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効果的な子どもの学習の仕方 実例編3 子どもの発達段階を把握する

 前回は「子どもを知る」の重要性をお伝えさせて頂きました。今回は効果的な子どもの学習の仕方 実例編3「子どもの発達段階を把握する」について、お伝えできればと思います。

 効果的な子どもの学習の仕方として、
1 .子どもを知る
2 .子どもの発達段階を把握する
3 .子どもの発達段階にあった学習を行う
4 .評価をする
5-1.良い結果だった場合
5-2.悪い結果だった場合
6 .話し合いましょう
 とは、何度かお伝えさせて頂いているかとは思います。今回は2 .子どもの発達段階を把握する、について掘り下げていきたいと思います。

 1 .子どもを知る、ことにより、子どもの個別特性が把握できるようになってきたかと思います。発達段階とはあくまで、社会的な発達状況の尺度として客観的妥当性を持たせたものになりますので、発達が遅れている、と言われるのはこの尺度に照らし合わせて遅れている、と言うことであって、個人差が大きい乳幼児期の発育状況では必ずしも問題があるということではありません。

 今回の2 .子どもの発達段階を把握する、では一般化された発達評価モデルではなく、各社会生活技能の獲得というゴールから逆算した発達段階を把握して3 .子どもの発達段階にあった学習を行う、に繋げていくことになります。

 ここでいう社会生活技能とは社会生活を円滑に行うための能力を指します。人間の知覚を伴う言動は能力として蓄積されていきます。例えば、学習方法でも最初は読み、書きの単純学習から、アウトプット学習やアクティブラーニングなどの動的学習まで、技能の差により学習効率が大きく違ってきます。

 また、本を読む、という単純学習技能を身に付けるには、日本語を覚える、読む順番を覚える、本を開く、ページをめくる、などの更に単純な技能が必要になります。

 つまり、「この子は本が読めない」という評価は乳幼児期の発達段階の把握の仕方としては大雑把な表現と言うことになります。

 大人が普段あたりまえに出来ていることも単純な行動の集合体であって、乳幼児期の子どもにとっては複雑な行為になるのです。

【実例】
 では、実際にどの様な手法でゴールから発達段階を把握していくか実例を挙げて考えていきましょう。

① 社会技能獲得のゴールを決める(到達までの一時的なゴール)
 教育効果が最も高いのは、ゴールの設定を細かく設定することです。「本を読めるようになる」といきなり高い目標を設定するのではなく、「本を3分間開いて見ていられる」などの小さい目標を細かく設定して、成功体験を双方に積み上げていくことが、継続にとって大切な要素になります。

 また、効率を考えるなら、次の学習を見据えた技能獲得も課題に含めると効果的です。皆さんも「本を読む」と言う行為を寝転びながらしたことがある人も多いのではないでしょうか。逆に、寝ころびながら間食をすることはあっても、ご飯を食べるということをしている人は少ないのではないでしょうか。 

 これは、乳幼児期の成育環境によるバイアスが大きく影響している可能性があると言えます。つまり、養育の過程のなかで就寝前に寝ころんで絵本を読んでもらっていたり、遊びながら間食をしていたり、などの体験があると、将来的にその様な行動を行う可能性が高まります。そのため、将来的な学習効率を考えていくには「本を読む」と言う行為の周辺領域にも気を付ける必要があります。

 話しが少し逸れてしまいました。すみません。この辺りは重要な部分もあるのですが文章にするとかなり長くなってしますので、時間のある時かリクエストがあれば掘り下げていきたいと思います。

② 子どもを知る(観察する)
 社会技能獲得のゴールを設定したら、子どもに達成するべき課題を出します。そして、その課題に向き合っている状態の観察を行います。この際に重要な点は事実の観察だけではなく、現象がどうして起こるのか、の仮説を立てる必要があります。何度もお伝えさせて頂いている「なぜなぜ、どうして」です。そうすることで、子どもの発達段階の二軸的、三軸的な状態も把握できることに繋がります。

③ 考察する(例を踏まえて)
 ここに「本を読めない」子どもがいるとします。私はこの子に本を読ませたいと仮定します。

 ここで「なぜなぜ、どうして」の出番です。

 何故、この子は本を読めないんだろうと、まず考えます。

 最初にすることは「本を読む」と言うことの行為の分解です。

 「字は読めるか」「読む順番を理解しているか」「本を読むものと認識しているか」「本のページがめくれるか」「本を読みたいと思っているか」「外的要因が読む行為を邪魔していないか」など多岐に渡って分解します。この分解は多ければ多いほど、教育者としての能力が優れている部分もあるとも言えます。

 そして、各項目の状況を確認し、不足している部分の強化を行い、「本を読む」と言う行為を実現できるようにしていきます。

 一般的な例としては 

 「字は読めるか」
 実際の文字と発語が正しいか確認します。

 「読む順番を理解しているか」
 読んでいる文字をなぞってもらいます。

 「本を読むものと認識しているか」
 絵が主体ではなく、文字が主体と認識しているか

 「本のページがめくれるか」
 本の、続く、と、終わり、の理解があるか、身体的能力として、つかむ、あげる、おく、という動作に問題ないか

 「本を読みたいと思っているか」
 自発的に本に向かえるか、向かえないとしたら、その理由は何なのか

 「外的要因が読む行為を邪魔していないか」
 生活音、騒音、兄弟姉妹などの対人関係や生活環境で読むという行為に影響を与えてないか

 などを掘り下げていきながら問題解決を同時に図ります。

 今回でこれ以上の掘り下げをしていくと、次回の内容を掘り下げてしまうことになるので、今回はこの辺りで、終わりにさせて頂きたいと思います。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
 今回のコラムも私の個人的な知見に基づく仮説ですので、必ずしも正しいとは言えませんし、他で主張されている理論を批判するものではないことをご理解いただいたうえで、一考察として受け止めて頂き、大切なお子様の教育に役立てて頂けたらと思います。


 

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