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これで楽勝よ、ライターが教える読書感想文の書き方実用編

読書は好きだけど読書感想文はキライ→わかる

小学年6生になる姪は、本をよく読んでいる。
ティーンズノベルを中心にそこそこ読み応えのある人気作品を好んでいる。
とくに好きらしいのは、このシリーズだ。

一冊貸してもらったけれど、子供向けだからとあまり身構えずに読み始めたらめちゃくちゃ読み応えあって、「うわ、ごめん」という気持ちになった。

姪、本もドラマも大好きで、話していると(親戚の贔屓目もあるけれど)なかなか理知的だ。
聞こえの良い嘘にさらされる前の、まっすぐな知性をとても好ましく思うので、私はこの10歳そこそこのお嬢さんと話すのがとても好きである。

そんな姪は、読書感想文がキライだ。
「書き出しで詰まる、書きたいことが文章になって出てこない」のだそうだ。
あー、わかる。わかるよー。こういう感じが書きたい!って思っても、なんか文章にすると嘘になるんだよね。
文字数とか書き出しとか、言いたいことにたどり着くまでのことを考えると手が止まってしまうんだよね。

あんなの、訓練もせずにいきなり「書きなさい」と指導するほうがおかしいのだ。文章を書くというのは特殊技能にあたり、不得手な人間は文章を読むことすら嫌いになってしまう。研修なしのOJTかよ、どんなブラック企業だよ。

まあ、読書感想文の「指導」というのは、とても難しいものなのだろうと思う。
児童一人一人と向き合って、国語の楽しみ方を伝えるリソースなんて、とても無いだろうしね。

だから、叔母は伝授したのです、読書感想文を楽に書く方法を。

パソコンありゃ楽勝よ

用意するものはパソコン、Wordが入ってるやつ。
スマホやタブレット、なんならキッズケータイでも良いといえば良いです。わたしは、ワープロ端末のポメラがお気に入りです。
でもやっぱり、「画面が広くて」「文字数を勝手に数えてくれて」「文章の前後入れ替えがメッチャ簡単に出来る」便利な道具といえばパソコンになるかな。大人ばっかり独占していないで、子どももばんばん使いましょう。

本を読む

あんまり深く考えずにただ読む。「どんなふうに書こうか」と考えながら読むのは向き不向きがあると思います。まあ「おもしろいなー」と思ったページを折るとかフセン貼っておくくらいは、しといたほうがあとで楽かも。

感じたことをパソコンにばばばっと書き出す

箇条書きでいいし、言葉になっていなくてもいい。良いと思ったところ、嫌だと思ったところを殴り書きする

・おもしろかった/つまらなかった
・○○がよかった
・△△がよくわからない
・***がキライ
・ここ盛り上がった

こんなんでいいです。

大人が好きそうな文章に変えて字数を稼ごう

ここからが加工技術です、こんなもん慣れでしか無いので、周りの大人に手伝ってもらいましょう。「自分の力だけで言葉を探す」作業はとてもしんどい(大人だってしんどい!!)ので、誰かの言葉を借りていいんです。

 ・おもしろかった→だんだんドキドキしてきて、ページをめくる手も文字を追う目も止まりません。読み終わって初めて、すごく長い時間本に向き合っていたのだということに気が付きました。
 ・つまらなかった→読んでいくうちに「なんでこんなふうになるの?こんなのいやだ」と感じている自分に気付きました。だんだんページをめくるのが辛くなってきて、もういっそ読むのをやめてしまいたいとすら思いました。
 ・○○がよかった→とくに好きだな、と思ったのは○○の部分です。あのとき■■という言葉が出たのは、主人公が××な人だったからで…
 ・△△がよくわからない→どうしても納得がいかないというか、読み終わってもずっとスッキリしない部分があります。それは△△の部分です。あの時どうして△△になったのでしょう。たくさん考えてみたのですが、すっきりとした答えをみつけることはできませんでした。頭の中を△△がぐるぐる回って、ご飯を食べているときも、お風呂にはいっているときも気になって仕方がありません。まだ答えは出ていませんが、これからも考えていきたいと思っています。(忘れていいです)
 ・□□□がキライ→読んでいて一番心がざわざわしたのは、***が出て来る場面です。とても嫌な気持ちになりました。私がこんなことを言われたら、きっと誰にも相談できずに1人で泣いてしまいます。

