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どうせ外出られないんだし”ちょっとだけ”絵が上手くなるかもしれない話しない?2

どうせみんな外に出られないんだからなんかちょっとだけ絵が上手くなってみない?(僕は相変わらず仕事ですけどね)



って感じで前回絵がちょっとだけ上手くなるかもしれない話をしたんだけど、今回もちょっとだけ絵が上手くなるかもしれない話します。↓前の記事

私の絵、色がきたない😢


下描きではいい感じだったのに色付けしたらいまいちぱっとしない( ノД`)



みたいに感じる人多いよね。

むしろ「私、色には自信あります」って人、相当少ないんじゃないかな。

下描きではあんなにいい感じだったのに色付け(塗り)の作業を始めた途端どんどん理想像から離れていってがっくり😞

絵描きあるあるです。


ただね、僕から言わせてもらえば「その自己診断、ちょっと待った!」って感じなんですよね。


今日はその辺(色付け、塗り)の話。


「そういうお前は色彩感覚どうなんだ」と思われる方のためにいくつか過去作を提示しておきます。これを見て自分の方が色を上手く扱えていると思う人にはおそらくこの記事はあまり役に立たないと思う。逆に少しでも説得力があると感じる人はこの記事の続きもぜひ読んでほしい。

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嘘


まず初めに論点整理。

塗りに関する悩みについて

・自分の色彩感覚が悪いのではないか

という悩みと

・絵の具がうまく扱えない

という悩みとで二分できるのではないかと思うんですけど、まずはここを混同しないのが大前提。


先に結論を言うと色に苦手意識を持っている人の多くが本当は自分が何が苦手なのか、何ができてないかを正確に捉えられていないといういことです。



一個ずつ見ていきましょう。

まず、自分は色彩感覚が悪いと感じているあなた。

このタイプの人は本当に色彩感覚が悪いのかどうかをまずはチェックしてみる必要があります。


方法は簡単、使い捨ての紙パレットを使用して普段通り絵を描いてください。ただし、その作品が完成するまで使用した紙パレットは捨てずに保管しておくこと。これだけ。

作品が完成した後、作品とパレットを見比べてみてください。作品よりパレットの方が色がきれい(この作品を描くうえで自分にとって目指すべき色遣いに近い)だと感じるのなら、それはあなたの色彩感覚自体が悪いということではない、と言えそう。現にパレット上ではそれなりに納得のいく色遣いができているわけだから。

僕の経験則から言わせてもらうと色彩感覚そのものが悪い人はほぼいません。後天的なファクターの方が圧倒的に大きい。

つまりその場合は色彩感覚ではなく彩色、塗りの技術的な問題だと言えるわけです。


ということで、まずは「作品の色もパレット上の色もどちらもうまくいってない人」について話そう。パレット上での色使いは上手くいってる人はこの章は飛ばしてくれても構わない。


「作品の色もパレット上の色もどちらもうまくいってない人」

まずひとつ意識しなければならないことは


良い色も悪い色も単独では存在しない


ということです。色というのは必ずほかの色との関係性でその色がその作品の中で適切な色かどうか決定するわけです。画面の中で良い色が出せてないと感じるのならそれは画面の中のほかの色との関係性で適切な色を選べていない可能性が高い。

このタイプの人はまずは「トーン」を知ること。

トーンて何よ?って人にざっくり説明すると

色の明るさ、鮮やかさなどが近い色をまとめたものだと思ってください。(詳しくは色彩学のトーンで調べてね)

同じトーンに分類される色を使って画面を構成すればいやでも作品中の色は整います。同じトーンの色の中で様々な色遣いができるようになれば統一感を持ったまま色幅を広げることができるので(色で遊べる)まずは自分の作品に最適だと思うトーンや、得意だと感じるトーンを見つけることが優れた色彩感覚を手に入れるうえで必要不可欠といえるでしょう。個人的には「ダルトーン」を使いこなせるようになると色彩の理解が一気に深まると思うので興味のある人にはオヌヌメ。



続いて彩色、塗りなどの絵の具の扱いに技術的な問題があるパターンの人。


ただしここでいう「技術的な問題」に関しては、描画技術のような習得に時間のかかるものは今回は端折ります。自分で習得してね。


自称「色彩感覚が悪い」人達。大半が特に絵の具に対する認識に問題がある場合が多いと思う。

色彩感覚に自信がない人ほど作品の色が濁ることを恐れて使用する絵の具の数を抑える傾向があるんですけど

これ完全に逆効果なんですよね。


これも結論から言うと

色感に自信のない人ほど使用する絵の具の色数を増やしましょう。



例えば赤と白を混ぜてピンクを作る場合そのできあがったピンクには赤と白二種類の絵の具の色の成分が混ざっていることになる。

それに対して初めからピンクの絵の具を使った場合、ピンクに発色をする一種類の成分で構成されていることになる。

料理と同じで雑味が増えればそれだけ濁りやすくなるという道理。絵の具も基本的にはそれと同じで混ぜれば混ぜるほど発色は鈍くなるわけです。

もちろんそれでも絵の具の理解が深い人、絵の具の扱いに長けている人は濁らせず使いこなせるんだろうけど、そうじゃない人は無駄な懸念材料を一つ増やしてしまうくらいならちょっとでも自分にとってやりやすい方を選んだ方が理にかなっていると思いません?


これに関しては美術教育の弊害の一つだと思っていて、混色することで色を生み出す喜びを覚えるみたいなことを図画工作の授業でやると思うんですけどあれはあくまでも美術教育的な観点であって美術の方法論的な観点では全くないんですよね。そこの違いを教わらないまま、混色で色を生み出すことを無条件で善だと思い込んだまま芸大美大に進学した結果、自称「色彩感覚の悪い人」になってしまう人がどれだけ多いことか。

あぁ、嘆かわしい(´ー`)



原色なんて幻想だ。

色という概念には三原色があるが、絵の具に三原色なんかない。

なぜならほぼすべての絵の具はそれぞれがそれぞれの発色をする原色だからです。

「色という概念」「絵の具という物質」を混同するのはやめましょう。

彫刻家や立体造形作家が自分の扱う素材を研究するのと同じように平面作家は自分の使う画材を「素材」として勉強する必要がある。

絵の具はあくまでも素材。「概念としての色」を扱うデジタル作品と「素材としての絵の具」を扱うアナログ作品は全く違うということ。


重ねて言います。

絵の具とは素材です。色という概念の具現化ではない。

すぐに上手くなるかどうかはわからないけどその辺が自覚的に扱えるようになると塗りに対する考え方は確実に変わるんじゃないだろうか。


他にもいろんな要素(結局は描画技術)があるとは思うんだけどまずはフローチャート式に筋道を立てて自分にとっての本当の課題が何なのか、そこを見極めるところから始めてみてはいかがでしょうか。


追記)あとこれもエビデンスとかは無いただの感想なんだけど、油画の人で画面がくすんで汚くなるという人、そういう人はテレピンとかぺトロールとかの揮発性油で絵の具を溶き過ぎじゃないかな?最近はイラスト系の作品からアクリル絵の具を経て油画を始める人も多いのでアクリル絵の具の感覚で油絵の具を扱ってしまうとだいたい油で絵の具を薄めすぎて結果くすんでしまっているような気がする。僕の場合だと薄塗りするとき以外は筆先を少しだけ油で湿らせてから描くようにしてます。


生きることで精いっぱいです。