妄信者と探究者 3

(読了目安8 分)

「妄信者と探求者」は、今回の第3話で終わりです。
最終話は以下のテーマでいきましょう。

◎妄信者の特徴・探求者の特徴
◎探求者がニセモノの神を排除した例
◎探求者として
◎妄信は宗教と同じ
◎おわりに

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◎妄信者の特徴・探求者の特徴


「妄信者」の例は、太陽神を信じ、いけにえの儀式をやっている国の王様でしたね。
特徴としては、本質かどうかよりも、自分が信じたいことだけを信じ、他人の意見を聞かず、自分のやりたいようにやる人でした。


一方「探求者」の例は、天文学を学び、いけにえの儀式をやめさせようとした学者でした。
特徴としては、常に本質を求め続け、そのための努力を惜しまない人でした。
いけにえの儀式をやめさせようとして本質を説いたため、王様に処刑されましたけどね。


ここで妄信者と探求者について、「霊」をキーワードにもう少し詳しく考えてみましょう。


<妄信者の特徴>

たとえば、新興宗教に人生をかける人が「妄信者」です。

「この宗教こそ世界平和のために必要なものだ」

「この宗教を信仰してから不思議なことばかり起こる」

「先祖の霊を供養したら病気が治った」

「あなたの病気はこの宗教じゃないと治らない」


こう信じています。

他人が新興宗教について客観的に説明しても、信者は信じたいことだけを信じ、決して歩き出そうとしませんよね。


また、「霊」の存在を信じ、周囲が理論的に説明しても聞く耳を持ちません。


妄信者はこう言います。


「私は霊はいると確信しています。その証拠に、霊の声を聞きましたし、見えるはずのないものが見えました。常識では考えられない現象も起こりました」



「周囲の人に見えない・聞こえない」ということは、その人の脳の中でなにかが起こっているということです。
変性意識状態で起こる幻覚や幻聴だということがわからず、いつも自分が正しいと信じ、自分の経験や価値観が、世の中の中心になっているわけです。
また、人間は不完全ですから、不完全な人間の確信も不完全です。
「常識では考えられない現象」というのは、「その人の経験では理解できないこと」というだけで、経験豊富な人にとっては当然のことかもしれません。
常識と言う言葉は、自分が正しいと信じている人ほど使う傾向があります。



上記のような妄信は、子どもの妄信と同じです・・・というか、子どもより社会的影響が大きい分、やっかいです。
やっかいですから周囲の人は寄り付かず、妄信者は妄信者同士でかかわるようになります。
しかし、妄信者は基本が「子どもの思考」ですから、同じ価値観同士で関わっても、良好な関係は長く続きません。


また、一部の妄信者は、同じ価値観で仲間を作り、探求者を排除しようとします。
それは、本質を求める探求心よりも、信じていることが覆されないかどうかという不安や恐怖が先に立つからです。


探求者からの助言に対しては、「うるさい・余計なお世話」というスタンスをとります。
前回の投稿で、王様が学者の助言をウザがって処刑したのがその例です。


結論を急ぎ、わからないことは、霊や神で説明しようとします。
やはり前回登場した王様と同じです。





<探求者の特徴>


探求者は、霊の有無を証明するためにいろいろな努力をします。
決して存在を否定するための努力をするのではなく、ニセモノを排除し、本物に近づくための努力です。


マスターが印象的だったのは、マジシャンの「ハリー・フーディーニ」という男性の話です(ポケモンのフーディンの元ネタの人)。


彼は生前の母に、当事者間でしかわからない言葉(暗号)を託し、以下のような約束をしました。


「お母さんがこの世を去ったら、チャネラーたちがお母さんにコンタクトを取るので、チャネラーたちに暗号を教えてあげてください」


彼が生きていた19世紀から20世紀へ移行する時代は、「心霊現象(降霊術)」が流行していた時代で、「死者(霊)と交信できる」というチャネラーが世に溢れていました。
母の死後、彼は母からの暗号を受け取るため、「死者と交信できる」という数百人のチャネラーに対し、死んだ母がなんと言っているか、その「暗号」を聞き出すように頼みました。


結果は、どのチャネラーも、母からの暗号を伝えることができなかったんです。
フーディーニは、ニセモノの神を排除したわけです。


また彼は、「常識では考えられない現象」の多くを、マジックや学問で説明しました。
常識では考えられない現象というのは、彼以外の人の常識では考えられなかっただけで、彼にとっては「常識内」だったわけです。
「最新のマジック」は、地球上でその考案者しかできませんから、考案者以外には「常識では考えられない現象」になります。
マジックとして披露するので、周囲は単に「驚いたー!」ですみますが、自称霊能者がそれを「霊現象」として披露すると、妄信者は、本気で「霊現象だ、霊は存在する」と信じてしまいます。


