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【大人のための「恐竜学」】知る人ぞ知る夏のお楽しみがそのまま本になってる!

ダイナソー小林vs恐竜大好きキッズのガチンコバトルを知ってるか?

「夏休み子ども科学電話相談」というラジオ番組がある。
数年前から面白くて追っかけていたのだが、やっぱり人気番組だったようだ。

科学は理屈や仕組みを説明するのには適しているが、理由を説明するのには向いていない。でも子供が知りたいことに理由と理屈の区別はない。どこまでもピュアな探究心と真摯に応える権威のやりとりを聞きながら、「私はいつの間に、世界の仕組みを全て分かったような気になっていたんだ…私は…私は…!」と童心に還る素敵な番組。

そんな中でもダントツで面白いのが、本書の著者である「ダイナソー小林」こと小林快次教授担当の恐竜コーナーだ。
他のジャンル質問には幼く微笑ましいと感じられるものも多いなか、恐竜ジャンルはガチである。

知識に餓えた恐竜キッズが権威たるダイナソー小林に殴りかかり、ダイナソー小林は百人組手さながらにキッズに挑み返す。
キッズの質問がそもそも高度な専門用語(と固有名詞)から始まるので、聞いてるこっちが「えっなに?質問の意味がわからん」ってなるし、イキイキとマジレス中のマジレスを返す小林教授とラーメンでも飲み込むようにかぶりついていく恐竜キッズのやりとりに聴き手は完全に置いていかれて「なるほど、全然わかんねぇ!」と舌を巻く。

夏休みになると、ツイッターにハッシュタグも登場する。過去のまとめも随所にあるので、ぜひ見ていただきたい。

夏休みおとな科学ネット相談

本書も前述の夏休み子ども科学電話相談の話から始まる。ダイナソー小林、ラジオで拝聴していてもかなり嬉しそうなのだが、本書の前書きを読んでいると本当に楽しくて楽しくて仕方ないようだ。
本書は、ネットで大人たちから受け付けた恐竜に関する質問に回答していくタイプの入門書だ。
恐竜キッズとダイナソー小林の組手をある意味蚊帳の外から観戦していた大人に「こっち来いよ!!な!?」と呼びかけてくる。
大人になると当たり前のようにスルーしていた素朴な疑問…そもそも「恐い竜」ってどういうこと?という質問に対しては、

「Dinosauria」とは、とは直訳すると「恐ろしいトカゲ」になる。「恐ろしい」という枕詞をつけたセンスも素晴らしいし、それを和訳するときに「竜」の字をあてたセンスも素晴らしい。カッコいいよな!(意訳)

という回答から始まるのだ。
そうだよ、恐竜ってカッコいいよね!でっかいし、強そうだし、ワクワクするよね!!

かつて恐竜博士を目指していたすべての大人に、ダイナソー小林が「もう一度こっちに来なよ!」と呼びかけてくる。読みながら自然と頬が緩んでくる、そんな素晴らしい書籍だった。

週末はこれで得た知識をお供に、上野の科学博物館に息子と遊びにいこう。
あの半身が埋まったトリケラトプス、好きなんだよねぇ!


投稿日 2017.02.09
ブックレビューサイトシミルボン(2023年10月に閉鎖)に投稿したレビューの転載です

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