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効果的な子どもの学習の仕方 実例編2 子どもを知る

 前回は「自己覚知」の重要性をお伝えさせて頂きました。今回は効果的な子どもの学習の仕方 実例編2「子どもを知る」について、お伝えできればと思います。

 効果的な子どもの学習の仕方として、
1 .子どもを知る
2 .子どもの発達段階を把握する
3 .子どもの発達段階にあった学習を行う
4 .評価をする
5-1.良い結果だった場合
5-2.悪い結果だった場合
6 .話し合いましょう
 とは、何度かお伝えさせて頂いているかとは思います。今回は1.子どもを知るについて掘り下げていきたいと思います。

 「子どもを知る」ということは、案外できているように思えても出来ていないことが多いのではないかなと思います。

 日常の仕事や家事に忙殺されているなかでは、子どもを理解するということは時間もかかり、なかなか難しいものです。しかし、子どもの安定的な未来を形成していくにはとても重要なことになるので、時間ができた時に試してみると、子どもの違った一面や、輝く素質を発見できるかもしれません。

【子どもを知る】
 子どもを知ることで重要なことは、子どもに対して興味・関心を持つことから始まります。もし、時間があるなら、子どもが主体的に動けるよう、受動的になって、子どものあるがままの生活を送ってみるのも、とても参考になります。では、どの様にしていくと子ども自身に近しい状態像を把握できるか掘り下げていきます。

【日常のバイアスを取り除く】
 バイアスとは「偏り」を指します。子どもは生まれてから生存本能に基づき、自分を守ってくれる存在を見つけて、その人間(父母)に対して受動的な行動を主体として生活を送ります。 

 受動的とはこの場合、父母などの影響により言動が作用されるということを指します。一見、泣いたり、わがままを言ったりして能動的(主体的)に動いているのも、原則、それぞれの家庭環境やルールのなかで行っているに過ぎません。これを、「家庭環境のバイアス」と言います。

 分かりやすい例で言えば、家庭で使う言語が挙げられます。子どもは、日本人家族の家庭でも、家庭内での公用語を英語にすれば英語を使用しますし、日本語にすれば日本語を使用します。室内で靴を脱がない生活をしていれば靴を脱がないでしょうし、靴を脱いで生活をしていれば、靴を脱いで生活します。

 極論にはなりますが、子どもは生まれ育った環境により、「家庭環境のバイアス」により、あるがままの姿を表現できない状態にいるということになります。

 この「家庭環境のバイアス」は完璧に取り除くことはできないものではありますが、バイアスを最小限にして能動的な言動を評価することで、子どもの本質をより具体的に、より妥当性の高いものとして捉えることができます。

 方法は至って簡単です。根気だけが必要な作業になります。一日、子どもの能動的な行動に付き合うだけです。

 必要なのは、水分摂取だけはこちら側から促すこと(生命の危険に及ぶ可能性があるため)、行動を伴にする方は自発的な言動を極力しないことです。
 ※オムツが外れていない場合で、自分で状況を伝えれない場合は、適切なオムツ交換も含みます。

 食事に関しては、個人的な見解としては子どもの主体性に任してもいいと思いますが、賛否両論あると思うので、個別判断にお任せしますが、食事を1日に3食摂るということ自体が、商用的側面の話と言う説もあります。
 ※人間は古くから1日2食と言う食習慣が根付いていましたが、エジソンが自身の発明品であるトースターの販売数を伸ばすために発明の秘訣を「1日に3食、食べているからだ」としたことから、「1日3食」が定着したともいわれています。

 この観察の留意点は
① 家庭環境のバイアスをできるだけ、取り除く
② 子どもが好きなように過ごせる環境を整える
③ 子どもへの受け答えはしっかり行う(可能であれば、なぜなぜどうしてを適度に行う)※適度=自主性を損なわない程度
④ しっかりと観察を行う
⑤ 可能な限りメモなどで記録する
 になります。

【子どもを知る際の要点】
 まず、子どもを知る際の前提として随伴者が多角的な観点からの、観察及び記録が大切だということです。家庭環境のバイアスで個々の愛着行動が認められる筈なので、関係者としての可愛い、などの感情を伴ったものと、感情を含めない客観的事実の視点で知ることが必要になります。

