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強迫性障害 〜共感と認知行動療法〜 訪問看護で行っていること①

看護師 山田祥和

強迫性障害

わかってはいるけどやめられない

苦しいです。辛いです。

周囲に理解されない方も多いです。

周囲を巻き込む方も多いです。

開き直って周囲から反感を買う方もいます。

症状として

1. 強迫観念
 何度も何度も何度もしつこく頭に浮かぶ不安感や恐怖感、嫌悪感。その考えやイメージ。
 よくあることとして、汚染や病気への過剰な恐れ、並び順、順番、順序や対称性に対する過度のこだわり

2. 強迫行為
 強迫観念を和らげるために繰り返し行われる行動や儀式。
 例えは、過度の手洗い、確認行為(鍵を何度も確認するなど)、数を数える行為。
 わかっちゃいるけどやらないと気が済まないのですよね。

 ひどくなると、確認がすぎるあまり仕事に遅刻したり、手がボロボロになるまで洗ったり、物がないと心配で物だらけの家になったりと、日常生活に支障をきたします。1日の大半を強迫行為に使ってしまうこともあります。

 そのような強迫症状のある方に対して訪問看護で行っていることは

①共感の中の気づき

信頼関係を築いた上での暴露(認知行動療法)

共感の中の気づき
 その行為は無駄と気づいているのですが、その気づきを自分の中に十分落とし込めていないのです。つまり、「強迫行為をやらなくても大丈夫なんだ」という安心感を得られていなのです。そこで私たちは、気持ちに共感しながら、気づき(大丈夫)を与えるように支援しています。

 周りの人からあまり理解されず自尊心も低くなりがちです。私たちは決して否定ぜず、辛さに共感していきます。

 強迫行為で手洗いをやめられない人に対して、本当に辛いですねと共感的に関わりながら、その行為が矛盾していることをジャブのように少しずつ打っていきます。

 例えば、「手を洗っても洗っても菌が付いているような気がしているのですね。そんなに洗わなくても大丈夫なこともわかっていますよね。痛いですよね。辛いですね」と共感した上で

「ところで菌がついているとどうなりますかね。あまり手を洗わない人もいますが病気になっているんですかね」と矛盾を考えてもらうように呟きます。

 強迫症状から物(ゴミ)を溜め込んでしまう人に対して、「使わないとわかっていても捨てられないのですよね。周囲から汚い、捨てろと言われて辛いですよね。悔しいですね」と共感した上で

「これはどういう時に必要になりますかね。これ捨てないとどうなってしまいますかね。片付いているメリットもありますね」と気づきを与えるように声掛けを行っていきます。

 そんなに簡単にはうまくいきませんが、粘り強く関わっていきます。この方法は、本人にあまり治療意欲がなくても使えます。

 本人無駄なことはわかっていますので、決して否定はしません。強迫行為の否定は人格を否定されたような感覚です。

 特に巻き込み型のタイプは、周囲からの風当たりが強くなりがちです。ですが、強迫行為を否定ぜず、辛さに共感して信頼関係を築いていきます。

 この信頼関係がポイントで、この人の言うことなら少しやってみよう、この人がここまで思っているのだから少し考えようとなってきます。

 訪問看護は基本的に担当制をとっていますので、信頼関係を構築しやすいです。

 そして訪問看護は一緒に行動できるのが特徴です。信頼関係を築いた上で、暴露(認知行動療法)していきます。

 強迫性障害の暴露については、また改めて説明していきます。

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