だいたいこのくらい書いておけば、大人は「感受性が豊かな子だなあ」って感心してくれるでしょう。チョロいもんです。
相談できる大人がいなかったら、ここのコメント欄で質問くれれば適当に例文つくりますよ!

組み立てよう!

そこそこ文字数がかせげたところで、いい感じに文章を組み立てましょう。自分でやってもいいし、人に手伝ってもらってもいいでしょう。
たとえお母さんの意見でも「何か違う」と思ったら従わなくていいです。文字数が多いようだったら、どれかの話題を削りましょう。仕上げの清書が大変になるので、ガンガン削っていいでしょう。

書き出しを書こう!

ここにきて書き出しを考えます。書き出しは一番むずかしい部分です。全体を見て、「ここを一番の盛り上がりにしよう」と思ったらそれにつながる文章を書いてもいいでしょう。
思い浮かばなかったら「この本を手に取ったきっかけ」とかでもいいです。「課題図書のなかでいちばん表紙がキレイだった」とか「いとこが面白いと言っていた本が置いてあったので」とか(非実在いとこでもいいよ)。

文字数カウントして清書だ!

大人の人に原稿用紙形式で表示してもらって、それで規定の枚数に収まりそうだったらプリントアウトして清書します。
頭のいい子であれば「手書きめんどくさい」と思うかもしれません。
そう、手書きの清書なんて、何の意味もない行為です。ごめんね、大人はもっとラクしてるよ、ほんとごめん。
手で字を書くのが好きな子にはご褒美タイムです。

完成~!ね、簡単でしょ~!

ストップ食らった

…なんてことを姪っ子に教えて「楽勝やで!」なんて言っていたら、後日になって姪から

ズルはするなってパパに怒られた…

とのフィードバックを受けました。
まじかよ。これズルなのかよ。

何がズルなのかまるで理解できませんでしたが、家父長制における父親の権限は無限大です。非常に悔しいのですが、この方法を姪がとることはできなかったようです。

最後に、読書が苦痛で苦痛で仕方ない子のためにいっさい読まなくても描ける読書感想文の例をこちらに置いておきますね

読んでいるあいだの気持ちを思い出すと、少しつらくなります。まったく「面白い」と思えなかったからです。
まるで吹雪のなかを一人で歩いているようで、孤独な読書体験でした。がんばって読み進めていくあいだ「本を面白く感じられないなんて、私はどこかおかしいんじゃないか」と不安になりました。
あれは、道に迷ったときの気持ちに似ています。本当にこれが正しいのか、何を間違っているのかも分からない怖さに負けそうになりました。やっと最後まで読み切ったときは、正直なところ「ああ、これでもう読まなくてもいいんだ」とすら思いました。
いまふりかえって考えてみれば、ただ単に、今の私には合わなかったというだけのことかもしれません。そんな話を読書好きのおばさんにしたところ、「本っていうのはね、自分にハマる、読みどきみたいなものがあるんだよ」と教えてくれました。それで少しだけ、ほっとしました。

これで400字つめ原稿用紙1枚ぶんくらいになりますよ!まるっとコピペして使ってもいいよ!そのかわり、これ一冊だけ読んでみてほしいな!

以上、読書が好きで、読書感想文が嫌いで、なぜか現在ライターをやっているおばちゃんからのエールでした。


投稿日 2018.07.26
ブックレビューサイトシミルボン(2023年10月に閉鎖)に投稿したレビューの転載です


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