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<『2分で心が楽になる小説』言葉よりも行動を重視するあなたへ>

やさしさは色を変え、形を変え、人の心に染み渡っていく。

おはようございます。

やさしさについてのお話です。やさしさって何でしょうか。大きな挑戦するときにかけてもらう一言。うまくいかなかったときにかけてもらう一言。相手を傷つけたくないからつく嘘。どれもやさしさっぽいのですが、やっぱりやさしさって何なんでしょうか。今日はそんなやさしさの形のお話です。


誰かからもらったわけでもない。

誰かにあげたわけでもない。

どうせ僕にはやさしさなんかありやしない。

周囲の大人、クラスメート、小学校時代の友達。

みんな、僕から離れていって、みんな、僕を離していくんだ。

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「人にやさしく、そして強く」僕の名前の由来は確かこうだった。

優太。ありきたりな名前とありきたりな由来に少し、がっかりしていた。

中学に入って、あんまり楽しくないと感じることが多くなった。

学校をサボると、担任が電話をかけてくる。面倒くさい。

一週間サボると、スクールカウンセラーとかいう奴が電話をかけてくる。お前、誰だよ。

どうせ、僕のことなんか、正直どうでもいいんだろ。

だから、電話なんだ。

直接家に来ることもしない。

それも少し、がっかりしていた。

大人はもっとやさしいものだと、社会はもっとやさしいものだとばかり、思っていた。

違ったみたいだ。がっかりした。

でも、こんな僕でも今は学校に通っている。

やさしくない学校に通っている。

それは、やさしさをもらったからだった。

いや、僕は今までずっとそのやさしさをもらい続けていて、でもそれに気づいていなかったのかもしれない。

僕はずっと、ずっと知っていたんだ。

母さんが僕に寄り添ってくれたこと。

でも、気づいてあげられなかった。

いや、気づけなかった。

でも、気づかせてくれた。

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母さんは僕を責めたりしなかった。

ズル休みしても怒らなかった。

それが、少し不思議に思った。

僕は聞いてみた。

「僕、ズル休みしてるけど、怒らないの?」

母さんは笑った。

「ズル休みの自覚はあるんだ。まあ、優太も考えることがあるんでしょ。別に話さなくてもいいけど。優太はやさしいね、私の気持ちを心配してくれて。」

僕は分からなかった。

僕がやさしい人だなんて、思ったこともなかったから。

母さんは時々、分からないことを言う。

僕の見えていない何か。

僕はそれを知りたいと思った。

「じゃあ、優太くんにヒントをあげます。母さんはどうして優太くんに何も言わないのでしょう?そしてこれは私からのお願いです。私のために学校に行ってほしいな。」

小さい頃、母さんによく言われていたことがあった。

「いい?お友達にはいつでもやさしくしてあげなさい。困っていたら助ける。困っていなくても声をかける。やさしいことをしてあげられる人は絶対、素敵な大人になれるんだよ。」

素敵な人。

僕は素敵な人になれているのだろうか。

無条件にやさしさを与えられる素敵な人になっていただろうか。

やさしさは期待するものじゃない。

与えるものだ。

そしてそれは、相手の気持ちに寄り添ったやさしさなのだ。

学校に感じていた冷たさはこれがなかったからだ。

母さんが僕の気持ちを100%理解していたかというと、そうではないを思う。

でも、母さんは分かっていたんだ。僕の心に何かが引っかかっていることを。

母さんはそれを取り除くきっかけをくれた。

特に何も言わない。

それが母さんの優しさだった。

今日は以上でーす。あなたはどんなやさしさを与えられますか?明日もお楽しみに!

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