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"TERRE DES HOMMES"をChatGPTで訳すプロジェクト始動 第5回

こんにちわ。
訳せば訳すほど、飛行機乗りたいなって思う自分がいます。複葉機に乗りたい。

それでは
Terre des Hommes 地球の詩
1. 飛行ルート(2)をお届けします。

飛行士の訓練中のサン=テグジュペリは、部長室に呼ばれます。そして、空の厳しさを教えられます。

—————
ついにその夜が訪れた。ぼくは部長室に呼び出され、部屋に入ると彼は言った。
「明日、出発だな?」
ぼくは、立ったまま別れの言葉を待っていた。少しの沈黙の後、彼はこう続けた。
「指示は分かっているな?」
あの頃の飛行機のエンジンは、今ほど安全じゃなかった。突然、予告なく、食器の割れるような音がしては止まった。エンジンが止まると、ぼくらは岩の多いスペインで着陸地点を探さなきゃいけない。でも、それは簡単なことじゃない。
「エンジンが壊れたら、飛行機は終しまいよ」ぼくらはよくそんな事を言っていた。
だが飛行機は替えが効く….だから、岩に突っ込んじゃダメだ。山岳地帯上空の雲海を飛ぶことは固く禁じられていた。雲の上でエンジンが止まったら、白い綿の中に入った途端、見えない山の頂きにぶつかってしまうからだ。
彼はゆっくりと言葉を続けた
「スペインの雲海を、コンパスを頼りに飛ぶのはな、とても美しいものだ」
そして、さらにゆっくりと
「だが忘れるな、その雲海の下は、久遠の世界だ」

白雲を突き抜けた時に突然現れる、静かで穏やかでフラットな世界が、もうぼくには違うものに…、何かの罠に思えてきた。そのフカフカしたどこまでも広がる白い罠。雲の下には、ぼくらが焦がれる人々のあたたかさや笑顔、街のにぎやかさはなく、完全なる無音、落日後の漆黒があるだけだ。

この白い誘惑は、ぼくにとって現実と非現実、愛する人のいる世界といない世界の境界線になっていたんだ。そして、ぼくはわかってきた。見た目の美しさにだまされちゃいけない。文化や文明のバックボーン、その後ろに隠れている見えないものを知らなければ、本当の美しさはわからないってこと。山に暮らす人々も雲海は知っている。だが彼らは、そのカーテンの恐ろしさを知ることはなかったんだ。
—————

翻訳って面白いけど、大変。ほぼ推理作家ですね。
ひとつの言葉にこだわって、作者はどの意味でその言葉を使ったのか?そして、それを日本語にした時にどの言葉にすると塩梅がよいのか?
このニュアンス出したいけど、、、あぁ、語彙が貧困だ!と痛感します。


ChatGPTの訳から変えたもの

「解散を告げられるのを待っていた」→「別れの言葉を待っていた」
退出許可という意味なのだと思うのだけど、部長の言葉に対してのサン=テグジュペリの返答がなく、唐突感が否めない。ちょっと、ねぎらいの言葉というか、サン=テグジュペリが返事をするのを待つ理由として、別れの言葉としました。

「雲海の下は永遠」→「雲海の下は久遠の世界だ」
永遠の死とかも考えたんですが、久遠という仏教の言葉を使いました。天国感を出したかったので。

「未知の価値を持つようになった」→「何か違うものに…」
難しいなぁ。一回、自分の中に入れて出て来た言葉はシンプルでした。

「この白い粘り気は」→「この白い誘惑は」
引っ張られる感じ?と思って、こうなりました。

「ある光景は、文化や文明、仕事を通して見なければ意味がないことを。山岳民も雲海を知っていた。でも、彼らはその驚くべきカーテンを見つけることはなかったんだ」→「見た目の美しさにだまされちゃいけない。文化や文明のバックボーン、その後ろに隠れている見えないものを知らなければ、本当の美しさはわからないってこと。山に暮らす人々も雲海は知っている。だが彼らは、そのカーテンの恐ろしさを知ることはなかったんだ。」
ここはすごく悩みました。かなり意訳になっているかと思います。
見方によって変わるよって事なんでしょうが、ここはLe Petit Princeで結実する「ものの中身は目では見えない」に繋がるオリジナルと考えました。見た目じゃなくて、経験から見える「目に見えないもの」があるんだと。


今回は、ちょっと難しい言葉も使ってしまいましたね。日本語ってたくさんの美しい単語があるので、使いたくなるんですよね。


ChatGPTの訳はこちら

とうとうその夜が来て、ぼくも監督室に呼ばれたんだ。彼はただ簡単に言ったんだよ。
「明日、出発するの?」
立ったまま、彼が何か言ってくれるのを待ってたけど、しばらく沈黙の後、彼は言い足したんだ。
「指示はちゃんと理解してるか?」
あの頃のエンジンは、今のエンジンほど安全じゃなかったんだ。よく急に、予告もなく、壊れた皿のようなガタガタ音と共に止まってしまったもんだ。そして、スペインの岩だらけの地面に向かって手を伸ばすんだけど、避難場所はほとんどなかったんだ。「ここでは、エンジンが壊れると、ぼくたちは言ってたよ、飛行機も、ああ、すぐに同じ目に遭うんだ。」でも飛行機は取り替えられる。何より大事なのは、目の前の岩に目隠しでぶつからないことだ。だから、山岳地帯の上の雲海を飛ぶことは、厳しい罰が待っているとわかっていても、禁じられていたんだ。エンジンが故障したパイロットは、白い綿に飲み込まれ、見えない頂上に衝突してしまうんだ。
だからその夜、ゆっくりとした声が最後に指示を繰り返したんだ。
「スペインで、雲海の上をコンパスで航行するのはとても美しいし、エレガントだけど…」
そして、もっとゆっくりと:
「…でも覚えておいてね。雲海の下は…永遠なんだよ。」
突然、雲から出てきた時に見つける、静かで、シンプルで統一されたこの世界が、ぼくにとって未知の価値を持つようになったんだ。この柔らかさが罠になる。ぼくは、足元に広がる巨大な白い罠を想像したんだ。下には、思っていたような人々の喧騒や騒ぎ、街の活気があるわけではなく、もっと絶対的な静けさ、もっと最後の平和があったんだ。この白い粘り気は、ぼくにとって現実と非現実、知られた世界と未知の世界の境界線になっていたんだ。そして、ぼくは既に予感していたんだ。ある光景は、文化や文明、仕事を通して見なければ意味がないことを。山岳民も雲海を知っていた。でも、彼らはその驚くべきカーテンを見つけることはなかったんだ。

下記のApple Podcast, Spotify, Stand.fmでも音声版が聴けます。


ではまた次回。



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