ピアサポーターと精神科訪問看護師

精神科訪問看護ステーションで働く当事者と看護師の話です。当事者として病気の経験を活かし…

ピアサポーターと精神科訪問看護師

精神科訪問看護ステーションで働く当事者と看護師の話です。当事者として病気の経験を活かした視点から記事を書いています。看護師は地域で生活しやすくなる工夫を書いています。 不登校や引きこもりの支援もしています。 訪問看護こころいK https://www.kokoroik.com/

最近の記事

認知行動療法のヒント

看護師 山田祥和  先週の日曜日、友人家族と合わせて10人で、有名な神社に行き、おみくじを引きました。  未就学児から70歳代まで幅広い年齢層です。  小学生の女の子が過去の経験から、おみくじを2枚引くと言い、みんなでそうすることにしました。  1枚目のおみくじをいっせいので開けて、自分たちのおみくじをそれぞれ確認しました。  頷く者もいれば、悲鳴を上げる者、肩を落とす者、ほくそ笑む者など反応はさまざまです。  私は凶でした。珍しいと思いつつ、こんなものかと思いま

    • 精神疾患での障害年金はズルいのか

      看護師 山田祥和  先日SNSで、「会社の同僚がうつ病で障害年金をもらっている。正社員なのに!ズルい!」という書き込みを見ました。  診断名にもよりますが、確かに 精神疾患でも障害年金はもらえます。  障害厚生年金ですと、納めていた額にもよりますが、2級で、ある程度暮らせさてしまう金額をもらえる方もいます。しかもそこから税金は引かれません。  ですので、不公平さを感じる声が出るのもわかります。  しかし、実際に障害年金をもらって生活している人の暮らしを見ている私た

      • 精神を安定させ、テンションが次の日まで持続する私の入浴ルーティン

        ピアサポーター 金子祐也  訪問看護ステーションこころいKにてピアサポーターとして働いています。  今日は皆さんに私の実践している精神を安定させてテンションを持続する入浴のルーティンを紹介します。  入浴は命の洗濯といいますが、私の場合、入浴を二回する事で精神を安定させ、次の日までテンションが持続する方法を実践しています。  やり方は一回目は入浴時に好きな音楽を大音量(近所迷惑にならないように注意しながら)でかけて20分〜30分ほど入浴します。  私の場合、音楽はテ

        • 不登校支援 誰でも不登校になる可能性がある

          作業療法士 太田英佑  本日は、中学での交友関係をきっかけとして、不登校となってしまったケースについてお話しします。(本人、家族には許可をいただいております)  中学校途中までスポーツに打ち込み、友達も多く、明るく、特に問題なく成長していました。が、ふとしたきっかけで学校に行けなくなりました。  学校に行けなくなったことから家族間での不和が始まり、特に兄弟での衝突が目立つようになり、第三者である訪問看護が介入することとなりました。  当初、ご本人は訪問看護が関わること

          〜出来ることを増やしていくことはよりよい生活へ繋がる〜

          看護師 田村亜美 「家族のことを考えると辛くなって死にたくなってしまいます」  Aさんは出会った当初から、こんな風に悲痛に訴えていました。お話をじっくり聞いていくとこれまでにAさんがご家族から病気の理解が得られず、病気のために仕事もできないことを責められていたことがあり、ご家族のことを考えると何度も死ぬことを考えていたことがあったそうです。  Aさんが訪問看護を開始することになったきっかけは、一人暮らしをすることになったため、身近に相談相手がいなく、不安を感じている時に

          〜出来ることを増やしていくことはよりよい生活へ繋がる〜

          社交不安を和らげるために 〜対人恐怖症からの回復〜

          看護師 髙橋佑  社交不安があると、人に対して過度に緊張や不安を感じるため、人との交流を避ける傾向にあります。  必然的に孤独になりがちです。  人のいない時間に活動するため、昼夜逆転になることも多いです。  本日は、社交不安障害から、少しずつ回復しつつある事例を挙げてその関わり方を考えていきます。(本人の許可をとって、個人が特定されないように大きく脚色しています。)  彼との出会いは1年前でした。その頃は対人恐怖が強く、感情の表現や自発的な発言が難しく、昼夜逆転の

          社交不安を和らげるために 〜対人恐怖症からの回復〜

          不登校や引きこもりでも自信があれば問題ない 〜強みの見つけ方〜

          看護師 山田祥和  学校に行けなかったり、仕事も続かなかったり、長年引きこもっていたりすると、他の人はできているのに自分はダメだと感じ、必然的に自尊心は低くなります。  しかし、そんな自分でもこれだけは他の人より少し秀でているという「強み」があると、自尊心は保たれます。  つまり強みを自覚すれば不登校でも引きこもりでも自尊心は低くならないのです。  強みを自覚することで、不登校でも自信を失わず、時期がくれば学校に行けるかもしれません。引きこもりの方も強みがあるといずれ

          不登校や引きこもりでも自信があれば問題ない 〜強みの見つけ方〜

          不登校と待つ姿勢 〜家から出られない 家族以外の人と関われない〜

          看護師 乾愛子  訪問看護では、社会との接点もなく、部屋に引きこもり、長く不登校のお子様と関わることもあります。学校の先生とも距離をとり、家族以外との接触を拒むケースもたくさんあります。  会えるのかどうかわからず訪問することも多いです。  車の止まる音、チャイム、玄関のドアを開けて聞こえてくる声など、自分に会いに誰かが来ていることは感じているはずと思い、私は会えなくても訪問することを大切にしています。  会えずにご家族のお話を聞いて終わる事もありますが、そんな時はご

