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『僕と頭の中の落書きたち』孤独に生きる病と愛

こんにちは。映画『僕と頭の中の落書きたち』
私の感情が動いたシーンと見解をレビューしていきます。

この映画、主人公は統合失調症という精神病を持つ高校3年生の青年。彼には幻聴と幻覚が見え、常に3人の男女が付きまとう。それは時に助けになるが、反対に荒ぶる感情をサポートする爆弾にもなってしまう。常に騒がしく何にも集中できない彼が、たったひとつ心落ち着けるものが"料理"だった。

高校に通う彼には友達もいて普通の生活を送れていた。料理の学校に通うという夢もあった。
しかし遂に、学校でも自分の意思とは反対に問題を起こしてしまう。その失敗は彼を傷つけ自信を失わせた…。
新しい学校へ転校することになり、そこで1人の女性と出会う。

彼を追い詰める"孤独"と"失望"。それを乗り越えさせたものは何なのか。そこにはあまりにもリアルな人々の葛藤が描かれていた。

誰にも理解されない苦しみ
理解をしてもらおうとする苦しみ
どうして自分だけ、なにかを手に入れればまた大切なものを失う。なにもうまくいかないことのもどかしさ。全てが不可抗力で絶望的な日々。

彼の希望を失った目が、悲しかった。

飲み込まれた感情の衝動的な行動で人を傷つけ、それがまた彼を傷つけるのではないかと怖かった。

誰が彼を救えるだろう。

そう思った時
いつでも彼を救ったのは彼自信だった。
自分で自分を傷つけては、自分で立ち直り自信を取り戻す。この繰り返しが実に現実的で人間臭い部分だった。しかしたった一人で乗り越えたわけではなかった。そこには大きな愛があった。

家族の支え、好きな人の支え。どの支えにも彼は答えられなかった。受け入れられなかった。反抗し拒絶し続けても、それでも見捨てず手を掴んでくれる存在が、そのありがたみが、余計に彼を苦しめた。

しかしその愛は強い。
どれだけの不安が彼を襲っても、「愛している」という言葉が、行動が、彼を強くする大きなクッションとなった。

彼が自分自身に打ち勝った時、そこにはいつでも愛をくれる人がいた。その愛があったからこそ、彼は自分に勝つことができた。

人はひとりでは乗り越えられない。

反対に、誰かに人生を変えてもらうこともできない。

でも支えてくれる存在が、信頼できる存在が、大きな勇気をくれる。
その勇気があってこそ、自分と向き合い、立ち向かい、挑戦することができる。
愛は偉大だった。

自分以外の誰かを変えることはできない。

しかし、人に愛を与え続けることが、変わらない場所で居続けることが、大きな勇気を与え、誰かを変える力になるのではないか。

愛が人を変える、一つの瞬間を見たような気がした。


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