探求者は、ニセモノの霊の存在を徹底して排除した向こう側に本物の霊があるかもしれない、と考えていますから、マジックや学問で作り出せる「霊のようなもの」は排除します。


助言に対しては「ありがとう」というスタンスをとります。
助言は、本質への可能性を広げるものだとわかっているからです。


わからないことに関しては結論を急がず、霊のせいにもしません。
探求者が出す「結論」は、いつか本質が解明される可能性を含んだ「中間的・暫定的」なものになります。


さて、みなさんは、自分は「妄信者」と「探求者」、どっちのタイプだと思いますか?
類は友を呼ぶわけですから、自分の周囲に妄信者が多いと思うなら、あなたもそうかもしれません。
逆に、探求者が多いと思うなら、あなたも探求者かもしれません。


◎探求者がニセモノの霊を排除した例


探求者がニセモノの霊を排除した例をいくつか挙げますね。

・金縛り
昔は、悪霊の仕業だと思われていましたが、医学の発展で脳の状態によるものだと説明がつきました。


・こっくりさん
一部で霊の仕業かと思われていましたが、自己暗示だということはすでに解明されています。


・多重人格
昔は悪霊や先祖のタタリのせいだと言われることがありましたが、脳障害のひとつとして認知されました。


・幽体離脱や幻覚
脳のある部分に電極を流すと同じ現象が起こることが発見され、つかみ所のない「霊的現象」ではないとわかりました。


・憑依・神懸り
悪霊や神が乗り移ったと言われていましたが、医学の発展によって多くの仕組みが解明されました。


・心霊写真
カメラの仕組みを知っている人にとっては説明がつくものでした。

・抗NMDA受容体脳炎
悪魔の仕業だと思われていた「身体が暴れてしまう症状」は、「エクソシスト」という映画にもなりましたが、現代は仕組みがわかり、上記の病名がついています。


昔、人間の知恵で解明できないものは、「霊の仕業」として処理されてきましたが、探求者たちが考え続けた結果、霊の仕業ではなくなりました。
現代の医学や科学で説明できないものも、今後徐々に解明されていきます。



◎「探求者」として


以下太文字は前回書いたものですが、興味がある人は、これらについて「探求者」の立場で考えてみてください。
探求者の立場で、というのは、信じたいことを信じるだけでなく、他の視点や反対の視点から客観的に判断するということです。

たとえば「有機野菜はおいしいのか」というテーマの場合、世の中の多くを占める「有機ではない野菜」についてもよく考える必要があります。
「有機野菜だけが特別おいしい」と極端に言ってしまうと、他の野菜はまずいという前提になってしまうわけです。
有機野菜はおいしいと思いますが、有機ではない野菜もおいしいというのが本質です(有機野菜はおいしい?を参考に)
「有機野菜はおいしい」という情報は、だれが流しているのか、そして、なぜおいしいと感じるのかなどを考えることが大切です。


では、以下を「探求者」の立場で考えてみましょう。
きっとあなたの中でなにかが変わるはずです。

石鹸の方が合成洗剤より環境に優しいのか

晴れ女・雨女は実際にいるのか

コカ・コーラは身体に悪いのか 

カップラーメンは身体に悪いのか

砂糖を食べると虫歯になるのか

ノンシリコンシャンプーは髪にいいのか

ミネラルウォーターはおいしいのか
(ミネラルウォーターだけがおいしいのか)

ワインは身体にいいのか

玄米は身体にいいのか

有機野菜はおいしいのか
(有機野菜だけがおいしいのか)

山崎パン・マクドナルドは添加物だらけだからカビが出ないのか

食事を抜くと力が出ないのか

寝る前に食べると太るのか



◎妄信は宗教と同じ


マスターは以前、「宗教はやってはいけない」と書きましたよね。
簡単に言えば、愛にたどりつけなくなるからですが、その他の妄信も、「考えることをやめ楽をする」という意味で宗教と変わりません。
妄信は宗教と同じで、愛にたどりつけなくなります。


◎終わりに


妄信者になるか探求者になるか・・・時代を切り開いてきたのは常に「探求者」です。
そして、長く愛されるのは・・・やっぱり「探求者」です。
妄信は楽ですが、問題の先送りにしかならず、妄信をして楽をした「ツケ」は、必ず返ってきます。


以上、「妄信者と探求者」でした。
最後までありがとうございました。

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