220517火　色気

シロナガスクジラは青色だった。水上からは白く見えるので、そう名付けられたらしい。英名はブルーホエール。確か、大洋ホエールズのマスコットも青かった。水口博也の著書「クジラと海とぼく」は、挿し絵まで活き活きとしておりオススメ。

地球上で最大の動物シロナガスクジラは、30mをも超える。子どもの頃、一人で想像しては、いつも怖くなっていた。天井や壁を見つめながら、胴回りはきっとこの部屋くらいあると思って、大きな口で飲み込まれた気分になっていた。圧倒的な大きさ、一人ぼっちの無力感、助けを呼ぶにもウチには婆ちゃんしかいなかった。音のない子ども部屋で、深海へと潜りながら、勝手に息苦しくなっていた。

側から見れば、何色の子どもだったのだろう。好きな色も聞かれずに育った。何年か前に、オーラの見える芸人が、小倉さんはいつも青と赤が混じった色で、赤の強い日や弱い日がある、と教えてくれた。でもやっぱり白に憧れる。世界で一番広くて真っ白な心がほしい。無い物ねだり。