ピアサポーターと精神科訪問看護師

精神科訪問看護ステーションで働く当事者と看護師の話です。当事者として病気の経験を活かし…

ピアサポーターと精神科訪問看護師

精神科訪問看護ステーションで働く当事者と看護師の話です。当事者として病気の経験を活かした視点から記事を書いています。看護師は地域で生活しやすくなる工夫を書いています。 不登校や引きこもりの支援もしています。 訪問看護こころいK https://www.kokoroik.com/

最近の記事

人に優しくなる 〜自然を感じて〜

ピアサポーター 金子祐也  自分が精一杯な時ほど、人に優しくするのが難しくなってしまいます。  私自身もゆとりがなくなり、自分のことだけになってしまうことが多いです。人に優しくしたいと思っていてもできないことがあります。  冷たい態度をとってしまって、後で自己嫌悪に陥ることもあります。  けれどもこころにゆとりがあれば人に優しくなれます。  SNS上では暴言や誹謗中傷が目につきます。それらを中心としたYouTubeが視聴回数を多く獲得しているところをみますと、現代人

    • ありのままの自分を受け入れるということ

      看護師 山田祥和  先日ピアスタッフの記事を読んで、改めて自分を受け入れることができれば楽になるんだと思いました。  相談の中には、自分を周りと比べてしまって、なんて自分はダメなんだという思いが聞かれます。  人が他人と比べてしまうことはよくあることで、全てが悪いことではありませんが、辛くなってしまいます。  幼馴染は海外でバリバリ仕事をしているのに自分は、、、  親友は結婚して幸せな家庭を築いているのに自分は、、、  同僚は仕事もでき、どんどん出世していくのに自

      • 嫌な過去を許す ~過去と向き合い前に進むために~

        ピアサポーター 金子祐也  これはあくまで私の経験談なので、他の人に当てはまるかわかりませんが、参考になればと思い、書いています。  私は過去にあった嫌な出来事や、嫌な人間関係を思い出しては後悔していました。  フラッシュバックするのです。  その都度こころを病みます。  誰にでも思い出したくない過去や許せない人がいると思います。そしてそこばかりに執着してしまい、なかなか前へと進むことができない時があります。  過去への執着は人を過去に縛り付け、頭の中で支配的にな

        • ヤンキー社長、強迫症になる②

          看護師 山田祥和  前回の続きです。利用者さんが同じ強迫症の人の役に立てればという思いで協力してしてくれています。  ヤンキーでイケイケだった自分が強迫症になるまではこちら  気合いと根性の自分が、精神科に通院するなど思ってもいませんでした。  誰でも精神疾患になるのか!  最初に病院の先生から病気だと言われ、実は内心ほっとした部分もありました。というのも病気なら治るかもしれないと思ったのです。  しかし、強迫症はそうあまくありません。病気とわかっていてもあの考え

        人に優しくなる 〜自然を感じて〜

          新しいことを始めるために

          ピアノサポーター 金子祐也  何に対しても初めてや慣れないことに関して、不安や恐怖心というものはあると思います。例えば新学期、入社日は恐怖です。  恐怖心というのは先が見えないから生じるのだと思います。私の場合、どうせ行動したところで何も得られないと考えてしまい、始めることの恐怖心が勝ってしまうことがあります。  このままでいいやと自分を言い聞かせてしまいます。  私は一時期、先が見えなくなり、外に出るのも怖くなった時期がありました。外に出たところでどうせ何も恩恵は得

          ヤンキー社長、強迫症になる①

          看護師 山田祥和  本日は、是非自分の経験を書いて欲しいとの希望が利用者さんからありましたので、個人が特定されないように書きます。  以下利用者さんの体験談  自分は子どものころからヤンチャで、中学に入ってから不良になり、喧嘩に明け暮れていました。暴走族ではトップを張って、別の暴走族との抗争もよくありました。  仲間とつるみ悪いことばかりしていました。  中学卒業後(ろくに行っていませんでしたが)は高校を1週間で辞め、ぷらぷらしていました。昼間寝て、夜街に出て喧嘩を

          ヤンキー社長、強迫症になる①

          自明性のジレンマ ~狭い世界に生きる事と広い世界に生きる事~

          ピアサポーター 金子祐也  よく「あの人は狭い世界に生きている」や「私は広い世界に生きている」という言葉を聞きます。しかしどちらが正しい、正しくないというものはありません。  思考を突き進めていくと世界は広がっていきます。時にはまだ見ぬ世界が開けたことで驚きや戸惑いもあります。  もちろん発見した喜びも生まれます。それによって自分の世界のイメージは大きくなり、世界が広くなっていくのです。  具体的には人類学の手法である自明性(当たり前)の破壊と異文化理解で行っていきま

          自明性のジレンマ ~狭い世界に生きる事と広い世界に生きる事~

          不登校 行事だけ参加するのはあり?

          看護師 山田祥和  学校から足が遠のいてしまっている場合、最初の一歩として、授業以外の、本人が参加できそうな行事から入る場合があります。  行事に参加することで、友人やクラスメートとの関係を保つことができ、社会との繋がり感が生まれます。取り残されてしまったという焦りも軽減します。学校に行けたという達成感や自信を得ることができます。  当然学校に行くことが最善ではない場合もありますが。  学校に行くという第一歩は、本人も物凄く頑張っています。  私たちも、学校に行きた

          不登校 行事だけ参加するのはあり?

