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水島新司先生を偲んで

皆さん、おはこんばんちは。

野球漫画の第一人者、水島新司先生が2022年1月10日、肺炎のため都内の病院でお亡くなりになりました。
82歳でした。


追悼:水島新司先生

プロフィール

水島先生は1939年4月10日生まれ。80歳近くなるまで第一線で活躍されていましたが、2020年12月1日に漫画家引退を電撃発表されていました。

そこからわずか1年ちょっと。
本当に寂しい限りです。

野球好きだった私は、ティーンエイジャーの頃から水島先生の作品をこよなく愛し、それらの作品が私の青春を彩ってくれた、正に「神」のような存在でした。

Wikipediaを見ますと、水島先生の手になる作品は40作以上を数えますが、その中でも私が特に好きだった作品を挙げてみたいと思います。

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ドカベン(1972~1981年)

これはもう、間違いなく水島作品の中では断トツの1位です!


主な舞台は、神奈川県の明訓高校。主人公の〝ドカベン〟山田太郎、同僚の岩鬼正美、里中さとなかさとる殿馬とのま一人かずとは「明訓四天王」と呼ばれています。
のちにチームに加わる微笑ほほえみ三太郎を合わせて、「明訓五人衆」とも言われます。
※「明訓」の校名は、新潟出身の水島先生が「新潟明訓」から取ったとされています。

この明訓選手たちが、地区予選の段階から物凄いライバルたちとの戦いを制して甲子園に出場し、その大舞台でも死闘を繰り広げる様子が描かれています。


史上最大の死闘

 一番印象に残っているのは、山田たちが2年生の春・センバツ大会。

土佐丸高校との決勝戦に勝って優勝するんですが、その決勝戦が描かれた「ドカベン第31巻」が、ファンの間では「神巻」と呼ばれています。


その訳は、山田、岩鬼、殿馬の過去に隠された秘密が明かされ、現在の姿と重なって大きな感動を生む構成となっているからです。

この描き方を後の漫画家たちが踏襲し、それが現在の漫画を語る上で不可欠になっているんです。

後世へ影響を与えた劇画手法

例えば今、「遊郭編」が放送されている「鬼滅の刃」を思い起こしてください。

鬼と戦っている最中に炭治郎や柱たち、更には敵である鬼たちの過去のエピソードが挿入されますよね。

あの描き方を漫画界では、この「ドカベン31巻」が初めてやったといっても過言ではない、と言われているのです。


ただ一度の敗戦

あとは、明訓高校がただ一度、甲子園で敗れた弁慶高校戦(2年生の夏2回戦)、決勝点となった義経が山田のタッチをよける「八艘とび」は凄かったですね。


大甲子園(1983~1987年)

そして、「ドカベン」の続編である「大甲子園」は、山田たちの高校3年の夏を描いた物語です。


この物語世界には、それまで水島先生が描いてきた、
『男どアホウ甲子園』
『一球さん』
『球道くん』
『野球狂の詩』
などの登場人物が一堂に会し、山田たちと対戦するという、水島野球漫画ファンにとって夢のような展開でした。

結局、山田世代の明訓高校は5回出場した甲子園で1年夏、2年春、3年春、3年夏、と4回の優勝を達成しています。

「ドカベン」はこの後、ドカベン プロ野球編(1995年 - 2003年)ドカベン スーパースターズ編(2004年 - 2012年)ドカベン ドリームトーナメント編(2012年 - 2018年)と続編が描かれますが、私にとっては「大甲子園」でこの物語は完結していて、プロ野球編の途中で読むのを止めてしまいました。

ただ、スーパースターズ編は「『大甲子園』に次ぐ水島作品の総決算と呼ぶにふさわしい作品」との評価もありますので、ぜひ機会を作って読んでみたいと思います。
老後の楽しみとして(笑)

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野球狂の詩(1972~1977年)

この物語は最初、架空のプロ球団「東京メッツ」の50歳を超えたよれよれ投手・岩田鉄五郎を中心に、さまざまなキャラクターのエピソードを描く短期連載集のスタイルでした。
スターではない控え選手にもスポットを当てた、人間味のある物語に感動する作品です。

野球界の人間ドラマ

「ウォッス10番」「ガッツ10番」「スラッガー10番」の富樫平八郎を主人公とした「10番3部作」は、少女漫画家・里中満智子さんとの合作で、里中さんが女性や子供の作画を担当していました。

