであれば手法は問いません。

繰り返す通り、たいていの仕事は誰かと一緒に行うものです。仲間を知ってより良い人間関係の中で仕事をしていけば、無理なく着実に業績を上げていけるはずです。


冒険する

僕がこのドラマで何よりも注目し共感したのは、赤城まどかの冒険心です。

彼女が仕事で活躍する姿を見ていると、仕事には冒険が必要であることを再認識させられます。

ドラマがあまりに軽快に進んでいくため忘れてしまうかもしれませんが、赤城まどかは社会人経験こそあれど広告業界で働き始めてまだ2ヶ月の新人です。

それでも彼女は経験の浅さを言い訳にせず、持ち前の冒険心を武器にして果敢に新しいことに挑戦し、目標を達成し続けています。

出来るかどうか分からない新しいことへの挑戦、これこそまさに冒険です。

日々働いている自分を客観的に見てみると、実は出来ることの繰り返しになってしまっている人は多いのではないでしょうか。

そのように働いていた方が気持ちも業績も安定するため、人はついつい冒険を避けるようになりがちです。僕もどこか心当たりがあります。

しかし、そのような人ほど退屈な日々にうんざりしていて、実は冒険によって得られるハラハラ・ドキドキ・ワクワクの刺激を求めているものです。

出来ることだけを繰り返すのは、もはや仕事ではなく思考が不要になった作業なんですね。

仕事が仕事であるためには、少しでも新しいことへ挑戦する要素や出来なったことを出来るようになっていく要素が必要です。何かしらの成長をもたらすような冒険が伴わなければ仕事とは言えないでしょう。

一部例外はあるものの、ドラマ全体を通して赤城まどかが日々の仕事で冒険をしている様子が描かれています。

繰り返す通り、赤城まどかは広告業界の新人であるにも関わらず1話でいきなり社運をかけた案件を担います。

それから話数を重ねるごとに宣伝文句、ポスター、映像作品、地域活性化の企画等の様々な広告作りに挑戦して成長を重ねていきます。

とはいえ、内田理央さん演じるライバルの工藤美登里にはいつもいま一歩及びません。彼女は赤城まどかの前に時折現れて自身の優秀さや優位をひけらかしてきます。

物語終盤、赤城まどかはついに工藤美登里よりも優れた成果を出して見事に勝利を治めます。赤城まどかはそれほどまでに大きな成長を遂げていました。

しかし、その後彼女は燃え尽き症候群ならぬ全クリ症候群を発症してしまいます。気づいた時には、日々の業務に手応えを感じなくなっていたのです。これこそ仕事が作業に転換した瞬間でしょう。

彼女は故郷の真白町に帰省して心を落ち着けます。その後、ADventureの仕事を通してまた新たな冒険に足を踏み出していくのでした。

このような赤城まどかの様子から、仕事は冒険を伴ってこそ成立することが分かります。そしてその先にあるのは成長です。

確かに、冒険しないでいることは楽です。作業だけをしていた方が頭を悩ませることも無ければ大きな失敗もないでしょう。

しかし、楽ではあっても楽しくはありません。機械のようにただただ物事を捌いていくことが如何に空虚な時間の使い方なのか想像に難くないはずです。それでは充実した人生は得られません。

自ら思考して正解や答えのない問題に独自の最適解を提示していくこと。

これこそが仕事の醍醐味です。それが出来るようになるためには成長が必要であり、成長するためには冒険が必要であることを再認識しましょう。これが仕事の基本です。

冒険をするきっかけは日々至るところにあります。

毎日業務にあたっていれば少なからず予想外の問題は発生するものです。また、解消したい負やより良い職場環境を得るために思案する機会もあるでしょう。これらは全て冒険のきっかけです。

あと必要なのは一歩踏み出す勇気です。経験がない案件の担当に立候補する勇気を行使すれば、いつでも冒険を始めることは可能なのです。

たいていそのように自ら案件を引き受けて組織へ貢献する人材は、好意的に評価されやすいものです。これもまた人生を充実させる要素となるでしょう。

基礎的な素養が全くない分野に着手すべきだと言うつもりはありません。出来ないことが明白であり、それはあまりに無謀です。

ただ、少し背伸びをして自分の能力を120%くらい使えばなんとか解決できそうな問題に着手するところから冒険を始めてみるのはどうでしょうか。


まとめ

「ポケットに冒険をつめこんで」を観ていた時、僕はいつの間にかADventureのような社員が数人の会社へ朧げに憧れを懐いていました。

そのような会社であれば、人手不足を感じる機会は多いかもしれませんが、社員同士の結束に身を置きながら職域に縛られずに色々な業務を経験できたのではないかと思うのです。

この先会社を選びなおす機会があった際には、この憧れを抱いたことを参考にしてみようと思います。

さて、繰り返す通り「ポケットに冒険をつめこんで」は1話30分尺のドラマです。

いやはや、このように人に独特な感動や気づきを与える作品が30分尺で製作されているのは非常にもったいないです。

尺が短いため、その尺内で1つの話を完結させるために脚本は薄くならざるを得ません。その結果、あまりに洗練され過ぎた物語が出来上がります。

そのような物語は少し飛躍した展開が目立ったり進行が軽快すぎたりして、どうにも物足りないという感想を抱いてしまいます。

個性的な題材をもとに素晴らしい脚本が仕上がり、尺に関わらず俳優達が最高の芝居を披露しているのです。それにも関わらず、1話あたりの尺が短いというだけで作品全体が薄っぺらいものに見えてしまうんですね。

やはりこれではもったいない。

製作費削減が主な理由かもしれませんが、ぜひとも1話60分尺でこのような題材のドラマを製作し、じっくりと物語を描いてほしいと思います。その方が製作に関わる多くのクリエイターが報われるはずです。

ちなみに「ポケットに冒険をつめこんで」の最終話では、次回作をほのめかすような場面が描かれていました。もしかしたら「量産型リコ」のように、そう遠くない未来で第2期が発表されるかもしれませんね。今から楽しみです。

以上、「ポケットに冒険をつめこんでを観たら仕事の基本が分かるかも」でした!!

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