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ファンタジー作品ってどう読むの?

みなさんこんにちは。

いよいよ休校から分散登校へ変わり、また一つ新しい教育の世界がスタートしようとしています。

国語の教材研究をこの休校期間中に進めていましたので、その中からいくつか発信したいと思います。

さて、先日とあるコメントを拝見しました。

『プラタナスの木がどうしたらいいのかわかりません。』ということでした。

プラタナスの木は光村4年の文学的な文章の教材です。

白いぼうし、プラタナスの木、初雪降る日、、、

これらは全て光村4年の教材です。

光村4年の教材の特徴はなんでしょうか?そうです。ファンタジーなんですね。つまり、非現実の話が描かれているということです。小学校の国語科で学ぶ文学的な文章において、ファンタジーを読める子を育てること。

このことに私は一つの大きな価値を持っています。

それはどうしてか?

ファンタジー作品というのは実は子どもの身近にたくさん存在してます。

今思いつくだけでも、ドラえもん、ハリーポッター、浦島太郎、ナルニア国物語、、。言い出したらキリがありません。このように、世界中でファンタジー作品はたくさんあります。

こういったファンタジー作品を読めるようになることでどんないいことがあるのでしょうか?

私はファンタジーの文学作品に触れることが、生涯学習を充実させることへつながります。

文学作品だけでなくドラマや漫画や映画を観る視点が広がったり、その解釈が深まったりすることで、より多くの感動やメッセージを受け取ることができるようになると考えられます。

今日はそんなファンタジー作品をより論理的に読み解く指導方法について紹介したいと思います。

私はファンタジー作品を次の3つの型に分類整理して捉えています。

1つ目は、浦島太郎型ファンタジーです。浦島太郎型とは、現実が非現実に入り込む形のファンタジーです。竜宮城という非現実の中に、現実の人物が入っていきます。ハリーポッターや、ナルニア国物語も同じつくりになっています。浦島太郎型ファンタジーは、多くの場合どこからが非現実なのか?というファンタジーの入口と出口がわかりやすいですね。竜宮城の入り口からが非現実だったり、9と3/4番線のホームの壁から非現実だったりするわけです。

2つ目は、ドラえもん型ファンタジーです。ドラえもん型ファンタジーとは、非現実が現実に入り込んでくる形のファンタジーです。これは、のび太くんの机の引き出しの中から先が非現実で、ドラえもんという非現実の人物が現実の世界の中に入り込んできているような構造をしていることがわかります。

3つ目は、ワンピース型ファンタジーです。これは非現実と現実の入口や出口が9と3/4番線やのび太の机の引き出しのように、存在していないタイプのものです。では、どのように現実と非現実がわかれているのか。それは、鍵となる人物やスイッチが存在します。例えば、ワンピースの物語ではゴムゴムの実を食べたというスイッチをきっかけに、非現実であるゴムゴムの実の能力者になるわけです。このように、ワンピース型ファンタジーの特徴は、現実と非現実のスイッチが存在しているというように捉えましょう。

さてここまで3つのファンタジーの型を示しました。浦島太郎型は、非現実の世界の中に現実が入っていくファンタジー。ドラえもん型は、現実の中に非現実が入ってくるファンタジー。ワンピース型は、現実と非現実はスイッチによって共存しているファンタジー。といつわけです。

このように理解しておくと分類しやすくなります。同じファンタジーといっても3種類あるということを理解したうえで教材研究しなければなりません。

さて、プラタナスの木のお話に戻ります。

このお話はどちらのファンタジーの特性を持っているのでしょうか?1.2.3どの型か?考えてみて欲しいです。

私なりの答えは3です。この物語は、おじいさんという人物自体がファンタジーのスイッチと考えるとわかりやすいです。木によろしくと言ったり、プラタナスにくわしい様子から、プラタナスの木の精霊だと考えられます。また、熱中症に気をつけるように言ってることからも非常に子どもたちを見守っている立場にあることがわかります。後話では、なんだか、根に支えられているみたいだよというマーチンの言葉があります。この根に支えられているという描写から、心の中にプラタナスの木が入ってマーチンの一人立ちや成長と解釈できます。

プラタナスの木という子どもたちの心の支えや安心感という存在をおじいさんという非現実の人物(=精霊)によって可視化しているということです。可視化するための鍵となる人物こそがおじいさんであり、おじいさんの存在自体が非現実であるということです。

ファンタジーとはズレますが、実はこの物語の主題、マーチンたちの自立を子どもたちの自立や成長と照らし合わせることで、1/2成人式への意気込みを語らせる活動をしました。そういった、カリキュラムマネジメントもこちらの作品ではオススメしています。


今日はファンタジーの3つの型と、プラタナスの木の解釈や実践について書きました。

先生方の何かヒントになればうれしいです。

また、私は光村1年から6年の教材分析をしています。リクエストがあればコメントやTwitterで教えてください。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


国語教育研究室





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