ちなみに「ドカベン」のエース・里中智の名前は、里中さんの名前が元になっています。

私が好きなエピソードは、
◎「北の狼」火浦健
◎15歳のプロ野球選手、超アンダースローの立花薫
◎球場のクセを熟知し、雨天中断後の天候を利用して逆転打を放つ芦田哲

などなど、個性的な選手が多く登場しました。


水原勇気の連載シリーズへ

そしてこの短編集漫画は、
「水原勇気」
という少女の登場で、彼女のエピソードを描く連載シリーズとなりました。

水原は物語中、1975年ドラフト1位(アニメでは1977年ドラフト1位)で指名される、女性初のプロ野球選手として描かれました。


当時プロ野球には女性選手の登録を認める公約がなく、それをプロ野球コミッショナーに認めさせるところからストーリーが展開していきます。 

プロに入ってからは「巨人の星」の主人公・星飛雄馬のように、アンダースローからの魔球「ドリームボール」を編み出す展開がしっかりと描かれ、完成してからはそれをキメ球にストッパーとして活躍しました。

女性投手という、いかにも映像作品化しやすい題材でしたので、木之内みどり主演での実写映画化や、アニメ化、斉藤由貴主演でのドラマ化も行われました。


↑アニメでは、魔球「ドリームボール」を投げ終わったあとの「えびぞりポーズ」がカッコいい!


↑この頃の斉藤由貴は、メッチャクチャ可愛いですね!😆

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あぶさん(1973~2014年)

このお話は、南海ホークスの酔いどれ代打専門のバッター「景浦かげうら安武やすたけ」が主人公の漫画シリーズです。

「安武」がリキュール「アブサン」と同じ「あぶ」と読めるため、「あぶさん」というニックネームとして描かれています。

最初のうちは代打専門で、試合中にも酒を飲んでいて打席に入る前に酒を口に含み、バットに酒しぶきをかけるシーンが定番でした。

この物語もあぶさんを取り巻く人々(実在のプロ野球選手や球団の裏方さんが、実名で登場しています)との人間味あふれるやり取りがとても心地よく、1話1話読むたびに感動が湧き上がってくる内容でした。

「運命」の作品

そして、南海ホークスが物語の舞台となっていましたので、ホークスがその後、私の故郷である福岡に移転し「ダイエー」→「ソフトバンク」となってからも物語は続きましたので、もうこれは「運命」だと思いましたね!


その後のあぶさんは50歳を超えて三冠王を取ったり、60歳でも4番を務めたりと、ちょっと現実離れした話の展開になってしまったのが残念でしたが…😆
また、この作品は水島作品には珍しく、アニメ化や実写映画化などが全くされませんでした。まぁ、実在の人物がたくさん出ているため、肖像権の問題で難しいのは当然ですか😆

想い出深いラッキー

「あぶさん」には、私の人生で一生忘れないであろう想い出があります。

それは、地元福岡のラジオ局がプロ野球中継の中で「あぶさん全巻プレゼント」という企画をやったんですね。
んで、ファクスを送って応募しましたら、なんとそれが当たってしまったんです!

当時で40数巻出ていたと思いますが、それが届いた時は本当に嬉しかったですね!
※追記:最終的には全107巻で完結します。


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一球さん(1975~1977年)


この物語は、忍者の子孫である主人公・真田一球が、野球の名門校・巨人学園高校の野球部に突然入部してくるところから始まります。


痛快「忍者野球」

一球さんは、野球のことを全く知らないのに驚異的な身体能力と頭脳で、破天荒なプレーをしていく姿が痛快でした。

たとえば、投手の投げたボールの縫い目のほころびが見える忍者の目を持っていたり、外野の一番深い位置からキャッチャーへダイレクトでストライクの返球をしたり、外野フライで2塁からのタッチアップでホームをねらったりと、とにかくハチャメチャな身体能力を持っているんです。

破天荒な野球漫画

また、野球のことを知らないんで、犠牲バントで相手にワンアウトをなんで与えてしまうのかとか、ホームランを打ってスタンドに飛び込んだボールが跳ねてグラウンドに戻ってきてもそれはホームランなんですが、そんなルールを知らないんで全速力でベースを回ったりとか、それまでの漫画では当たり前に描かれていた事を当たり前だと思わない野球漫画の主人公なんて初めてでしたから、とにかく面白かったですね!

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というわけで。

本当に水島作品は、今でも私の心の中に大きな一角を占めて存在しています。

水島先生、本当にありがとうございました。
そしてお疲れ様でした。どうぞ、安らかにお休みください。
(※画像はネットからダウンロードしてきました。もし、著作権に違反しているものがありましたら、コメントくだされば削除いたします)

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