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ムカデとともに生きる道

新居に引っ越して1ヶ月と少しが経ち、コバエにも、ゴキブリにも、蜘蛛の出現にもへこたれずに、むしろ新居を愛するようにさえなった日々。

突如、ショックに打ちのめされた。昨夜の12時過ぎ、携帯でゲームをしながら背中にむずがゆさを感じ、手で背中を掻いた後戻したその手に、なんだかよく分からない黒い長いものが付いていて、「なにか」と判別する前に手を振って下の布団に落とす、という出来事。

布団を這うその物体は、過去の記憶を呼び覚ます。何十年も前に見たあれ、そのくねくねと素早い独特な歩き方(這い方?)、ムカデである。

そのときの自分が何を思ったのかはっきりとは覚えていないけれど(考えてもいなかったかもしれない)、した行動は素早くて、「このままにしてはおけぬ」と危機を感じ、キッチンペーパーを2枚取り出し、すばやくムカデを覆って捕まえた。その後は蜘蛛を捕まえたときと同じ要領で窓の外に逃がしてひと段落。徐々に恐怖が大きくなっていき、「どうすればいいのだ」となる。ネットで調べ、ムカデ対策について検討した結果、何か抜本的な方法はなさそうで、ただ「噛まれても死ぬことはあまりなさそうだ」ということが分かって少し落ち着く。死ななければいいのか、というわけではないのだけれど、マムシと比べると分かりやすいだろうと思う。命の危険があるかないかでは取り組む真剣度のレベルは格段に違う。

ただ、だからといってムカデはコバエやゴキブリや蜘蛛と同じというわけにはいかない。「共存できる」存在として、今わたしの中にはいない。部屋にでてきてもらっては困るのだ。形が怖いのだ。小さい頃、母が包丁で滅多切りにしていた怖さを思い出すのだ(そこまでしないと死なないらしいけど)。

そしてそのムカデ調査の中で自分の行動が犯した痛恨のミスに気付く。逃がしてはいけなかったのだ。殺さなければならなかったのだ。だけど私に包丁で刻むことができるだろうか。いやできない。でも共存は無理。

一抹の後悔。もっと平和的に(ムカデにとっては平和ではないだろう方法も含め)お互いの領分を犯さないで生きていける方法はないものだろうか、と思い、今もまだ悩んでいる。とりあえず、ムカデが避けるだろう薬と、やってきたときにやっつけるスプレーらしきものの購入をし、様子をみてみようと思っているけれど、寝ているときにやってくるので、怖くておちおち寝てなどいられない(その後眠れなくて今日は寝不足。いつ、どこからやってくるか分からず、ちょっとした模様がムカデに見えてしまうのだ)

今日は朝から掃除に精を出した。ムカデ対策として。そしてムカデが食べるゴキブリ対策を通じたムカデ対策として。新居に引っ越して、一番多く投資しているのが虫対策のような気がする。ああ、他にも買いたいものがいくつかあったけれど、後回しになっていく。仕方がないけれど。

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