ハザードランプが出ない理由 ー客観視の話ー
(読了目安6分)
「批判をすると知恵のない人を引き寄せます」という話です。
・・・
みなさんは、「ハザードランプ」という言葉を知っていますか?
車のウインカーを左右同時に点滅させるもので、用途の一つとして、道を譲ってもらったときの「お礼」があります。
以前、マスターと一緒に過ごした25歳の女性、A子さんが、こんなことを言っていました。
「マスター、最近の交通マナーって昔より悪いと思うんですよ。父の隣に乗っていたころは、道を譲るとお礼のハザードランプ出す人が多かったんですけど、私が車に道を譲っても、お礼のハザードランプを出す人がほとんどいないんです。譲ったのにお礼をしないなんて、最近のドライバーはマナーが悪くなりましたよね・・・」
要約すると、
「譲ってあげたのにお礼をしない最近のドライバーは、マナーが悪い」
ということです。
みなさんは、A子さんの言葉をどう感じるでしょうか。
マスターは、A子さんがそう主張する理由はすぐにわかりました。
わざわざ検証するまでもないことでしたが、後日、買い物ついでに実験をしてみました。
後続車に道を譲るときは、対向車線が見渡せる見通しのいい場所を選び、
道を譲る意思があるということを、ウインカーとハンドル操作で早めにはっきりと示します。
見通しのいい場所に差し掛かるまでは、スピードは落とさず、車を左にも寄せず、堂々と車線の中を走り続けることで、後続車に対し、「今は道を譲らないです」という意思表示をしました。
そうすることによって、「相手を困惑させない気配り」をするわけです。
上記のような「わかりやすい操作」や「安全な環境」に気配りをし、3台の車に道を譲ってみた結果、3回ともお礼のハザードランプがついたんです。
実験の結果、A子さんの主張とは反対の結果になりました。
その後もマスターは実験を重ねましたが、ハザードランプでお礼をする車の方が多く、決して「お礼のマナーが悪くなった」とは感じませんでした。
・・・ということで、なぜA子さんは「最近のドライバーのマナーが悪くなった」と言ったのか、もうわかったと思います。
そうなんです、彼女が後続車に道を譲ってもお礼をしてもらえない理由は、
ドライバーのマナーが悪いからではなく、「A子さんの譲り方に問題があったから」でした。
マスターがそのことにすぐ気付いたのは、彼女の普段の生活を見ていたからでした。
25歳のA子さんは、言葉、考え方、態度、気配りなど、多くの部分がまるで子供だったんです。
A子さんが車を運転するとき、バックミラーを見ない傾向があるなら、後続車に気づいたときには、すでに後続車の運転手はイライラしていたかもしれません。
A子さんが「譲る」という行動をとろうとしても、動きにメリハリがなく、後続車が「譲ってくれるの?どうなの?」と混乱してしまったとも考えられます。
譲ったタイミングが、対向車がいるタイミングだったり、カーブの途中だったり、先が見えない上り坂の頂上付近だとしたら、後続車は怖くて対向車線に出ることができません。
追い越してくれる車もいるかもしれませんが、見通しの悪い場所では安全確認や操作が忙しくなり、「お礼をしよう」どころではなく、むしろ「なぜこんなところで譲るの?」と相手は不快になり、ハザードランプどころではなくなります。
バックミラーを見ていないA子さんにとっては、「なんの前触れもなく追い越された」というパターンもありえますから、急な出来事にA子さんは、びっくりして不快になるはずです。
そして、「いきなり追い越しておいて、お礼もしないなんてどういうつもり?」と相手を責め、「最近のドライバーはマナーが悪い」という結論になったのかもれません。
いずれにしても、A子さんの運転では、後続車はお礼をする余裕がないか、お礼をする気分になれない場面が多かったはずです。
本質は、
「A子さんのマナーの悪さが周囲を怒らせている」
「周囲のマナーが悪いのはA子さんのマナーが悪いから」
ということです。
たとえばA子さんの運転で、「お気に入りの男性」をドライブに誘ったとします。
その男性は「知恵のある男性・大人の思考の男性」だったとします。
ドライブ中、A子さんが男性に対して「譲ったのにお礼をしないなんて、最近のドライバーはマナーが悪いよね」と言った瞬間、男性はこう考えます。
「ちょっと待ってよ、今の譲り方じゃ、お礼なんかしてくれないでしょ。この子、自分の落ち度に気がつかないで他人のせいにしちゃうのか」
さらにこんなふうにも考えるかもしれません。
「こんな子と付き合ったら、オレ、きっといろいろと責められるんだろうなあ。もし結婚したら、仕事先とか主婦仲間の集まりで、いろんな問題を起こすんだろうなあ。毎日愚痴を聞かされることになるんだろうなあ。結局最後は、アタシは悪くない、アンタが悪い、とか言われるんだろうなあ」
・・・ということで、この男性は、もうA子さんの車には乗らないかもしれません。
もし乗るとしたら、ヒマなときにヒマつぶしとして、もしくはA子さんの身体、またはお金目当てになり、少なくとも、A子さんを「一番大切な女性」として見ることはなくなります。
そして、ここからが大切なところです。
一方、もし「譲ってあげたのにお礼をしないなんて、最近のドライバーはマナーが悪いよね」という意見に賛同する男性がいたとしたら、どんなことがおこるでしょうか。
意見が一致するので、お互いに気分はいいはずです。
しかし他人を責める「子供の思考」のノリで意気投合し、もし結婚に至ったりしたら、自分のことを棚にあげ、他人を批判する家庭の出来上がりです。
そんな夫婦は、「自分は悪くない、世の中がおかしいんだ」と社会を批判しながら、常にストレスを抱えた生活をすることになります。
また、他人を批判する夫婦ですから、やがて夫婦ゲンカも絶えなくなります。
生まれた子供は、ストレスを抱えた両親から愛を感じることはなく、親と同様の価値観を持つ大人になる可能性が高くなります。
これでは悪循環です。
このように、大人の思考の男性からは敬遠され、子供の思考同士の関係は、はじめは順調でもやがて破綻する・・・このままでは平和な人間関係は作れないということです。
人生経験の少ない人が主観に頼って他人や社会を批判する場合、A子さんのように、自分の価値を落としてしまうパターンがほとんどです。
その結果、知恵のある人はA子さんから離れていき、周囲には知恵のない人(子供の思考の人)が残ります。
「批判」をすると、自分の周りに知恵のない人を引き寄せてしまうわけです。
批判をしたくなったときは、今回の投稿「ハザードランプ」を思い出してくださいね。
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