 では、実際にどの様な点を観察していくことで、どの様な情報活用ができるのか例を挙げてみていきましょう。

【興味の特性や思考の過程】
 ・遊ぶ(時間を費やす)対象の傾向を把握する
 子ども自身が選択するものを確認して、その傾向を把握し、分類します。分類の方法としては、例えば、大分類を視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚(味覚は食欲とも関係します)・対人とします。そして、視覚では色なのか、キャラクターなのか、図形なのかなどの中分類に分けていきます。
 ※子どもの視覚は大人とは違う感覚があると言われています。

 そして、小分類として色であれば、何色なのか、キャラクターであればどんなキャラクターなのか、図形であれば、どんな図形なのかを記録していきます。

 これにより、興味特性の優先順位や感覚の違いによる習熟度を理解できたりします。子どもが、どの感覚を使った情報に興味を示すのか、どの、感覚を用いた情報をインプットしやすいかなどの情報を得ることができまし、逆に、余り活用していない感覚を刺激するプランも立てることができます。

 ・遊ぶ(時間を費やす)対象の持続時間を把握する
 これは、主に集中力と、興味の移り変わりのきっかけ、思考の飛躍性を観察します。一つの遊びに集中できる時間を各遊び種別毎に割り出すことで各感覚器官の使用頻度や持続集中時間を把握したり、興味の移り変わりのきっかけを把握することで、感覚浸透度(どの感覚からの情報が強くインプットされるか)の強弱を確認できたりもします。

 また、興味の対象が移り変わっていくものが、規則性があるのか、飛躍しているのかで右脳と左脳の活発度を推測することもできますし、思考の飛躍の過程を把握することで、子どもの思考性を知ることができます。

 これらは、ほんの一例ではありますが、この様に表出された情報から個人の特性に合った教育環境で効果的に学習を行うことができます。

【活用例】
 子どもの趣味・趣向に合わせた教育環境を用意することが最も簡単な活用事例と言えます。それは、単純なところでは五感が求める、もしくは安定する環境に学習環境を整えることであると言えます。

 5.6歳になるまでは、子どもは視覚の発達も十分ではなく、他の感覚器官も同様に未成熟であるといえます。また、未成熟であるがゆえに大人では認識できない感覚(共感覚など)がある可能性もあります。

 そのため、成熟した大人の価値観(例えば、青色は集中力が増す、落ち着く、など)で子どもの環境を整備するのではなく、子ども自身の特性に配慮した環境を整えることが重要になってきます。

 そして、子どもが自発的にとる言動から子どもの世界観を類推し妥当性を鑑別していくと言う作業が必要になってきます。

 上記の観察だけでも、興味の強度や持続性、感覚器官の使用度のプロフィールや、行動や思考のパターンなどが読み取れます。これにより、学習構造の最適化を図っていくことが容易になります。

 例えば、聴覚刺激に敏感な子に集中して学習して欲しいときには、生活音や騒音に注意する必要がありますし、気持ちの切り替えや、リフレッシュさせたい時には音を用いた手段が功を奏す場合が多かったり、敏感過ぎるのであれば、他の感覚器官を刺激して、発達を促すことで過敏性を緩和できる可能性もあります。

 そして、自発的集中力を把握することにより、効果的な学習持続時間としてその範囲内に留め、余った時間で他の生活体験をしてもらうことにより、生活知識・技能が高まり、成長の発達段階が底上げされることにも繋がります。

 この様に、子どもを知ること(便宜上、一部の部分では観察と表現させて頂きました)は学習のみならず、生活全体の質の向上に繋がる可能性を秘めています。

 私達、大人ですら、言われ方ひとつでやる気がでたり、なくなったり。職場の環境で効率が上がったり、下がったりするわけです。

 子どもであれば、尚更、外的影響を受けやすい状態ですし、自発的に意思を伝えることも、言語で表現することもままなりません。

 そのため、子どもに興味・関心を持って、子どもの立場になって「なぜなぜ、どうして」を繰り返し、「子どもを知る」ということが、子どもの能力を引き出す教育の大切な一歩であると言えます。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
 今回のコラムも私の個人的な知見に基づく仮説ですので、必ずしも正しいとは言えませんし、他で主張されている理論を批判するものではないことをご理解いただいたうえで、一考察として受け止めて頂き、大切なお子様の教育に役立てて頂けたらと思います。


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