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効果的な子どもの学習の仕方 実例編4 子どもの発達段階にあった学習を行う

 前回は「子どもの発達段階を把握する」の重要性をお伝えさせて頂きました。今回は効果的な子どもの学習の仕方 実例編4「子どもの発達段階にあった学習を行う」について、お伝えできればと思います。

 効果的な子どもの学習の仕方として、
1 .子どもを知る
2 .子どもの発達段階を把握する
3 .子どもの発達段階にあった学習を行う
4 .評価をする
5-1.良い結果だった場合
5-2.悪い結果だった場合
6 .話し合いましょう
 とは、何度かお伝えさせて頂いているかとは思います。今回は3 .子どもの発達段階にあった学習を行う、について掘り下げていきたいと思います。

 子どもの発達段階の把握に関しては前回、お伝えしたかと思いますが、一般的な発達心理学などを参考にするのではなく、その子の発達課題(一時的なゴール)に応じて成長の段階を把握することが重要です。

 余談にはなりますが、現在の乳幼児期の障害として「広汎性発達障害」がありますが、個人的な経験ではこの傷病名が独り歩きしていて、健全な子どもの育成の阻害要因となっているケースが少なからず散見されていました。また、別のコラムで深掘りしていきますが、この様な病名の枠組みでの支援体制の整備は多くの場合弊害が伴います。

 ざっくりと伝えてしまうと、支援体制から漏れがないように枠組みの裾野を大きく広げていたり、診断基準が曖昧で鑑別診断を用いれる支援者が少ないこと、支援者側が新しい知識を活用したいという、専門的職業意識を刺激することなどが挙げられます。

 汎用性の高い枠組みは個別性に乏しいと言う側面がありますから、子どもの発達段階を把握する際は、一般的な概念は取り除いたうえで、目の前の子ども自身の発達段階が親から観て、客観的にみてという多角的な視点で評価・判断するということが大切です。

 2 .子どもの発達段階を把握する、3 .子どもの発達段階にあった学習を行う、はとても密接に結びついている教育手段と言ってもいいでしょう。

 「本を読む」という行為を身に付けて欲しいときに、2で何故できないかを把握して、3で2で出来なかったことに対してアプローチをすると言った流れになります。

 また、先回もお伝えした通り、目標の設定は細かく設定していく方が効果的だと言えます。

「本を読む」
「5分間本を読む」
「5分間、椅子に座って本を読む」
「5分間、椅子に座って本を声を出して読む」
 では、それぞれ教える内容や順序が変わってきます。成長のレディネス(準備)が全て整っていれば、「5分間、椅子に座って本を声を出して読む」と言う課題にもすぐに対応できると思います。

 しかし、小学校お受験を検討されている方々(特に名門私立など)は、一般的な養育環境下での発育より、早く、高い成長を望まれるケースが多いため、子どものレディネス(準備)が整ってない段階から高度な教育を望む場合もあるので、これらのことが重要になります。

 では、「5分間、椅子に座って本を声を出して読む」と言うことにはどれだけの社会生活技能が必要なのか考えてみましょう。

 「5分間、椅子に座っていれる」
 ・正しい座り方の理解 ・5分間の姿勢保持

 「5分間、一つのことに集中できる」
 ・目の前の物事に向き合う力 ・5分間の集中力

 「5分間と言う時間の理解」
 ・時間間隔の理解 ・開始、終了の理解

 「本を読むと言うことの理解」
 ・文字の理解 ・文字を読む順番の理解 ・ページをめくる技能

 「音読の技能」
 ・文字列にそった発語の技能

 「分からないことは聞ける」
 ・読めない、分からないことの理解 ・聞けば問題解決ができることの理解

 と簡単に列挙しても、これだけあります。そして、このレイヤーより下層の細かい技能の集合体も含めて、正しく「5分間、椅子に座って本を声を出して読む」ということが、できると言うことになります。

 本当に単純な話しになるんですが、文字の理解ができてないのに、本は読めませんよね。そして、文字の理解は50音の理解と言うことになりますし、50音が理解できているかの評価も必要になります。

 子どもの発達段階に合わせた教育を行う際には、これらを踏まえたPDCAのサイクルを実行して発達段階を高めていくという作業が効率的です。

【例】
・P(計画)
 計画を立てる。「5分間、椅子に座って本を声を出して読む」を出来るようにする

・D(実行)
 実行する。実際に「5分間、椅子に座って本を声を出して読む」を行う

・C(評価)
 評価する。実際にできていたかどうか、や程度を把握し考察する

・A(改善)
 改善する。どうしたら、より良くすることができるか改善する。

 これは、ビジネスシーンでよく使われるPDCAサイクルと言うものですが、子どもの教育にも高い効果を発揮するものです。それらを活用し幼少期からロジカルに学習過程を考え、実践していくことで、より、社会の構成要員としての価値が高まると思います。

 また、これらの一連のなかで特に重要なのは、課題(物事や行為)を子どもが出来るレベルまで細分化・単純化していくと言うことです。そして、細分化・単純化された個々の課題解決を通じて、獲得して欲しい技能(課題)を身に付けていくことになります。

 大人は自身の数十年の発達の過程で、人間の複雑な行動を単語として集約し、当たり前のように使っています。例えば、「走る」「跳ぶ」「前回り」なども単純な行動の集合体で実に複雑なものなのです。

 特に乳幼児期の子どもは、その単純な行動もまだ身に付けていないことも多いので、その点を留意しながら教育を行っていくことと、適時、子どもの反応を見ながら意欲的に実践できる学習方法を考えていくと効果的だと思います。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
 今回のコラムも私の個人的な知見に基づく仮説ですので、必ずしも正しいとは言えませんし、他で主張されている理論を批判するものではないことをご理解いただいたうえで、一考察として受け止めて頂き、大切なお子様の教育に役立てて頂けたらと思います。

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