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不登校支援 誰でも不登校になる可能性がある

作業療法士 太田英佑

 本日は、中学での交友関係をきっかけとして、不登校となってしまったケースについてお話しします。(本人、家族には許可をいただいております)

 中学校途中までスポーツに打ち込み、友達も多く、明るく、特に問題なく成長していました。が、ふとしたきっかけで学校に行けなくなりました。

 学校に行けなくなったことから家族間での不和が始まり、特に兄弟での衝突が目立つようになり、第三者である訪問看護が介入することとなりました。

 当初、ご本人は訪問看護が関わることに拒否されていました。自分は普通で、学校に行っていないだけなのになんで必要なのかと疑問を持っていました。

①開始当初と関係性の構築

 本人が趣味としているゲームなどを会話のきっかけとして、将棋、パーティーゲーム、コーラ作り、コーヒーを試飲するなど、楽しみを共有する関わりを主体として、徐々に信頼関係を形成していきました。共通項があるとグッと距離は縮まります。

 同時に家族以外の他者との関わりを持つ機会を維持するよう努めました。


②ご家族との関わり

 並行して家族支援を実施。毎週ご本人との関わりを行い、その時その時の状況に即した本人との接し方についてご家族と一緒に考えて行きました。

 他者を受け入れることで家族間の関わりにも変化が現れ、徐々に兄弟間の交流が取れるようになり、家族と出かけることができていきました。


③“不登校”という状況に対しての関わりと考え方

 家族関係が安定していき、外出もできるようになってきましたが、依然として対人恐怖が残存していました。

 それらに対しては直接の関与というより、本人の主体性に働きかけることを意識しました。

 前述したようにご家族との関係性が改善して、外出の機会が増えて来たため、徐々に外出に対しての恐怖心が薄れ、それ自体を楽しむようになっていきました。

 楽しみが自宅でのゲームだけでなくファッションなどの外交的なものにも関心を示すようになりました。

 家族間の安定が精神的な安定となり、たとえ不調になってもすぐにリカバリーできるようになりました。以前は時々癇癪を起こすことがありましたが、それ自体なくなっていきました。

 自宅での穏やかな安定した時間を過ごし、無理に学校へ行かさず、あくまでも本人の主体性を尊重した関わりを継続していきました。

 ご家族にも理解を深めていただき、自宅で生活すること、本人の関心のあったゲームとその交友関係を肯定し、そのコミュニティでの自尊心を高めていく関わりを継続していきました。

④主体性の出現

 関わりを続ける中、高校から改めて通学していきたいとご本人の意思が明確になり、進学のための学校探しをご家族と行うなど新たなステップに以降しました。

 学校見学や公共交通機関の利用などを行う機会もあり、外に出ることや家族以外の他者との関わりが出現していき、恐怖心も和らいでいくきっかけとなりました。

 進学したい学校を見つけ、受験勉強や面接の準備などを開始しました。この中で学校の教員などと関わりが出現し学校に対しての抵抗感も減っていきました。

 それら他者交流や自宅外での活動が増えたこともあり、以前所属していた野球チームのメンバー数人と会話を交わすなどの同世代との関わりが少しずつ持ててるようになっていきました。

⑤訪問看護と中学卒業

 入学後にはアルバイトをしたい、学校生活を楽しみたいと、高校生活に対しての明るい展望を持ちながら受験準備に励み、受験当日は公共機関を利用し一人で学校へと出向き受験に挑み、見事合格。

 卒業間近には卒業式の準備などで中学校に顔を出すことができ、同級生との交流を持つことが出るようなりました。卒業式にも出席しています。


 現在高校1年生

 電車を利用して通学しています。

 新しい友達もできました。

 念願のアルバイトも始めました。

 そして「高校生活を謳歌しています」

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