【ゆるっと映画こうろん1】和製ロックオペラ”犬王”の魅力
現実逃避したいとき、私は映画館に行きたくなります。映画が始まる前に一瞬だけ館内が真っ暗になる時の、あの没入感がたまらなく好きです。
今回は、先日見に行った「犬王」という映画のお話を。
🎞簡単なあらすじ
「絶望悲嘆の呪いをまとい
産み落とされた赤子がいた
はいつくばって犬と飯
食らうその面はクソのよう
諸行無常の恨みをまとい
童(わっぱ)にたかるは平家の亡霊
話拾えば一つずつ 呪い解けて人になる
奇妙な宿命」(劇中歌「犬王壱」より)
劇中に登場する歌の歌詞から、簡単なあらすじがわかります。
🎞どんなお話か
上の内容だけではとっつきにくいので、ちょっとだけ補足を。
平家が壇ノ浦で敗れてから半年後、猿楽の一座に生まれた異形の子犬王は、平家の呪いで盲目になった琵琶法師の友魚(ともな)と出会います。友魚の琵琶と犬王の舞い踊りで平家の悲嘆の物語を奏でながら、呪いの秘密に追っていくのですが、時代の寵児にまで上り詰めた二人に待ち受ける運命とは・・・。ちなみに犬王も友魚も実在した人物のようです。
🎞キャストとスタッフ
ビレッジバンガード好きは、もしかするとキャストとスタッフを見ただけで、映画を見たくなるかもしれません・・・
■犬王・・・アヴちゃん(女王蜂)
正直アーティストとしての女王蜂の音楽を聴いたことがなかったんですが、圧巻の演技で、思わずサブスクでダウンロードしてしまいました。
■友魚・・・森山未来
昔から好きな俳優さんですが、ダンサーとしても活躍されてて、その独特の存在感が友魚とリンクしてかっこいいです。
■監督・・・湯浅政明
代表作「夜は短し歩けよ乙女」「映像研には手を出すな」
■キャラクター原案・・・松本大洋
代表作「鉄コン筋クリート」「ピンポン」
■脚本・・・野木亜希子
代表作「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」
■音楽・・・大友良英
代表作「あまちゃん」「いだてん」
🎞魅力①フェス感
滅び去った平家の怨念を歌にして周りへ知らしめる事が二人の使命ですので、いかに興味を引き付けるかがカギになります。なにせその怨念が晴らされるごとに、犬王の体のパーツが人になるのですから死活問題です。
その手段として、ド派手な音楽と演出で、見るものを引き付ける様子はフジロックやサマソニのヘッドライナーなみです。また劇中歌は、もちろんアヴちゃんと森山未來が歌っており、クイーンへのオマージュかな?というものもあって、応援上映が放映されたのも頷けます。
🎞魅力②出る杭打たれる感
二人ともボロボロの状態からスタートして、試行錯誤の末「新生 平家物語」を生み出し、庶民から絶大な人気を誇るようになりますが・・・。
どの時代、どの世界でも、新しいものを受け入れられない人たちが妨害してくるのは世の常。それが足利義満だったという悲劇は、出る杭をあっさりポキッと折ってしまいます。
🎞〆
日本だけなのか、私が知らないだけで世界でもよくある話なのか、保守VS革新になったとき、力が絶大な保守に足並みを揃えなければならないっていうのは、どうしようもないのかな~とふと思ったり。例えば、デジタル的な事とか、各所えらいさんがわからないから昔スタイルのまま行きますとか・・・。私たちが年を取ったらやっぱり若い人達に同じような事を強いるのかなとなんだか考えさせられてしまいました。
それはさておき、和製ロックオペラと呼ぶにふさわしいこの「犬王」という映画、私も含め、歴史好き和もの好きには垂涎ものの映画です。そして音楽好きも満足できる映画になっていますので、よければ見てみてください。
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