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【現代アメリカ人を苛む「闇」を照射する衝撃の書!】リチャード・ギャラガー『精神科医の悪魔祓い(エクソシズム)』を刊行しました!

先月弊社から刊行、昨年アメリカで出版されて話題をさらった ”Demonic Foes” の邦訳『精神科医の悪魔祓い(エクソシズム)』(松田和也訳)ですが、著者は現役バリバリのアメリカ人精神科医リチャード・ギャラガー。内容は、端的にいえば、「25年以上、"悪魔"と格闘を続けてきた精神科医の手記」となりましょう。
今回は、担当編集(卵)がその中のエピソードをかいつまんで紹介いたします。

1.悪魔は実在するのか?

突然ですが、あなたは幽霊の存在を信じますか?
「信じてます!」と即答する人は、そう多くはないでしょう。
かといって、「そんなもの、いるわけない!」と即答する人も、それほど多くはいないのではないでしょうか。
日本人の場合、「もしかしたらいるのかな~、いや、やっぱりいないんじゃないのかな~」ぐらいが多数派ではないでしょうか。
――ちなみに、わたくし編集部(卵)は、幽霊信じる派です。

では、ちょっと質問を変えて、「あなたは悪魔の存在を信じますか?」と言われたら、あなたはどう答えますか?
幽霊の存在を信じる人でも、「悪魔」となると、返答に窮する人が多いのではないでしょうか?
「そもそも、"悪魔”って何?」という人も多いことでしょう。

ところが、場所がアメリカだと、状況は全く異なります。
2001年にアメリカのギャラップ社が行った調査では、なんとアメリカ人の70%が「悪魔」の存在を信じていることが判明しました。
この場合の「悪魔」とは、アメリカがキリスト教文化圏であることを踏まえれば、一神教の「神」に敵対する存在(堕天使)がイメージされているとみてよいでしょう。
さらに驚くべきデータがあります。2007年にビュー研究所が実施した調査によれば、アメリカ人の11%は「悪魔祓いを体験したことがある、もしくは目撃したことがある」というのです。アメリカの10人に1人は、「悪魔祓い」に何らかのかたちで接しているのです。

なぜ、かくも多くのアメリカ人は悪魔の実在を信じて疑わないのでしょうか。
この問題に明確な回答を与えてくれるのが、本書『精神科医の悪魔祓い』なのです。

2.電話の会話に入り込んだ悪魔の声

本書の著者であるギャラガー氏はプリンストン大学で古典文学や哲学、宗教を学んだのち、イェール大学に進んで精神医学を学び医者になったという、ちょっと変わった経歴の持ち主です。
卒業後はニューヨーク州で精神科の医院を開業し、精神科医あるいは医学者としてキャリアを着実に積み上げてゆきました。

ところが、1990年代初頭、ある神父(じつは、カトリック公認のエクソシスト)の相談を受けたことをきっかけに、悪魔憑き・憑依と呼ばれる症例に多く接するようになり、あくまで医学的観点から悪魔憑依について診断・研究するようになりました。そしてエクソシスト(祓魔師)たちの相談役もしばしば引き受け、"悪魔祓い”の現場に幾度も立ち合い、その凄まじい現実を目の当たりにすることになったのです。

本書には、彼が遭遇した「悪魔憑依」「悪魔祓い」の現場がいくつも克明に記録されているのですが、試みに1例を紹介してみましょう。

その女性の名前はジュリアといいました。
彼女は、悪魔崇拝を掲げるあるカルト集団の「女司祭長」的な立場にありましたが、改心したのか、助けを求めて、ある神父のもとに駆け込みました。――彼女はしばしば激しい悪魔憑依の状態に陥るため、精神的・肉体的に参ってしまっていたのです。
神父は何度か彼女に悪魔祓いを行いましたが、状況は改善しません。そこで神父は精神科医のギャラガーのところへ彼女を連れていったのです。
ギャラガーは初め、彼女は「人格障害」なのではないかとみていました。
ところがジュリアは、ギャラガーが猫を飼っていることや、親族の病気のことなど、彼女が知り得るはずもないプライヴェートなことを、じつに正確に知っていて、こともなげにそうしたことを喋ります。不思議なことに、彼女は、悪魔憑依状態にはなくても、特異な心霊能力を発揮することができたのです。

そしてある日、神父とギャラガーが電話でジュリアに悪魔祓いを行うことを相談していると、驚くべきことが生じます。電話での会話の中に、突然、2人とは全く別の、もちろんジュリアのそれとも違う、不気味な声が入りこんできたのです。
「手を出すなと言ったろうが、このファッキン坊主が! あいつはお前らのじゃない、俺らのだ。お気の毒様」
驚いたギャラガーが神父に、「今の声が聞こえましたか」と尋ねると、神父は言います。
「こんな風に悪魔の声が聞こえたことは何度もあるよ。――いつもは、もっと酷いけどね」

3.衝撃の空中浮揚

後日、ジュリアに対して神父たちによって、2時間にもわたる厳粛な悪魔祓いの儀式が執り行われました。
ラテン語の祈禱文が唱えられると、ジュリアはトランス状態に入りますが、ほぼそれと同時に、例の不気味な「悪魔の声」が聞こえはじめ、現場に響きわたりました。
「やめろ、帰れ!」
やがて、椅子に座っていたジュリアのからだが宙に浮かびはじめ、明らかに30センチほど浮き上がりました。――大の男たちが力いっぱい押さえつけていたにもかかわらずです。まさしく空中浮揚です!

さて、このような激烈な霊的闘争をへて、ジュリアは悪魔から解放されることができたのでしょうか? 悪魔は見事に撃退されたのでしょうか? そして、悪魔の正体とは……
この先の展開をお知りになりたい方は、ぜひ本書をお手に取って味読してください。

いやはや。本書にはこのような凄まじい悪魔憑依の実例が、いくつも紹介されています。
そして精神科医ギャラガーは、これらのケースは決して単純に精神病として片づけることはできない、と断言しています。
アメリカ人の7割が悪魔の実在を信じるのは、要するに、身の回りにこのような事例がいくつもころがっているからなのです。
いや、悪魔が実在するからこそ、悪魔憑依の事例が多発しているとも申せましょう。
近頃では、「アメリカではQアノンやディープステートといった、あやしげな陰謀論がはびこっていてヤバい」という話がよく聞かれますが、その深層には、人間存在の根源に関わる「悪魔」の問題があるのではないでしょうか。

そして本書を読めば、きっとあなたも「悪魔信じる派」になることでしょう。
もちろん、(卵)は「悪魔信じる派」です……。

文=編集部(卵)

*   *   *

『精神科医の悪魔祓い デーモンと闘いつづけた医学者の手記』
リチャード・ギャラガー 著/松田和也 訳

2021年9月21日刊行
四六判並製・総352頁 ISBN978-4-336-07248-1
定価3,080円 (本体2,800円)

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