ジブリで学ぶ~国語ネタ~
教員時代、スタジオジブリの作品にはとってもお世話になりました。
時々、授業でジブリに絡めてお話していたからです。
「ジブリ作品、いくつ言えますか?」
若手俳優、ジャニーズ、新作マンガに新作アニメ…。
時代の流れって早いから、子どもたちの流行りについていくのは大変です。
そんな中、生徒と私をつないでくれる共通項が、ジブリでした。
授業の始め、黒板のはじっこに「となりのトトロ」とだけ書いて、問いかけます。
「この作品、知っている人は手を挙げてください」
続々と挙がる手を見て安堵。
…よかったぁ、今年もジブリの授業ネタが通じる…!
ネットで有名「ムスカで覚える表現技法」
ネット上で、ある生徒のノートが話題になったことがありました。
「天空の城 ラピュタ」のムスカ大佐のセリフを用いて、国語の表現技法を説明したものです。
たとえば…
・倒置法 → 見せてあげよう。ラピュタの雷を。
本来なら、「ラピュタの雷を見せてあげよう」
・比喩(直喩) → 人がゴミのようだ。
「~のよう」が使われている
・反復法 → 読める、読めるぞ。
「リフレイン」とも言う
・省略法 → 目が。目がぁ。
「痛い」「見えない」などが省略されている
ネットの受け売りですが、これを参考にして、身の回りの表現技法を探してみよう!っていう宿題を出しました。
探す範囲は、自分の身の回り。お笑い芸人のネタ、アニメのセリフ、曲の歌詞、家族の一言など、どこから探してきたのか元ネタが示せていたらオッケーにしました。
古典文法には「ナウシカの言い伝え」
古典文法にアレルギー反応を起こす子もいますよね。
私もあまり得意ではなかったな…と思います。
少しでも身近になればいいな、と思って持っていったのが、ナウシカです。
物語の終盤、暴走が止まって静まったオームたちの上をナウシカが歩くシーン。それを見て大ババさまが言うセリフです。ナウシカを見たことがある人にとっては、印象的な場面ではないでしょうか。
さて、このセリフのいいところは、「動詞」と「助動詞」が出てくるところです。
古典文法を学び始めたときに、きっと序盤で出てくるのは「動詞」ですよね。
動詞とは、動作を表していて、言い切りの形が原則「u段」で終わるもの。
文法書の説明を読んでいくうち、教室のあちこちで「???」が浮かんでいるなー、となんとなく感じてきます。
そこで、大ババ様のセリフを出し、ジブリタイム。
「この中から、動詞を探して抜き出してください」
あわよくば、活用形の話も絡めます。
「終止形にできますか?」
「これは何形でしょうか?」
少しでも「なるほどな」と思ってくれたら万々歳。
この時点では動詞の話にとどめておき、その後は通常の文法学習に戻ります。
動詞を終えたら、「形容詞」「形容動詞」…と進み、「助動詞」が出てくるかと思います。
このころには、だいぶ「また文法…」とバテている子も多いのではないでしょうか…。
助動詞で「む」や「べし」が出てきたら、大ババ様、再登場です。
助動詞でも難関の「む」、「べし」。
動詞の復習もしながら、再びジブリタイムです。
「ここでの「む」(ん)と「べし」の意味は?」
1セリフで2度おいしい、ナウシカの言い伝えです。
体言止めが出てきたら、ジブリ作品のタイトル列挙
現代の表現でも古典の和歌でも、「体言止め」の登場シーンは結構多いですよね。
いつだったか、和歌の技法で体言止めについてこんな説明がありました。
「体言止めは、余韻、余情を残す効果がある。」
余韻、余情って、一体なんなんだ?
ということで、感じてもらう活動を。
ジブリのタイトルを、知っている限り黒板に書き出します。
そして、体言止めになっているタイトルを、体言止めでない表現に変えてもらいます。
タイトルが、文章として「。」で終わるように、改題を考えてもらう活動です。
一例ですが、
・となりのトトロ → となりにトトロがいる。
・魔女の宅急便 → 魔女が宅急便屋になります。
・ハウルの動く城 → ハウルの城が動く。
「どちらのタイトルに興味が湧いてきますか?」
体言止めの方が、「トトロって何?」「宅急便って?」といった疑問や、「動くって、どんな城なんだろう?」と想像が膨らんできませんか?
比べてみると、体言止めの効果がすこーしわかった気になるのではないでしょうか。
余談ですが、ジブリに限らず、ディズニーでも漫画でもドラマでも曲のタイトルでもできる活動です。範囲を広げて考えてみるのも、結構おもしろかったです。
あと、最近(?)は、ドラマやライトノベルで文章系のタイトルがつけられていることも多いな、という印象を受けました。体言止め以上に、文章のインパクトで目を惹くタイトルもたくさんあるんだなぁ、なんて考えたこともありました。表現方法に上下の差はないのだな、とも思ったのでした。
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