          成功体験を振り返ってポジティブに

          ピアサポーター 金子祐也  私は、もともと何をするにも不安で人に褒められた経験が少ないので、自信を持つ事が出来ませんでした。  例えば、大学受験に合格しても親からは運がよかっただけだと言われたり、大学院に受かった時もとくに何も言われたりしませんでした。  そのためか、友人などから時々褒められることがあっても内心大したことない、お世辞なんだとろうと考えてしまいます。  自分自身を信じることができないこたが多かったです。  自分はまだまだというのは、妥協をしないという意

          成功体験を振り返ってポジティブに

          固定観念を捨てて気持ちを楽にする方法 〜人類学から学ぶ自明性の破壊〜

          ピアサポーター 金子祐也  無意識のうちに人は、こうだ、こうあるべきだ、こうすべきだ、こうに決まっている、と決めつけてしまうことがあると思います。  何の疑いもなくそれが当たり前のことだと思ってしまうのです。  挨拶はするべき、車は左側通行、勉強はすべき、スナック菓子は体に良くない、男は働かなければならない、ギャンブルはよくない、並んでいる列は守るべき、、、  あまり疑問に思わず、当たり前のことだと思っています。  私自身も、男は働いてこそ価値があり、働くのが当たり前

          固定観念を捨てて気持ちを楽にする方法 〜人類学から学ぶ自明性の破壊〜

          「継続」する方法 ~中庸を目指して~

          ピアサポーター 金子祐也  今日は私の「継続」する方法について話したいと思います。  私はこれまで20社以上、さまざまな会社で働いてきました。中にはパワハラを経験したこともあります。  今思うとあの時に中庸の精神で取り組んでいれば、継続できたのでは、と思うことがあります。ですが、そうした場を踏んだからこそ今の自分があるので、むしろいい経験だと思っています。  今の思考を身に着けたのも過去のつらい経験を経験値として、獲得しているおかげです。  話はずれましたが、ずばり

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          摂食障害と上手に付き合いながらの生活 〜訪問看護での関わり〜

          看護師 山田 祥和  摂食障害にも色々なタイプがあります。  体重が増えることへの強い恐怖や、自分は太っているという歪んだ認知から、極端な食事制限する人。  何時間も食べ続け、食べた後に罪悪感に苛まれ、指を突っ込んで吐き出す人。たくさん食べるが、その後に筋トレ、ランニング、筋トレ、ランニングと過剰に運動する人。  過食エピソードが繰り返されるが、嘔吐や運動などの代償行動は行わない人。お腹いっぱいで苦しくても食べ続け、泣きながらも食べ続ける人。  色々なタイプがありま

          摂食障害と上手に付き合いながらの生活 〜訪問看護での関わり〜

          鬱は気づくけど、躁は気づかない 躁を自分で気づく方法

          ピアサポーター 金子祐也  鬱は気づくけど、躁は気づかない。  意欲がなくて、つまらなくて、眠れないし、食事も美味しくない。今は鬱だなと気づきます。  しかし、躁の時は自分の状態に気づきません。  そういう人は多いと思います。自分もその部類です。  万能感、全能感が出てくると、全身に力が漲ってきます。天気をも操作ができる存在です!  楽しくて楽しくて気持ちがいいです。寝なくても大丈夫。疲れ知らず。いくらでも動けます。  でもそういう時は自分の状態に気づきません。

          鬱は気づくけど、躁は気づかない 躁を自分で気づく方法

          躁状態 〜あの時の万能感を忘れられない〜

          ピアサポーター 金子祐也  今日は躁状態になった時の体験談についてお話したいと思います。  大学時代、それまで他人から認められたことがなかったので、人並み以上に勉強をしたことで誰からも認められるようになりました。  生まれてはじめて認められるようになったので、自分でも不安や驚きはありましたが、自分は何でも出来るという感覚がだんだん高まり、万能感、全能感が生まれました。  頭は回り、あらゆることが同時にでき、未来が見える。天気をも変えられる。俺は世界は変えられる。  

          躁状態 〜あの時の万能感を忘れられない〜

          強迫性障害 〜共感と認知行動療法〜 訪問看護で行っていること②

          看護師 山田祥和 ②信頼関係を築いた上での暴露(認知行動療法)  前回は強迫性障害の対応として、「共感しながら大丈夫という安心感を得られるように」という関わりについて書きました。  本日は信頼関係を築いた上で、暴露を一緒にやってみることについて書きたいと思います。  まずは医師の指示のもと行います。強迫行為を引き起こす強迫観念(不安や恐怖の源)に段階的に直面し、それに対する反応を制御することを目的としています。  暴露には次のようなステップがあります 1. 評価と

          強迫性障害 〜共感と認知行動療法〜 訪問看護で行っていること②

          強迫性障害 〜共感と認知行動療法〜 訪問看護で行っていること①

          看護師 山田祥和 強迫性障害 わかってはいるけどやめられない 苦しいです。辛いです。 周囲に理解されない方も多いです。 周囲を巻き込む方も多いです。 開き直って周囲から反感を買う方もいます。 症状として 1. 強迫観念  何度も何度も何度もしつこく頭に浮かぶ不安感や恐怖感、嫌悪感。その考えやイメージ。  よくあることとして、汚染や病気への過剰な恐れ、並び順、順番、順序や対称性に対する過度のこだわり。 2. 強迫行為  強迫観念を和らげるために繰り返し行われる

          強迫性障害 〜共感と認知行動療法〜 訪問看護で行っていること①