双極性障害は本人が自覚しづらい?【症状と治療のまとめ】

「これって心の病気なの?」
「身内の様子がいつもと違う・・・」

と感じても、初めて精神科にかかるというのは、
風邪気味だから内科にかかるのとは
大きく異なると思います。
勇気がいるという方もいれば、
病気とハッキリ診断されるのが嫌だという方もいるでしょう。
本人だけでなく、身内の方も様々な心境になると思います。
しかし、放っておくのは危険です。

本記事は、精神疾患のうち
・双極性障害だった場合の症状の出現
・治療について
をまとめました。

筆者は、双極性障害歴7年で
現在もこの病気と向き合っている当事者です。

病気と診断されることは、大変つらいことではありますが
適切な治療によって症状を抑えることができるので
受診するか迷っている方にぜひ読んで頂けたらと思います。

双極性障害の症状をチェック

双極性障害は、ハイテンションで活動的な躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態を繰り返します。


どうして気分の波が生じるのか、その原因はよく分かっていません。


かかりやすさに男女差はなく、20代から30代前後に発症することが多いとされていますが、中学生から老年期まで、幅広い年齢で発症する病気です。

躁状態の症状

・エネルギーにあふれ、気分が高まって元気になった気がする
・あまり眠らなくても元気
・急に偉くなったような気になる
・なんでもできる気になる
・おしゃべりになる
・アイデアが次々に浮かんでくる
・怒りっぽくなる
・すぐに気が散る
・じっとしていられない
・浪費
・性的逸脱

うつ状態の症状

・気分が落ち込む
・寝てばかりいる
・やる気が起きない
・楽しめない
・疲れやすい
・なにも手につかない
・自分には生きる価値がないと自分を責めてしまう
・決断力がなくなる
・死にたくなる
・食欲がなくなる

双極性障害自体が、躁状態、うつ状態のどちらで始まるかは、およそ半々です。
注意が必要なのは、躁状態のとき、本人は自分の変化を自覚できていないことです。気分爽快でいつもより調子がよいと感じています。
そのため、自分から病院へ行こうとすることはありません。

躁状態は急に起こってどんどん進み、治療を受けなかった場合2~3ヵ月くらい続きます。

軽躁状態やうつ状態は、治療しないと6ヵ月以上続くことも、まれではありません。

躁状態やうつ状態が一度きりで済むことはめったになく、一生のうち、何度も繰り返すことがほとんどです。

再発を繰り返すと、ますます再発しやすくなる傾向があるので、再発予防が何よりも重要です。

 

治療法

薬物治療と心理社会的治療が用いられます。


治療しないとどうなるのか

再発を何度も繰り返すうちに、失うものが多くなります。

なぜなら躁状態のときは、現実離れした行動をとりがちで、本人は気分が良いのですが、周りの人を傷つけ無謀な買い物や計画などを実行してしまうからです。

その結果、家庭崩壊や失業、破産などの社会的損失をこうむることもあります。

また、うつ状態がひどくなると、「この世から消えて無くなった方が良い」などと考え、最悪の事態を招く場合もあるので、できるだけ早めに治療を開始し、再発を防ぐことが大切です。


治療期間はどれくらいか

どのくらいの間、服用すべきかという点は、その人によって違います。

主治医とよく相談することが大切ですが、双極Ⅰ型で数回躁、うつを繰り返した場合は予防治療をずっと続けるのが普通です。


薬物治療

薬物治療は躁状態やうつ状態を改善するだけでなく、再発を防いで症状を安定させるために欠かせません。

現在、双極性障害の薬物治療には気分安定薬抗精神病薬が用いられています。

気分安定薬(炭酸リチウム、バルプロ酸、ラモトリギンなど)
躁状態とうつ状態の治療と予防に効果があり、双極性障害治療の基本となる薬です。

非定型抗精神病薬(クエチアピン、オランザピン、アリプラゾールなど)
ドーパミンなどの神経伝達物質を遮断する薬で、統合失調症の治療などに用いられていますが、双極性障害の治療にも効果を発揮します。

睡眠導入薬
寝付けない、朝早く目が覚めてしまうなどの不眠がある場合に、一時的に使用します。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬などが一般的ですが、依存性が問題となることがあります。

そのため、主治医の指示に従って薬を飲むことが大切です。
やめるときにはゆっくり減量する必要があるので、自分で判断せずに主治医の指示に従いましょう。

抗うつ薬
双極性障害のうつ状態に対して、抗うつ薬の服用は、注意が必要です。
うつ状態から急に躁状態が出現する躁転が引き起こされることがあるからです。

三環系抗うつ薬と呼ばれる古いタイプの抗うつ薬では、躁転に加え、1年のうちに4回以上も躁状態とうつ状態を繰り返す急速交代化(ラピッドサイクリング)を誘発してしまいます。

そのため、双極性障害の治療に抗うつ薬を使わない方が良いという意見が優勢です。

しかし、双極性障害と分からずに、うつ病と思って抗うつ薬が使用されることがあります。

過去に躁状態を経験したことがある場合には、そのことを主治医に伝えるようにしましょう。


心理社会的治療

薬物療法と併用しての心理社会的治療は、治療を順調に進めるうえで役立ちます。(心理社会的治療だけでは、双極性障害の治療は成り立ちません。)

①    心理教育:自らが病気を理解し、自分でコントロールできるようにする。
②    家族療法:家族の理解を強め、家族と一緒に改善に向かう
③    認知療法:ポジティブ思考を身につける
④    対人関係・社会リズム療法:人間関係のストレスを減らし、生活リズムを整える。

心理社会的治療は一言では説明できないので、また別記事にまとめたいと思います。

おわりに

双極性障害は、躁状態とうつ状態を繰り返す病気ということを理解して頂けたかと思います。その症状は、一度きりでおさまることはなく、一生のうちに何度も再発してしまうため、適切な治療を継続していくことがなによりも重要です。

当事者である私が強く言えることは、躁状態もうつ状態も本当に怖いです。できれば二度と体験したくありません。躁状態のときは、失業して経済的ダメージを受けましたし、うつ状態のときは、希死念慮により薬の大量摂取をしました。

後悔していることは、薬を断薬したことと、生活リズムを乱したことです。

一度診断されたら、一生向き合っていかなければならない病気ですが、適切な治療を継続して再発せずに過ごせれば、問題なく平穏な日常で暮らしていけます。

病気という事実は、変えられないので、自分の考え方を前向きに変えていけたら良いですよね。

「穏やかでいられる時間を、1秒でも長く」そう願って治療していきましょう。



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