          不登校と待つ姿勢 〜家から出られない 家族以外の人と関われない〜

          訪問看護もゲーム?クリアがある?不登校支援

           看護師 山田祥和  私の利用者さんの中に、学校には行けないが、ゲームセンターに行けたり、家でゲームはできたりする利用者さんがたくさんいます。  今日、以前訪問看護を利用していた方から近況報告があり、いつかのことを思い出しました。「訪問看護もゲームだね」と言われたことを。 「訪問看護ってゲームだよね」  ある日、一緒にNintendoSwitchのゲームしていると突然言われました。私がどうしてって聞くと 「クリアがあるから」と。  訪問看護に何故クリアがあるのか考

          訪問看護もゲーム?クリアがある?不登校支援

          雑談はメンタルの安定に欠かせない

          看護師 山田祥和  メンタルが不安定な人は、人間関係が得意な人もいますが、苦手な人の方が多いです。人間関係が苦手なために人と距離をおき、孤独になりがちです。  本来、人は社会的な生き物で人と人との繋がりを欲します。しかし、苦手が故の煩わしさの方が上回ってしまうのです。  私たちの訪問看護は、ご自宅でゆっくり話をうかがいます。特に困り事もなく、話すこともないよと言われるかもしれませんが、困り事も話すこともなくても大丈夫です。日常のこと、ニュースのこと、趣味のことなんでもい

          雑談はメンタルの安定に欠かせない

          精神科訪問看護の有用性について

          看護師 山田祥和  精神科訪問看護をやっていると、特に意味がないんじゃないか、別に医療じゃなくてもいいんじゃないか、という声を耳にします。  私自身、精神科訪問看護を始めた十数年前、正直自分が精神疾患に罹患しても精神科訪問看護を受けるのは絶対やめようと思っていました。  質問攻めにされたり、会話を持たせるために気を使ったり、入れ替わり立ち替わり色々な看護師が来て、同じ話を何度もしなければならなくて、受ける方は大変だと思っていました。  しかし、今は自分が病気になったら精

          精神科訪問看護の有用性について

          「学校に行けない」に対して精神科訪問看護で行なっていること

          看護師 山田祥和  近年、学校に行けない児童、生徒が増えています。文部科学省によると、令和4年度の小中学校の不登校数は29万9048人で、前年度から22.1%増加で、10年連続で過去最多を更新しています。  小学校で約60人に1人、中学校で約17人に1人が学校に行けていない状況です。  私たちの地域、伊勢原市、秦野市、平塚市でも同様なことが言えます。精神科訪問看護の依頼も当然増えてきています。  本日は私たちが、不登校の児童生徒にどのような支援をしているのかをお伝えし

          「学校に行けない」に対して精神科訪問看護で行なっていること

          ピアサポート物語番外編➂カリスマOT

          今までお世話になった支援者の中にカリスマOTだなと思った方がいます。 OTとは作業療法士という資格を持った方の事を言います。 カリスマOTの方は私に病気を受け入れるようにプログラムでたくさんのお話をしてくれました。 私だけのための授業ではありませんが4人~8人くらいのグループで授業を行ってくれました。 WRAP(元気行動回復プラン)やセルフケアなど色々な事をやりました。 現在の私があるのはそのカリスマOTさんのおかげです。 けっこう厳しい方でしたので、宿題を忘れたら叱

          ピアサポート物語番外編➂カリスマOT

          ピアサポート物語番外編②カウンセラー

          私にとっての支援者の一人にカウンセラーさんがいます。 今のカウンセラーさんは3、4年くらい担当してくれています。 カウンセラーさんのメリットは主治医の先生と違って長く話を聞いてくれるところ デメリットは保険治療で行うことができないところです。 場所によっては最初の方の治療の何回かは保険で出来るところもあると思いますが… 私の病歴は約15年ですが今まで色々なカウンセラーの方を頼りました。 しかし私はけっこう自分の事をしゃべってしまうタイプなのか、ただただ聞いてくれる系の

          ピアサポート物語番外編②カウンセラー

          ピアサポート物語番外編①私の趣味

          ピアサポート物語、いかがだったでしょうか? 温めていた企画だったと共に自分の事をさらけ出す記事でしたので非常に勇気が入りました。 しかし友人や上司、同僚から良かったという声があったので安心しました。 今回は番外編と言う事で趣味について書きます。 現在、私は精神障がい者ソフトバレボール大会に毎年出場しています。 国体に繋がる大会で過去には関東大会出場の出場の経験があります。 ソフトバレーを始めるきっかけとなったのがデイケアのスタッフの一言でした。 関東大会出場を目指して

          ピアサポート物語番外編①私の趣味

          精神科訪問看護で私が大切にしていること⑧

          看護師 山田祥和 ⑧楽しみを共有する  私は訪問看護において、利用者さんと楽しみを共有することを心がけています。  人と楽しみを共有することにはいくつかの意義があります。まず、共有することで信頼関係が構築されやすく、また、共有することで利用者さんの視点や感情を理解しやすくなります。コミュニケーションが豊かになり、楽しみを共有することで共感や喜びが増し、心の豊かさや幸福感が得られます。  私は、利用者さんと一緒にお菓子作りをしたりして、オンラインゲームをしたり、秋を見つ

          精神科訪問看護で私が大切にしていること⑧